『practical 金融法務 債権法改正』146頁
債権譲渡制限特約の説明に「相対効」という言葉は使ってほしくなかったな。「相対効」と言ってしまうと、「債務者との関係では無効」といった誤解を招いて、正確な理解の妨げになるだけだと思う。
ここは、『講義 債権法改正』212頁以下の説明にあるとおり、「履行拒絶権」や「弁済固定効」といった言葉を使ったほうがより適切だと思う。
「相対効」と聞くと「債務者との関係では無効」と考えてしまうのは、譲渡制限株式の譲渡の論点での相対的無効説(当事者間では有効だが、会社との関係では無効)が想起されてしまうからだね。
(ところで、改正民法との平仄を合わせる観点からは、上記論点については有効説を採るべきなのかな。まあ、無理に平仄を合わせる必要もないけどね。)
『Before/After 民法改正』253頁でも、
「新法の規律は、(中略)譲受人が債権譲受を債務者以外の第三者には対抗できるが債務者には対抗できないとする相対効の考え方(相対的効力案)とは発想の根本を異にするものである」
と説明されているね。
(この点、潮見『民法(債権関係)改正法の概要』では「相対的効力説」との名称が付されているが(149頁等)、上記の理由から賛同できない。)