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【誹謗中傷の法務】発信者情報開示のスピード感
昨年に引き続き、今年も発信者情報開示のご相談は多くいただきます。
その中で、よくある話が書き込みなどが時間がたってからのご相談というものです。過去に発信者情報開示の概要については書きましたが、今回はなぜ早くやらないといけないのかというところに絞ってみましょう。
https://note.com/lawyer_funabashi/n/n683ea2e67f8e
1 時間制限の理由(経由プロバイダのログ保存期間の短さ)
発信者情報開示の場合、経由プロバイダ(例えば、NTTドコモ、OCNなど)への開示請求をする前に、誹謗中傷などの投稿がされたコンテンツプロバイダ(例えば、Twitter、インスタグラムなど)へのIPアドレス開示を求めます。なお、経由プロバイダから開示される典型例は、契約者情報になります。
しかし、コンテンツプロバイダからIPアドレスが開示されたとしても、次の経由プロバイダで開示をする際に、もうログが残っていないので契約者情報とのマッチングができないということで開示が不可能となる可能性が高くなります。
このログの保存期間は、各社によって異なりますが、おおむね3ヶ月~6ヶ月くらいになります。
つまり、この期間までに経由プロバイダを特定しておかないとログが消えてしまい、発信者特定ができないという可能性が高くなってきます。
2 コンテンツプロバイダのIPアドレス保存
特に相談の中ではTwitterの投稿について相談をいただくのですが、よくあるのがおそらく現在でもログインをしているので、アクセスしているIPアドレスは最近でも新しいものがあるはず(だから時間制限は大丈夫では?)というものです。
これは、先に上げたように経由プロバイダの保存期間があるので、そういった話が通るわけではないのが一点。
そのうえで、Twitterなどでいえば、各社が保有しているのはログイン時のIPアドレスであることは間違いないのですが、裁判所が開示を認めるのは違法な投稿をした時点でのIPアドレスになります。※例外もあるようですが、自分が経験したケースはほぼこれです。
なので、現在ログインしているだろうとしても、違法な投稿から時間がたってしまっていると、当時のIPアドレスが残っておらず、開示されたIPアドレスでアクセスしたとしても、それは違法な投稿のさいにしようされたものではないとの反論をされてしまい、経由プロバイダでの開示請求訴訟で負ける危険もあるのです。
Twitterだと、開示決定から60日にさかのぼったあたりまでしか開示されていないという実情です。
3 なるたけ早い相談と証拠保存
経由プロバイダのログ保存期間という制約もあり、時間制限のある発信者情報開示。
プロバイダ責任制限法の改正で新しい仕組みも出てきますが、それによってログ保存期間などが長くなるわけでもありません。
削除ならまだしも、投稿者の特定を考えるならば、とにかく早めの相談がマストです。