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マチの変化とともに31年、30店舗を経営する凄腕オーナー。四方田マネジメントオーナー

全国にあるローソンのオーナーさん・クルーさんに、マチの魅力とご自身との関わりをインタビューする企画「#マチのほっとステーションをつくるひと」。
 
第1回目は、京都の山科地区を中心に、30店舗のローソンを運営されている【株式会社秀静】の代表取締役会長、四方田秀喜(よもだひでき)さんにインタビュー。京都・滋賀の二府県で多店舗展開をされる四方田さんの、マチに対する想いを伺いました。

【マネジメントオーナーとは】
地域に密着した多店舗経営を行い、本部と共に成長を目指す事業経営者として、より強いパートナーシップを持つ、ローソン公式認定オーナーです。認定を受けたオーナーは、通常はローソンの本部社員が担う店舗指導や従業員育成の役目を、独自に受け持ちます。現在(2022年12月末時点)認定されているマネジメントオーナーは約200人、今回取材した四方田オーナーはマネジメントオーナー制度発足時からの初期メンバーとして活躍しています。


日本一のオーナーになってやろうと、京都で始めた1号店

本日は、よろしくお願いします。まずは、この京都でローソンを開業するに至った経緯を教えてください。ご出身は京都なのですか?
 
 生まれは埼玉です。その後、新卒で就職したのが日本橋に本社のある繊維商社だったのですが、繊維商社で部もいろいろ、アパレルとかテキスタイルとかあって。そこで、入社してすぐに、3年ぐらい京都行ってきてくれませんかっていきなり言われて、3年ぐらいだったら京都行ってもいいかなと(笑)。

でも3年で終わらなかったと…。
 
 そのままずっと京都勤務です(笑)。その後もその商社で20年くらい働いていたのですが、景気が少しずつ悪くなって、繊維業界はその時特に景気が悪かったので、ここにいてもしょうがないんじゃないかなって思い始めたのがきっかけです。
 
 私の実家が地方の卸問屋なんです。父親がやって、今も兄がやっているんですけど、自分もいずれは独立して商売したいなと、商売の家に生まれたんで、そう思っていたんですね。そんな時に、たまたまローソンの広告を見て。あの当時はコンビニに行ったことはなかったんですけど、開業資金数百万円程でオーナーになれますなんて広告を見てやってみようかなと。本部の担当者と話をして、大体それでこれまで勤めていた会社を辞めようと腹を決めました。

そこで初めての店舗をオープンされたんですね。
 
 そうです、今はもうないのですが、山科の「ローソン西野店」というお店でした。小さな店だったんですけどね。呉服の商売って決済が全部手形なんですよ。なので、お客さまから直接、お金をいただくのが新鮮で。私も初めてこういう商売をするし、こんな楽しい商売はないなって思いました。
 
 西野店の近くには東山高校の大きなグラウンドがあって、サッカーとか野球とか陸上とかの練習や試合でみんな来るわけですよ。毎日来てくれる学生さんのためにからあげクンだとかを作るわけです。夏になったらみかんの缶詰を冷蔵庫に入れて冷やしておいたりして。そうすると、帰りがけに「おっちゃんみかん!」って寄ってくれて。本当に店が真っ黒になるくらい学ランの高校生でいっぱいでした。

2店舗目にオープンした「ローソン国道西野店」

その後、2店舗目をオープンされたということですね。
 
 独立してローソン始めた時から1店舗で終わろうとは思ってなかったですし、大それた話ですけど、その頃、日本一のオーナーになってやろうという気概がありました。だから、最初から複数店舗を狙っていたのですが、2号店やる時は一番決断が必要だったんですよ。
 
 それでも意を決して、1号店の西野店から500mくらいの国道1号線沿いのロードサイドのお店を開店したのですが、これがもう大変で大変で(笑)。ロードサイドなので、売上はいいのですが、お客さまが目まぐるしく出入りするものだから。そんな中でも、近くにタクシーの営業所の運転手さんたちは毎日買い物に来てくれてね、もう買うもの決まっているわけですよね。飲み物とからあげクンひとつ、みたいな。そういった常連さんに迷惑をかけないように品揃えには注意をしましたね。


京都から滋賀に。社員の「やったりましょう!」の一声で、多店舗展開を決断

ストアコンサルタントの苧木(おき)さん(左)と四方田さん

その後の、大きなご苦労ってありますか?
 
 今、滋賀には秀静の運営するローソンが12店舗あるんですけどね、初めて滋賀にお店をオープンした時は、同じオーナーが他府県でローソンをすることはできないっていうからやらなかったんです。やっぱり運営の不安がありますし。なんですが、5、6店舗目で、いきなり山科から50kmも離れた甲賀にお店を出すことになってしまって(笑)。甲賀忍者の甲賀市ですね。

山科から東に、徐々にお店を拡げられた訳ではなかったんですね。
 
 みなさんそうおっしゃるんですけどそうじゃなくて(笑)。滋賀の支店長が甲賀にお店を作るんだけれども、誰もやる人がいないという状況で、「四方田さんいけますかね」っていう話になり。当時、山科の4店舗の売上がそこそこよかったものですから、「よし、行ってみようか!」っていう勢いで。
 
 でも、最初に見に行ったら、ほとんど誰も歩いてないってなって(笑)。京都とは雰囲気が全然違いましたね。それでも、とりあえずやってみようと。それで、2ヶ月ほど経ったらね、その支店長から「実は四方田さんね、2〜3km程先にもう一つできるんですよ、そこもお願いできませんかね」って。話が違うだろうって言いましたけど、最終的には任せてくださいと(笑)。私は次男坊で、フーテンみたいなもんですから。その時その時で動いてしまうっていう感覚があるのかもしれません。

京都と滋賀ではお客さまの様子は違いましたか?
 
 滋賀の人たちは穏やかな方が多いですね、お客さまとの触れ合いの時間も多い感じです。お米30kgぐらいの大きな荷物を送る方が結構多いんですよ。就職やなんやらで家を出た子供に送ってあげてるんだなって、そういうのもの結構ありました。
 
 オープンの時は本当にびっくりするくらい売れました。お祝いムードみたいな感じですね。私は県外・市外のいわゆる「外の人間」なので、もし滋賀に自分がイチから店舗を立てて、新しい商売しようとなると、地域に対していろんな考慮をしなきゃいけないことがあるんでしょうけども。ローソンっていうブランド名があるので、地域の人たちもすんなり受け入れてくださったので、嬉しかったですね。

滋賀のお店も、ご自身でオープン準備から全てやられたのですか?
 
 滋賀に新店を開けた時に、現場を人に任せようと考えるようになりました。当時は高速がなかったので、1時間20分ぐらいかけて山の中ずっと走るんですよ。私もそっちにアパートを借りて、寝られるようにしたりしていましたが、距離もあるし、常時そこにいるわけにはいかないですよね。クルーさんは雇っていますが、何かあった場合にこっちが行かざるを得ないっていうところがあって。そうすると、私が京都の方でシフトに入っていたら、何かあった時にすぐに対応できないじゃないですか。なので、これは任せるしかないなと。
そうしたら、「京都より滋賀の方が好きなので、行きますわ」って社員がいて、じゃあもうそいつに任せようということになりました。

社員さんも勢いのある方が多いんですね(笑)。
 
 うちの社員で、店舗の経営指導に携わるストアコンサルタント(以下「SC」)の苧木(おき)SCっていうのがいるのですが、これがまたなんでもかんでも新しいものには飛びつくんです。5、6号店を契約するにあたってね、まだ不安じゃないですか。実際どれくらい売れるかも分からんわけですから。
私自身がやれるわけではないので、やっぱり社員がやりましょうって言ってくれないと、ことが進まない。でも、苧木くんは「やったりましょう」って必ず言ってくれるんですよね。そういうことを言ってもらうと「よっしゃ!」って自分の決断がしやすいっていうか。
 
今はもう長いことやっているから、大体様子が分かってるんですけど、それでもやっぱり、新店開けるってなると、大丈夫かなお客さま来るかなとか、ほんまに売れるのかなとか、不安になりますから。


「このお店はうちの冷蔵庫」の声から、「ほしいものが、ほしい時に、ほしいだけある」が私たちの基本に

多店舗展開を任せていくのは大変だと思いますが、そんな中で、特に気をつけていることはありますか?
 
 主体は基本的なところは外したらいかんと思ってやっています。ほしいものが、ほしい時に、ほしいだけある。というのが私たちのお店の基本なんですね。
 
 もちろん地域密着も大切にしていますが、お客さまがコンビニに求められるのはしっかりと品揃えのあることですし、あくまで、その上での地域密着というのかな。
 
 今はレジに立ってないからそんなことないんですけども、ローソンを始めた最初の頃は、ほとんど毎日お店に立っていました。そうすると、お客さまと会話ができてきて「今日はちゃうもんを買ったらどうなのか」って色々とお話しするんですよ。そうすると、地域の人たちが「このお店はうちの冷蔵庫だからね」って冷蔵庫代わりに使ってくれたりするようになって、だから基本の品揃え・オペレーションをしっかり踏まえた上で、地域に合う商材であるとか、そういうものは変えていくっていうスタンスがいいんじゃないのかなと思います。

お店を始められた時と現在を比較して、マチでの立ち位置が変わったなと思うことはありますか?
 
 一番変わったのは世の中がコンビニを認知してきたっていうこと。始めた頃はコンビニに対する世の中の風当たりはそんなに良くなかったんですよね、夜中に人が集まるから駐車場は治安が悪いんではないかとか、隣近所で24時間営業の反対があったりしたとも聞きました。それでも便利だからみんな使っていたっていう印象だったんですね。
 
 そんなお客さまのコンビニに対する認識が変わったのは東日本大震災後以降かな。コンビニがあってありがたい。自分たちのマチに、コンビニに来てほしい。そう思われるようになったと思います。今は、お客さまから支持されていることを強く実感しますし、それが1番嬉しいですよね。

逆に変わらないものがあれば教えてください。
 
 「からあげクン」ですね。200円だったのが、ちょっと変わってしまったけど(笑)。でも、からあげクンは素晴らしいね。

四方田さん、ありがとうございました。