BUCK-TICK 22nd Album「ABRACADABRA」の感想
BUCK-TICK33回目のデビューの2020/9/21に22枚目のアルバム「ABRACADABRA」が発売されました。まさかアルバムタイトルに「アブラカダブラ」なんて付く日が来るとは思ってませんでしたよ……すごい……
新型コロナウィルスの緊急事態宣言を挟んでのレコーディングだったので、色々作品への影響はあったようです。当初はもっとダークな雰囲気だったみたいなのですが、コロナでろくに外も出れないのに暗い曲ばっか作ってたら「だんだんイライラしてきた(今井氏談)」とのことで、「ユリイカ」を始め、スカっと!さっぱりした聴き味の曲が揃うアルバムになりました。
また、発売日にはなんと有料の配信ライブを開催!なんて豪華な催しもありました。
それでは収録曲の感想と行きましょう。14曲もあるんですね……豪華……
01:PEACE[作曲:今井寿]
アルバム1曲めのインストナンバー。
アルバムジャケットの景色をそのまま音像化したかのようなキラキラほわほわした曲です。
9曲目の「ユリイカ」のイントロを再構成したものなんだそうです。
02:ケセラセラ エレジー[作詞:今井寿 / 作曲:今井寿]
実質のオープニングナンバー。いつものサイバーパンクな香りの漂う「今井さんが歌い倒す曲」です。
ただ今回、今井さんが歌う担当相当の部分があっちゃんとのユニゾンです。
歌詞の「ファファファファ」って何?ケフカ??と思ったら、ライブのとき中指突き立ててたので、どうも「Fxxk」の意味のようです。「ララララ」のところは「Love」ですね。
03:URAHARA-JUKU[作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿]
まさかの裏原宿ときました。「裏腹」とかけてるっぽいですね。
なんだかとってもポップでアングラな雰囲気です。
純度ってなんの純度なんでしょう? 水がやばいとか言っているので可燃性の水かなんかでしょうか?
04:SOPHIA DREAM[作詞:今井寿 / 作曲:今井寿]
前曲に増してアングラ感漂う曲です。ストーリーがきっと繋がっているのでしょう。曲自体はダウナーな印象なのに、歌詞は大変アッパーです。
「ルーシと二人でダイヤモンド」ってまあ、Lucy in the Sky with the Diamondって感じなんでしょうけど、まあやっぱりそっちなのかって感じですね。
05:月の砂漠[作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦]
妖しい感じの気だるいナンバーです。「月の沙漠」という童謡があるようで、そこから着想を得たのでしょうか?
意外とギラギラ暑いって感じよりジメジメ暑い印象を受けます。
06:Villain[作詞:櫻井敦司・今井寿 / 作曲:今井寿]
近頃、ディズニーがハロウィン時期とかにガッツリフィーチャーするおかげですっかり有名になった単語ですね、ヴィラン。ただ、歌詞では「糜爛」と書かれています。
歌詞の内容としては昨今のSNSにおける有名人への匿名の誹謗中傷をテーマにしているようです。
07:凍える Crystal CUBE ver.[作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦]
もともと12曲めのMOONLIGHT ESCAPEのシングルのカップリングだった曲です。内容的には対であると考えるのが自然でしょう。
「凍える月」を「手首にそっと」当ててるところから、シンプルに捉えるなら自死に至る心境を歌ったのかなって思います。
MOONLIGHT ESCAPEが虐待されている子どもをテーマにしているので、こちらは産後鬱や育児ノイローゼなのかな、って思いますが、アルバムのこの位置にあると、また少し違った側面に見えます。
08:舞夢マイム[作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿]
あっちゃんが大好きそうな昭和歌謡風楽曲です。
クズ男を情婦が刺し殺しているところなんでしょうか? Nice boat.なんでしょうか?
ぜひとも女声パートを椎名林檎さんあたりにやっていただいたバージョンを出していただければと願わずにはいられません。
09:ダンス天国[作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦]
星野さんが必ず1曲差し込んでくるノリノリナンバーです。世間的にはやっぱりJupiterやらドレスやらしっとりとしたバラードナンバーの名手みたいな扱いなので、反動でこういう陽キャ全開な曲を書きたくなるんだそうです。
今回もノリノリです。
10:獣たちの夜 YOW-ROW ver.[作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿]
2019年の5月に幕張メッセでやった「ロクス・ソルスの獣たち」という2デイズライブのテーマ曲でした。。。なのでアルバムに入ったことがいささかビックリではあります。
BUCK-TICKにはマニュピレートをお願いするアーティストが3人いて、シングル盤はいつもの横山和俊さん(でもシングルに採用されたのは5年ぶりとか……)、その3曲めにCube Juiceさんのバージョンが収録されていて、残りのYOW-ROWさんバージョンがあわやお蔵入りするのかと思ったらしっかりこちらに入りました。
GARIGARIしいデジデジしたアレンジで、また違った印象を受けます。
11:堕天使 YOW-ROW ver.[作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿]
2019年の年末のDIQで初お披露目されて、年明けの結構早めに出ましたが、アルバムの先行シングルカット曲です。こちらもシングル盤は横山先生バージョンが採用されているので、アルバムはYOW-ROWバージョンです。
横山バージョンは押し引きの効いたアダルトなアレンジで、最初聴いたときどうノッたらいいのかよくわからず、聴いてるうちにだんだん慣れていきましたが、こっちは割とすんなり聴けると思います。
12:MOONLIGHT ESCAPE[作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿]
シングルカット第2段ですね。こちらはシングルと全くおんなじ音源です。
前述のとおり、児童虐待がテーマになっており、櫻井さん自身の体験が大いに反映されているとのことです。
ただ、やっぱりアルバムのこの位置にあるとまた意味合いが変わって聴こえます。時として逃げるという選択肢もあるんだよ、と言うのが親からの虐待に限らず、いろいろなことに対しても言えるんでしょうね。
13:ユリイカ[作詞:櫻井敦司・今井寿 / 作曲:今井寿]
アルバム発売のちょっと前に音楽配信サービスで先行配信された、このアルバムのリードナンバーです。アルバムタイトルである「アブラカダブラ」もこの曲の歌詞から取られています。
タイトルはもともとアルファベットで「EUREKA」だったはずですが(音楽と人のインタビュー記事に片鱗が)、きっとあまりにもみんな「エウレカ」と読むもんで、カタカナのユリイカになったのでしょう。
新型コロナ流行で不便極まりない生活を強いられていますが(おかげさまで良くなったことも個人的には結構ありますけど)、アブラカダブラ疫病退散、LOVE、YEAH、PEACE!ですね!
早くライブで! 会場一体で! やりたいですね!! ピィィィス!!
14:忘却[作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿]
前曲ユリイカとラストを争った曲だそうです。1曲めがユリイカのフォーク版なのでユリイカが最後だと1曲めと綺麗につながる仕掛けだったそうですが、やっぱりしっとり終わったほうがいいよねってことでこの曲がラストになったようです。
曲の内容……というか雰囲気としては「ああ、新型コロナ、そんなのもあったよね」みたいにすうっと忘れ去る日々が訪れた日を予見して、歌ったような、そんな感じです。