Tokyo COVID-19;9/07/2021

東京都における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する9月7日のノート

概要

・報告日ベースの陽性者数は8月13日に5,773名と最大値を記録した。9月7日は1,629と2,000名を割ったが、まだ週末が絡む数字でもあり実勢としてはそこまで落ちていないと考えられる。
・検査数や東京都の発熱相談センターへの相談件数も徐々に減りつつあるが、発症日別の陽性数やそれに基づく実行再戦算数の推移をみると、直近では減少速度が鈍り始めた懸念もある。
・重症者数に関しては、9月7日現在で若年層は10代0名、20代4名、30代14名と増加は頭打ちしている。40代から60代は40代が43名、50代102名、60代60名と依然として重症者の中心を占めている。重症者の中心であった70代は8月2日には12名まで減少したが、その後上昇し9月6日は33名と1月20日に記録した過去の最大値59名の60%前後を推移しており、今後の死亡数の増加が懸念される。
・死亡日別の死亡者は7月20日前後から再び増加し、特に8月15以降は増加ペースが上がって来ている。
・年代別感染の推移を見ると7日間移動平均に関して、20代から50代に続いて20歳未満、60代、90代も減少に転じ、増加を続けていた70代、80代も頭打ちから減少に転じた。ただし70代、80代は増加のペースが鈍かったのと同様に現象も緩慢な動きとなっている。
・Google Mobility の観測によると、人流は7月の4連休明けも連休前に対して減少の傾向が見られた。8月8日の週は連休からお盆に入り「職場」や「乗換駅」が減った。お盆明け以降も7月の連休前に比べると人流は抑制されてはいるが、徐々に増え始めた感がある。この人流の変化が感染数に与える影響が注視される。
・第4波までと第5波を比較すると、感染数・死亡数共に70代以上の占める比率が大きく低下している。これは高齢層に対するワクチン接推進の効果と見られるが、替わりにワクチンの接種が遅れている50代の比率が急増し、また数としては多くはないが30代・40代の死亡が急速に増えている。この年代へのワクチンの接種推進が喫緊の課題と言える。

感染者数の全体推移

画像1

9月7日の東京都の感染数は1,629名と前日(9月6日)から661名の増である。内訳は濃厚接触者738名(前日比+281)、経路調査中890名 (同+379)である。経路調査中の890名は1週間前の8月31日に比べて789名の減である。
経路不明者の7日間平均は1,216名と前日より113名の減である。
この7日間平均を1週間毎に遡って比較すると
直近 1,216 前週比 60%
1週間前 2,040 前週比 73%
2週間前 2,784 前週比 99%
3週間前 2,825 前週比 112%
4週間前 2,520 前週比 116%
5週間前 2,178 前週比 195%
6週間前 1,119 前週比 154%
7週間前 726 前週比 156%
8週間前 466 前週比 103%
と週単位で見ると感染数が直近で大きく減少している。

また、各日の7日間移動平均値を、その1週間前の7日間移動平均値と比較すると
9/7より遡る7日間 前週比 -40%
9/6より遡る7日間 前週比 -39%
9/5より遡る7日間 前週比 -36%
9/4より遡る7日間 前週比 -35%
9/3より遡る7日間 前週比 -33%
9/2より遡る7日間 前週比 -31%
9/1より遡る7日間 前週比 -27%
8/31より遡る7日間 前週比 -27%
8/30より遡る7日間 前週比 -23%
8/29より遡る7日間 前週比 -23%
8/28より遡る7日間 前週比 -19%
8/27より遡る7日間 前週比 -15%
8/26より遡る7日間 前週比 -12%
8/25より遡る7日間 前週比 -9%
8/24より遡る7日間 前週比 -1%
8/23より遡る7日間 前週比 +5%
と減少を続けている。

検査者数(最新9月6日) : 陰性者が遅れて報告・集計されるため直近の数値は日々追加修正され、基本的にグラフの右端は右下がりになる。移動平均では6月22に7,458名まで下がったが、それ以降は増加が続き、8月下旬には17,000名近くまで上昇した。それ以降は減少しているが、直近でも15,000名近い高い値が続いている。陽性率の7日間移動平均は6月11日に3.9%まで下がった後上昇に転じ8月15日(お盆期間中)に23.8%まで増加した。直近では13.0%と下がり続けているがまだ高い値ではある。

発症者数(最新9月6日)
発症者グラフは判明の遅れにより、グラフに示すように直近の1週間前後の報告数は順次追加されている。このため過去データに準拠して作成した表を利用して補正している(薄色の部分が補正値)。あくまでも参考程度で有り、特に終端に行くほど精度が落ちる。

図-02'

補正係数表08

補正値は報告が反映されるまでの時差を過去のデータから推定しているため、参照時点よりも反映が早ければ予測数は過大となり、反映が遅れれば過少となる。このため、補正係数は適宜見直しを行っている。
なお過去の推移では、発症者は5日程遅れて報告日別感染数(経路調査中)に反映されている。
・8月1日に3,248名のピークを持った後に一旦は減少したが、その後増加し、8月10日には3,800名を超えた。その後頭打ちから減少に転直近では2,000名近くまで減って来ているが、減少のスピードは鈍りつつある。

実効再生産数
・5月25日前後から上昇し7月下旬の1.6をピークに減少に転じ8月10日前後に1.0を割った。直近では0.7前後で減少が鈍っているようであり、陽性者数の高止まりの懸念もある。

東京都発熱相談センターにおける相談件数(最新9月6日)
・9月5日(月曜日)は1,887件と1週間前の同曜日よりも1,000件以上減少した。
・7日間平均もこれにより2,136件と2,000件近くまで下がり続けているが、依然として高い値ではある。

重症者推移

重症者数は260名と前日より7名減少した。年代別、男女別の重症者数は下表の通りである。

画像4

・若年層の重症者数は10代0名、20代4名、30代14名と増加は頭打ちとなっている。
・40代から60代は40代が43名、50代102名、60代60名と、重症者の中心を占めている。50代の重症者が急増したが、直近はその増加も鈍って来ている。
・重症者の中心であった70代は8月2日には12名まで減少したが、その後上昇し9月6日は33名と1月20日に記録した過去の最大値59名の60%前後を推移しており、今後の死亡数の増加が懸念される。重症化数は感染数の増加に遅れて来るため、まだしばらくは重症者が増える可能性があり、今後の死亡増が懸念される。
40代から70代の重症者の推移を下図に示す。

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感染者・死亡者累計

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報告日別の陽性者累積カーブを見ると8月上旬に変曲点が出来、増加が鈍り始めた様である。これに対して死亡者の累積カーブからは、8月中旬から増加幅が増えている。
9月5日付で16名の死亡報告があった。お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げます。 
報告される死亡者数を1週間単位で比較すると、2月の上旬には1週間で140名(1日平均20名)を超えたが、GW中の5月6日には14名(1日平均2名)まで下がった。そこから増加を始め5月21日の70名をピークに7月26日に7名まで減少したが、直近は、84名(1日平均12名)と前回のピークを超えている。
死亡者を死亡日別で見た場合、報告の遅れが1週間前後あるため直近の値は低くなる傾向がある。このため直近の1,2週間は棄却するのが妥当であるが、それ以前の期間のトレンドを見ると、7月下旬から増加を始めており、特に8月中旬から増加のペースが上がっている懸念がある。

年代別推移

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・感染者の7日間移動平均に関して、20歳未満、60代、90代も続いて減少に転じ、70代、80代も頭打ちになった。
・9月5日現在の65歳以上の感染数の移動平均は121名で8月26日に203名と年始(265名)の80%近い値に達した後、緩やかに減少している。ただし重症者の数は感染数の増加に遅れて増える傾向にあるため、今後の重症者の増加の懸念は残る。
・65歳以上の感染数は9月3日は104名(前日比+63)、全感染者に占める割合は6.4%である。
・20歳未満の感染数が増加している。この年齢層は重症化率が低いため今のところは医療機関への負荷は比較的軽いとは思われるが、今後の推移に注視が必要である。

グーグルモビリティ(最新9月1日) との相関

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グーグルモビリティに9月1日までのデータが追加された(グーグルモビリティレポートについては
https://support.google.com/covid19-mobility/answer/9824897?hl=ja&ref_topic=9822927
または、2020年10月3日のノート参照)。

・7月の連休明け以降「乗換駅」、「職場」のモビリティの低下が見られた。8月8日の週は連休からお盆休みに入ったため「職場」「乗換駅」は低下したが、「小売・娯楽」に対する抑制効果はあまり見られなかった。
・お盆明けの週は7月連休前に比較すると「職場」「乗換駅」に加えて「小売・娯楽」でも人流が抑制されている。それ以降も7月連休前に比較すると人流は抑えられているが徐々に増えている様に見える。
・グラフ上のRtは7月の連休以降の低下が見られる。

第1波、第2波、第3波、第4波との比較

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2020年の5月23日以前を第1波、5月23日から営業時間短縮要請が解除される前日の9月14日までを第2波、9月15日から緊急事態宣言が全面解除される2021年3月21日までを第3波、3月22日から6月16日までを第4波、それ以降を第5波として、各期間の感染数・死亡数を年代別に表にまとめて、発症日別陽性者数、重症者数、高齢層の新規発生数(報告日ベース)の各トレンドと併記した。
第1波から第4波までは、多少の相違はあるが、概ね同様な傾向が見られる。これに対して、第4波と第5波を比較すると、感染数に関しては第5波では60代以上の比率が大きく下がっている。これはワクチン接種の効果が出ているものと思われるが、比率は下がっているが数としては徐々に増えて来ており今後の推移に注視が必要である。死亡者に関しては、まだ総数が302とまだ多くはないため確たる事は言えないが、70代、80代の占める比率が下がり替わりに50代の比率が増加している。また総数としては多くはないが30代、40代の死亡も増えている。これはワクチンの接種が遅れている事が起因していると考えられ、これらの年代へのワクチンの推進が喫緊の課題と言える。

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