【コスプレイヤーの法務】コスプレ盗撮の代償
GW中にニコニコ超会議が2年ぶりに開催されていたらしいのだが、そこでの盗撮の記事を見かけてしまった。
仕事柄、刑事事件、特に盗撮事件なんかもよく扱うので、今回はそのことについて。
1 盗撮の代償
ローアングルでの撮影だとかなんだとか言われるが、結局のところ、盗撮を規制するのは各都道府県の定める条例が基本的なものといえます。
撮影する、はもちろんのこと、差し向ける、設置するもアウトなわけです。
これに対する刑罰というのもあるわけで。
罰金が定められているからといって、数万円で済むはずもなく、初版であっても数十万単位で罰金になるというのもよくある話です。
罰金で収まるならば、盗撮のほうが割が合うと考える人はいるんでしょうか。
処罰ならまだしも、職場や家族にも事件のことを知られてしまうというのは大きな代償です。
それこそ、巡回中の警察官に逮捕されるケースだけでなく、居合わせた一般の方による逮捕(私人逮捕)なんていうものもありますから、警察官が近くにいないから逮捕されないとかそんな甘い話でもありません。
逮捕により職場などが事件を知り、職を失った人たちをよく見てきましたが、代償は高くつくといわざるをません。
2 盗撮の被害
では、盗撮の被害者は、何ができるのか。
刑事事件の被害者であれば、被害届などによる意思を示すことになります。それ自体で被害回復ができるわけではありませんが、やったことに対してしかるべき処罰を与えるという意味では、これが一番大きいものになると考えられます。
もちろん、そのほかに金銭賠償ということを考えると思いますが、被害届と引き換えに示談をし、その際に金銭が支払われているというところです。
インターネット上には、示談金の相場なんて記載があったりもしますが、別にそんなものがあるわけではなく、示談のお話を弁護士としてしてもその幅は千差万別です。
3 一度出たものは消えない
撮影データというものも今はデータになっていることがほとんどですから、消えているのかどうかも被害者からすればわかりませんし、不安でしかありません。
一方で、犯人自身も一度出てしまった情報というものは、消すことがとても難しいといわなければなりません。それこそ、過去に起こした事件で報道がされてしまえば、それを消すということはとてつもなくハードルの高い話です。
検索結果からの削除という段階でこのような判断が出されているのですが、公表されない法的利益が明らかに優越するというのがどういう場合に認められるのか、特に上記最高裁決定は逮捕報道されたことについての判断なので、一度出ると消えないというのはこれからもそれなりに先例に従った判断がなされる以上は、変わらない考えだと感じるところです。
(一方で更生することを考えれば削除なども考えうるところであるのもまた事実です。)
4 最後に
いずれにせよ、盗撮が犯罪行為に該当するのは間違いない話であり、これによって被害者が傷つくというのは当たり前なのですが、加害者もそれ相応の代償を負うのです。
病的に盗撮行為を行っている人もいますが、取り返しがつかなくなる前にしかるべき対応をすることをお勧めするばかりです。