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お客様の気持ちを大事にしながら、接客の力でゴミを減らす

 全国にあるローソンのオーナー・クルーに、マチの魅力とご自身との関わりをインタビューする企画「#マチのほっとステーションをつくるひと」。
 
 今回は、大阪市の南部にあるローソン住吉沢之町一丁目店を経営する奥野貴史さん・陽子さんご夫妻にインタビュー。
 貴史さんは、NPO法人の活動に参加し、大阪湾の清掃活動を続けるダイバーさんとのこと。マチのお客様との関係と、ゴミを減らす活動との、意外な接点が見つかりました。


店舗移転も、二つの入口設置も、お客様の便利のためなら手間を厭わない

本日は、よろしくお願いします。このnote始まって以来、初のご夫婦インタビューになりますね。
 
貴史さん:よろしくお願いします。
 
お二人はご夫婦でお店を切り盛りされているそうですが、それまでもお二人で同じお仕事をされていたんですか?
 
陽子さん:私が給食を作る会社で栄養士をしていまして(笑)彼は、飲食店の料理長をしていました。決して、料理系の学校、ということはなかったのですが、本当に偶然ふたりとも料理の世界で。
 
貴史さん:私が料理長として系列のお店をひとつ任されていたのですが、昔から独立願望があって、雇われるよりもオーナーになって独立してみようと思い、ローソンを始めました。
 
飲食店からローソンオーナーに!飲食店という選択肢はなかったのですか?
 
貴史さん:いざ独立を考えた時に、飲食店だけじゃなく、お弁当屋さんがいいんじゃないかなとか色々と選択肢はあったんですけど、親戚がローソンの経営をしていたので、その親戚のオーナーにローソンを紹介もらって、色々と考えてローソンに決断したっていう感じですね。
 
最初からこの場所(住吉沢之町一丁目店)だったのですか?

陽子さん:もともとはこの向いの場所で営業していたのですが、広い駐車場が取れるお店があるということで移転しました。駐車場ができることでより多くのお客様に来ていただけるので、絶対にこっちの方がいい!と。
 大阪、特に南部のエリアになると自転車で来ていただくお客様も非常に多いので、そのお客様が停めやすい場所にしたいなとも思って。もともとは駐車場と駐輪場の場所が逆だったんですけど、入り口に近い方を駐輪場にしたくて、無理を言って変えてもらったくらいです。

お客様の便利を追求されている素晴らしいお話…!このお店に初めて来たのですが、正面の入口とは別に、反対側にも入口があるのに驚きました。
 
貴史さん:建物自体が、もともとそういう作りになっていたんですよね。お店を移転する前に、夜なんかは防犯も大変だし、普段は閉めてもいいんじゃないか?という意見もありました。でも、まずは一旦開けてみよう!と思って、入口を二つにして営業してみたんですよね。
 そうしたら、これまで来られなかったお客様が、すごくたくさん通ってくださるようになったので、びっくりしちゃって。裏側の入口には住宅地があるのですが、正面入口に回るためにはぐるっと回って100メートル以上歩かなくてはならず、もし裏側に入口がなければ来店の障壁になっていたと思います。ご年配のお客様などからはこちら側に入口を作ってくれて嬉しいと仰っていただきました。
 なので、そこからは、裏側の入口も開けるようにしています。もちろん掃除など大変なこともありますが、それでも来ていただけるお客様の期待には応えたいなと。


大阪湾で気がついた生活ゴミの多さと、芽生えた責任感

事前に貴史さんの店外での活動について少し伺っていまして。大阪湾に潜って清掃する活動に参加されていると聞いたのですが…。
 
貴史さん:参加しています。年に数回ですかね、大阪湾を綺麗にしようという活動があって、仲間たちと参加しています。
 
やはり、地域の環境保全の活動に参加しよう、みたいな目的ですか?
 
貴史さん:実を言うと、ただ大阪湾に潜ってみたかった、というのが最初に参加した時の正直な気持ちです(笑)。妻とは大学時代からの付き合いなのですが、その時から二人で「一緒にダイビングしたいね」って話していたのがきっかけです。
 
陽子さん:私はもともと水族館が好きで、水族館の中ってどうなっているんだろう、魚はどういうふうに動いているんだろうとか、そういうのが気になって始めたんですけど。夫は本当に海にぷかぷか浮いてるのが好きで(笑)。なので、場所に関係なく、潜ることが好きみたいです。
 
貴史さん:パラグライダーとか、アクティビティ全般に興味があって、結局、最後まで残ったのがダイビングというか。
 最初はキレイな海に潜るというみなさんのイメージする普通のダイビングです。それから夫婦共通の趣味として、国内・海外含めて色々なところに二人で潜りに行って。今でも二人でダイビングには行っているのですが、私個人としては、ずっと大阪に住んでいるのに、大阪の海って潜ったことないなって思っていて。それで探してみたら、NPO法人としての清掃活動でなら潜ることができると聞いて、潜ってみようと。
 
清掃、というからにはやっぱり正直…。
 
貴史さん:はい、キレイではないです。ヘドロがすごくて、潜った瞬間に視界が全くなくなるみたいな状況ではあります。イメージされているような、袋にゴミをポイポイっていれていくような感じではなく、手探りでひとつずつ慎重にゴミを取って回収する地道な作業。ヘドロは触ると水中に舞い上がるので、余計に見えなくなってしまいます。
 
陽子さん:なので、私は怖くて潜れないですね(笑)。最初に上から見ていても空気の泡が全く見えなくて…。もしかして溺れてしまったのかも?とびっくりしたくらいでした。
 
貴史さん:海上保安庁の方とかも一緒なので、そういった意味では安心して潜ることはできますが。でも本当に汚いです。
 
どんなゴミが多いのですか?
 
貴史さん:ヘドロが多いのですが、ヘドロは結局ゴミの周りにできるので、元をたどるとやはりその地域の生活ゴミが多いです。商業施設がある近辺の海は、分かりやすく関連のゴミが沈んでいますし、ポイ捨てに限らず、近辺で遊んでいる人のゴミが風に飛ばされてしまって。というのもあるのかもしれません。でも、ゴミは一度海に落ちてしまうと、ダイバーさんしか拾うことができないので、どうしようもないというか。
 中にはレジ袋みたいなコンビニ由来のゴミも一部あります。仲間たちは、みんな私がローソンで働いていることを知っているので、そういう時は正直少し気まずい思いもあります(苦笑)。目の前で渡している時はそう思わなくても、本当に捨てる方も中にはいらっしゃるんだ、という驚きの気持ちになります。だからこそ、興味本位の大阪湾ダイビングから、継続的に参加しなきゃというような気持ちに変わってきて、今でもNPO活動に参加しています。


お客様と向き合って、不必要な「当たり前」を無くしたい

ローソンを始める際に、プラスチックゴミに関して意識したことはありましたか?
 
陽子さん:それは、私の方があったかもしれません。これまで接客業の経験がなかったので、コンビニ接客の当たり前と、自分の考える当たり前って、こんなにも違うんだなって感じました。いわゆるギャップが大きかったので。
 
具体的な例を教えていただけますか?
 
陽子さん:一番びっくりしたのは、お弁当を買ったお客様には、お手拭きをつけるのが「当たり前」ということですね。お客様が欲しいかどうかに関わらず、おつけするのが当たり前という感じで。私からしたら、要らないシーンも十分にあると思っているのですが、それでも考えなくつけるのか?必要のないお客様にもお渡ししてしまって、ゴミになっているような状況もあるんじゃないかな?と思いました。
 なので、お店を始めた当初から『お手拭きはご入用ですか?』と聞くように心がけました。いざ聞いてみると「自宅で食べるからいらないよ」みたいに仰ってくれるお客様も結構いらっしゃって。ゴミになるかもしれないものを渡さなくてよかったなと。

他にも気をつけていることはありますか?
 
陽子さん:オープン当初から必ず聞いているのが、マチカフェのアイスメニューのストローですね。必ずストローをお配りしたり、コーヒーマシンの横に置いておくのが普通、といったお店が多いと思うのですが、うちのお店では必ず「ストローご入用ですか?」と聞くようにしています。
 別にストロー自体がダメという訳ではなくて、例えば500mlの紙パックの飲料を買われるお客様、車で運転されるお客様といった必要な方には、もちろんお渡ししています。でも、本当に必要なのかをしっかり聞かないと、と思っています。
 
貴史さん:マチカフェの飲み口も変わって、アイスコーヒーなどはストローがなくても飲めるようになったんですよね。その前から聞くようにしていたのですが、今であれば「ストローがなくても飲めるカップに変わったんですが、ストローご入用ですか?」といった具合に紹介もしたりして。
 
なるほど。それを10年以上前から続けられているのはすごいですね。
正直、業務用で大量に発注していらっしゃると思いますし、レジが混んでいる時とか、いちいち聞くのも大変みたいなことはないんですか?
 
陽子さん:全然。苦じゃないね(笑)。
 
貴史さん:そうだね、苦じゃない(笑)。
 
陽子さん:だって、少し聞くだけのお時間ですし、お釣りをお渡しするとか、ポイントカードがお持ちかどうかを聞くのと、そんなに大きく変わらないですよ。一緒に聞いちゃえばよくて。
 お客様とコミュニケーションを取ってお客様の意向や気持ちを汲み取るが接客なので、それくらいは聞いて普通なのかなって。だから、初めてうちのお店で働くクルーさんには、こういったことは聞くように、最初に日に必ず伝えています。
 
言われてみれば普通のこと、なのですが、改めてすごいなと思いました。
最後に、お二人の今後の夢を聞いてもいいですか?
 
貴史さん:いずれは海の近くのローソンをやらせてもらいたいなと(笑)。
 
納得です(笑)。貴史さん、陽子さん、ありがとうございました。