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異国の地でオーナーに!みんなのやさしさに支えられ8年
全国にあるローソンのオーナーさん・クルーさんに、マチの魅力とご自身との関わりをインタビューする企画「#マチのほっとステーションをつくるひと」。
「マチのほっとステーション」であるローソンで働くオーナーさんやクルーさんは、どのような想いで仕事と向き合い、その「仕事道」にはどのようなドラマがあるのか。今回は子育てと仕事に励む中国出身のオーナー薛琴さんに聞いた。
「市場」とつくが、今は静かな住宅街となっている神奈川県横浜市の鶴見市
場駅ほど近く。近辺に大型スーパーはなく、朝夕は通勤の途中の人々が多く
来店する。日中は高齢者がよく訪れる。
「この近辺は喫茶店などが少ないから、ご年配の方はイートインスペースでコーヒーやデザートを楽しんで、くつろいでいらっしゃいます。そんなときに声をかけていただき、ちょっとお話しすることもあります。接客業が好きなので、お客様とコミュニケーションを取るのは楽しいですよ。レジでも私からあいさつしたり、声をかけたりします。常連さんからは『このお店にはいつもお世話になっているから』と、差し入れをいただく機会も多いんです。うれしいですね」
そう話すのはオーナーの薛せつ琴きん さん。
イートインスペースはゆったり6席。店内は「買い物する場」としてはもち
ろん、「憩いの場」として機能することを意識し、清潔で整った居心地のい
いお店づくりに気を配る。信頼している店長に任せるところは任せながらも、「私も店で困りごとがないか知っておかないと」と、経営する店舗をまわり品出しやレジに立つ。
生まれは中国南部の福建省。中国で働いていた日本人男性と結婚したこと
がきっかけで、18年前に来日した。小売店でのアルバイト経験を経て、「コ
ンビニエンスストアのオーナーになりたい」と志し、奨励金など独立支援制
度や経営ノウハウなどのサポート制度が充実しているローソンに加盟。
2016年、ここローソン鶴見市場大和町店をオープンさせた。
「店舗の経営経験は全くなかったので、最初は苦労しました。でも本部の方はすごくやさしくて、わからないことは丁寧に教えてくれるし、間違えたときはきちんと指摘してくれる。それまでは『日本人は厳しい』というイメージを持っていたんですが、そんなことはなくてみんなやさしい。本部もクルーさんも、そしてお客様も」
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何も言わなくても、店長や
クルーが想いをひとつに
仕事が大好きな薛さん。想いがすれ違ってしまった夫とは別々の道を歩む
ことになり、シングルマザーとしてひとり息子を育てながら、店舗も6店までに増やし大きく成長させた。
「いやいや、私ひとりではここまではできないですよ。店長やクルーさんた
ちみんなの力。感謝しています」
社員は4名。みんな中国出身の女性だ。子どもがいるという共通点もあり、ふだんから一緒に食事をするなどコミュニケーションをとりながら、経営の悩みも率直に相談してきた。クルーの国籍は日本、中国、ネパールとさまざま。それぞれの働き方を尊重しつつも、遅刻をせずに勤務時間は一生懸命働くよう、教育に励んできた。
「人件費も物価も上昇している厳しいなか、最近、店長もクルーさんも自発
的に店舗の消耗品や光熱費にも気を配り、無駄がないように意識して仕事し
てくれていたんです。私から『こうしてほしい』と言ったわけじゃないのに、私の目が行き届かないところもみんなが支えてくれている。びっくりして涙が出るぐらい感動しましたね」と、目をうるませる。
お客様ともっと話したい
その想いで日本語学校に
「お客様のためにもっといいサービスを提供したい。クルーさんのために店舗数を増やしたい。地域に密着した多店舗経営を行い、本部と強いパートナーシップを持つMO(マネジメントオーナー)になりたいという想いがあり
ます。外国人ということで苦労する面もあるけれど、だからこそ日本人以上にもっと努力しないと。ローソンの仕事が好きだから、やる気は誰よりもあると自信があります。私が一番好きな言葉は『明けない夜はない』。失敗しても頑張ればいずれ成功できると信じています」
そんな努力家の薛さんは、半年ほど前から新たに日本語の専門学校に通い
始めた。今は高校受験を控えた息子と一緒に勉強に励む日々だ。
「なかなか時間がないし、この年で若い子にまじって学校に行くのはちょっと恥ずかしいかなと思って、最初は迷ったんです。でも、お客様ともっとスムーズに会話するために日本語がうまくなりたい。日本の文化についてもも
っと知りたい。将来後悔したくないと思って、勇気を出して入学しました」
異国の地での店舗を経営して、あっという間に8年が過ぎた。 「この前、仕事帰りに車でいつもと違う道を通ってみたんです。ちょっと違う景色が見えました。人生も色々な道を歩いたほうが、色々な景色が見えると思うんですよ。ローソンで働いてさまざまな人と出会い、たくさんのチャレンジができた。ローソンがなかったら今の私もないかなって思います」
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文/安楽由紀子 撮影/篠塚ようこ
※「AERA」2025年2月10日号(2月3日発売)掲載の広告タイアップ記事を再構成したものです