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「即決」で信頼構築へ。入社2年目で店長として結果を出すために
スイーツ好きが高じてローソンに入社したという小野さん。配属されたのは、ローソン直営店の久が原一丁目店。ローソンの旗艦店の一つで、取り扱う商品数は通常のアイテムに加えて、医薬品、無印良品、成城石井、ナチュラルローソンの商品など多岐に渡ります。サービスも、デリバリーサービスにゴーストレストラン、MACHI café+、セルフレジなど、新しい取り組みを数多く実施するため、日々の業務にチャレンジが尽きません。そうした店舗で店長を担う小野さんに話を伺いました。
■ゴーストレストランとは?
店内の厨房で調理したデリバリー専用商品をローソンとは異なるブランドで販売するサービスです。
■MACHI café+とは?
知識や接客などのスキルが優秀なスタッフ「ファンタジスタ」が在籍している選ばれた店舗でのみのサービスです。生のバナナを使ったスムージーや、その場でこだわりの豆を挽いて作るコーヒーやカフェラテなどのメニューを取りそろえています。
株式会社ローソン 首都圏カンパニー 東京営業部 品川支店 久が原一丁目店/小野 新叶(おのにけ)
2000年、東京生まれ。大学卒業後の2023年にローソン入社。久が原一丁目店の店社員を経て、2024年の入社2年目で店長に。お客様アンケート(※)では、店長を務める久が原一丁目店が直営店(フランチャイズを除く)で1位を獲得。今年6月から導入したゴーストレストランにおいても全国1位の売上げを達成する。休暇は友人とカフェや居酒屋を巡る。スイーツが大好物。
(※)レシートに記載のQRコードを通じて、店舗の品揃えや美観、接客を評価するアンケート
パティシエになりたかったが……
──ローソンのスイーツが好きで入社されたと伺いました。いきさつを教えてください。
とにかく甘いものが大好きなので、最初はパティシエになろうと思っていたんです。でも、少し敷居が高いなと感じはじめて。いろいろ考えたら中学生や高校生の時、私にとってコンビニのスイーツが毎日の楽しみだったので、「もっと多くの人に食べてもらえるスイーツを作りたい」という思いに変わりました。それで、コンビニスイーツと言えば、ローソンだなと(笑)。
高校時代からはローソンで商品開発したいと考えるようになりました。私自身、理系が得意ということもあり、大学で食品化学を学ぶことにしました。ローソンで商品開発をするうえで、化学反応や成分についての理解があれば、開発者の方々とも深い意見交換ができて、商品づくりに活かせるかなと思ったんです。
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──今は、久が原一丁目店という直営店で店長をされていますね。こちらで、すぐにお店の店舗の品揃えや美観、接客を評価するお客様アンケートで1位を獲得されていると伺いました。
実はお客様アンケートで直営店1位を獲得したことを今回の取材を通じて知りました。学生時代は接客のアルバイトをしたことがなかったですし、数値を伸ばすことには苦手意識しかありませんでした。でも、一つずつ課題を見つけて、特に接客に力を入れて改善を重ねていきました。頑張っていたところが、結果につながったんですね。
ただ、もともとこちらにいるクルー(パート・アルバイト)の皆さんが素晴らしいというのは大きいです。皆さん本当に感じが良くて、常連さんが多く来てくださるんです。だから、お店全体の雰囲気もすごく良いのだと思います。
50〜70代のクルーの皆さんが活躍する明るい店
──久が原一丁目店の特徴を教えてください。
住宅街にあるお店で、近くには学校がいくつかあります。休日は家族連れも多いですが、平日は周囲に物流関係の会社もあるので、近隣で働いている方たちが朝ご飯、お昼ご飯などを買ってくださることが多い印象です。
ちなみに「MACHI café+」も大人気です。かなり幅広い客層に支持されていて、平日は決まったお客さまが毎日同じものを注文しに来てくれます。
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お店には、10年、20年と勤続されているベテランのクルーさんが多く、50代から70代の方が活躍しています。
──1年目は店員として教わる立場にありましたが、2年目にして親世代以上にもなる年上の方々をも率いる立場になられた。難しさや戸惑いはなかったのでしょうか?
店長になる前は不安でいっぱいでした。何かを決断する時に「こうしましょう」って言うにも、上から目線で失礼に聞こえたらとか考えてしまって……。でも、皆さん大人なので意外なほど何も変わりませんでした(笑)。本当にアットホームに暖かく支えていただいています。おかげで、私もとくに戸惑うことなく、仕事に専念させてもらっています。
「即決する」ことで信頼を構築していく
──とはいえ、店長は実際にリーダーです。役割を全うするうえで、気をつけていることはありますか?
ひとつだけ、「即決する」ということを大切にしています。クルーさんから決断を求められたら、できる限りその場で「こうしましょう」って即答するようにしていますね。
というのも、私は見た目や雰囲気で引っ張っていけるタイプではありません。一つ一つの決断を早くすることで、皆さんとの信頼関係が構築できるのかなと考えています。
そのためには、普段から本部と現場でのやり取りを大切にして、どの数値をどう上げるか、売り場をどう変えるかなど、毎日考えるべきことを考え続けています。お店では、裏でパソコンに向かってやらなければならない事務仕事が少なくないのですが、なるべく売り場に出るように心がけています。
──ゴーストレストランの売上げも全国1位だったとか。ゴーストレストランについて教えてください。
店舗を持たないレストランということなのですが、ローソンではUber Eatsなどのアプリ経由で注文が入るようになっています。注文が入ると、それを私たちがマニュアルに従って店内の厨房で作って、出来上がったものを配達員の方が注文したお客さまの元に届けてくださるというシステムになっています。
ローソンでは、全国で6月時点で約80店舗。主に首都圏での取り組みになりますが、私がいる久が原一丁目店では、6月に導入されました。日によっては、想定以上の注文が入って大変なときもありますが、みんなで頑張っています。
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売上1位の要因は…?
──導入した月にいきなり全国1位とは! 要因はどこにあると思いますか?
ニーズのある場所柄というのはあると思いますが、提供時間が早いというのも成果につながっているんじゃないかと考えています。
ここのクルーさんは長く主婦をされている方も多く、何をやっても手際が良い。ゴーストレストランのメニューも、すぐに覚えて5分くらいで完璧に提供できるようになったんですよ。
導入から1週間以内に何名かが対応できるようにと自分の中で目標は立てていたのですが、気がつけば皆さん全員ができるようになっていました。リピーターも多いようですし、本当に優秀なクルーの皆さんのおかげです。
冗談で「臨時ボーナスないの?」って言われちゃいましたが、「私にもないので……」とかえしました(笑)。
──ゴーストレストランは、大体どういった時間帯に注文が入るのですか?
夜中の12時ぐらいが多くて、明け方に近い3時、4時にも注文が入ります。久が原一丁目店で扱っているのが、パスタや焼きそば、ラーメンなど専門店のメニュー、そして揚げ物類なのですが、こういった深い時間に開いている店はあまりありませんよね。24時間営業のコンビニだから実現できることです。
仕事で夜が遅い方や夜勤明けで帰る方もいらっしゃるので、そういった方々の需要に応えることができているのかなと思います。
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将来は「宇宙食の開発」にチャレンジ!
──店長になって、ここまで良い結果を生んでいる心境は?
プレッシャー半分、もっと良くしたい半分です。平日夕方の売上に課題があるので、帰宅途中の方がもっと寄ってくださるよう、もっと魅力を感じてもらえるよう頑張りたいと思います。
──将来的にチャレンジしたいことはありますか?
スイーツの開発はもちろんですが、もっと先は宇宙食の開発です。今すでに飛行機の搭乗前、コンビニで軽食を買って乗ることが実現していますが、将来的にはコンビニで宇宙食を買って、宇宙に行くみたいな未来があるんじゃないかなと。そんな未来を思い描いています!
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取材・文/松山ようこ