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講師紹介|アーティスト

アートライターとして地域で長く活動するためには、各地域のアーティストと仲間になること、協業することが必要です。LAWSでは世代の異なる3人のアーティストとの対話の授業をご用意しています。

1. 岩名 泰岳(いわな やすたけ)さん

岩名 泰岳さん

アーティスト、画家
1987年三重県生まれ。成安造形大学とデュッセルドルフ芸術アカデミー(ドイツ)で絵画を学ぶ。故郷である三重県伊賀市島ヶ原(旧島ヶ原村)で暮らしながら、過疎化によって失われていく土地の記憶や人々の生活をテーマにした絵画を制作。2013年に地元の若者たちと結成した「蜜ノ木」や、2024年に県外の画家たちと結成した「ゑ講」など、アートを通した過疎地域での草の根の実践を行う。主な展覧会に「青森EARTH2019:いのち耕す場所」(青森県立美術館、2019)、「ステイミュージアム」(三重県立美術館、2020)などがある。

岩名さんは、人口2000人ほどの島ヶ原村(三重)で育ち、絵の勉強のため一度は外に出られましたが、2012年に同地に戻られ、地元の歴史や文化、風土や人々に寄り添いながら、土地の記憶を独自に解釈して作品として残しておられます。
島ヶ原村民芸術「蜜ノ木」の立ち上げに始まり、地元の人たちとアートを自然に繋げ、祭りをつくり、アーティストとしてありのままに生きている岩名さんはとても気になる作家さんでした。今回、友人で作家の西村涼さんが岩名さんと繋いでくださり、講師として参加いただけることになりました。
制作の動機はもちろんのこと、自分ごととして長く地域について考え続けている岩名さんだからこその視点で、地域を再読できればと考えています。

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2. さめしま ことえ さん

さめしま ことえさん


1979 年静岡市生まれ。2006 年より鹿児島市在住。多摩美術大学情報デザイン学科卒業。旧姓名浦田琴恵。開発やジェンダーなどを背景に鹿児島での生活から作品を制作。書籍のイラストや子ども向けワークショップも手掛ける。2014 年に編集者の夫と鹿児島の小さな出版社、燦燦舎を立ち上げる。

主な展覧会・プロジェクト

2007 年「SA・KURA・JIMA プロジェクト 2007」( 鹿児島・桜島 )
2009 年別 府現代芸術フェスティバル 2009『混浴温泉世界』国内展「わくわく混浴アパー トメント」コーディネーター ( 大分・別府 )
2008 年『KOTOBUKI クリエイティブアクション』( 横浜・寿町 )
2021 年『生きる私が表すことは。鹿児島ゆかりの現代作家展』長島美術館 ( 鹿児島 )

2023 年『象るふるまい』レトロフト Museo( 鹿児島 )

2024 年さめしまことえ展「日の差すおにぎり長い沼」東静岡アート & スポーツ / ヒロバ ( 静岡 )
2024 年 個展「なんで騒ぐか」レトロフト Museo( 鹿児島 )

共著に『桜島 ! まるごと絵本』『鹿児島田の神すごろく』(全て燦燦舎)他。

さめしまさんは、鹿児島で活動されているアーティストさんです。鹿児島で同時代の表現が生まれるアートシーンをつくることを目的として結成された「かわるあいだの美術実行委員会」のメンバーとして、県内あるいは九州の各地で実験的な試みを多数続けておられます。
また「燦燦舎(さんさんしゃ)」という出版社をご家族で営まれており、そこでは特に、鹿児島という土地を再読・再考することを目的に、地域に根ざした本作りをされています。
さめしまさんとは過去に取材でお会いし、作家が地方地域で生きていくことの難しさや課題などを教えていただき、色々と考えさせられました。ある種さめしまさんとお会いしたことも、LAWSの起点になっているように思います。


3. 小野 環(おの たまき)さん

小野 環さん

1973年北海道函館市生まれ。広島県尾道市在住。美術家。1998年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程絵画(油画)専攻修了。絵画とインスタレーションを軸に、日常の事物や場所の来歴に注目した作品を制作。並行して、アーティスト・イン・レジデンスの運営や空き家再生活動を起点に、様々な領域の専門家とコラボレーションしつつ活動を展開。2006年よりアーティストユニット「もうひとり」としても活動。2007年よりAIR Onomichiの企画運営を行う。主な展覧会に「いにしによるー断片たちの囁きに、耳をー」(瀬戸内海歴史民俗資料館、2022年)、「Re-edit再編」(光明寺會舘、2022年)、「ONLY CONNECT OSAKA」(CCO クリエイティブセンター大阪、2019年)、「複数形の世界にはじまりに」(東京都美術館、2018年) 「VOCA展2004 現代美術の展望―新しい平面の作家たち」(上野の森美術館、2004年)など。キュレーションに「未完の和作」(小林和作旧居、2024年)「NEW LANDSKAP シュシ・スライマン展」(尾道市立美術館ほか、2023年)などがある。2021年第24回岡本太郎現代美術賞 特別賞受賞。現在、尾道市立大学芸術文化学部美術学科教授、AIR Onomichi実行委員会代表、NPO法人尾道空き家再生プロジェクト副代表理事。

小野さんは広島県尾道市に移り住み、以来二十数年、同地で様々な作家活動を展開してこられています。国内外から作家を招聘し、地域に新たな風を吹き込むアーティストインレジデンスプログラム「AIR Onomichi」や、尾道の空き家の用途を地域の人々と連携しながら考える「尾道空き家再生プロジェクト」、様々なアート・文化イベントが行われるコミュニティスペース「光明寺會舘」の運営や、昭和に活躍した地域の重要な作家「小林和作」にフォーカスした「和作ウィーク」の企画運営など、地域と連帯しながら様々なプロジェクトをクロスさせ、広島のアートシーンを尾道から作ってこられた方といえます。また現在は尾道市立大学の教授として後進育成にも力を入れておられます。
小野さんとも取材で出会い、お話させていただく中でプロジェクトの広げ方や古今含めた街への関わりなど、非常に学びが多く、講師依頼をさせていただきました。ライターが地域で活躍するためのヒントを、多視点でいただきたいと思っています。

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授業

アーティストの授業はそれぞれ1回ずつ、リレー形式で全3回実施予定です。以下、3回それぞれの授業で話し合う予定の内容です(仮)。

  • 地域で実践するアーティスト活動

  • その土地になぜ惹かれるか

  • 地域で繋がり、活動を広げていくために

  • ライターと共にできること

アーティストが地域でどのような実践を行ない、どのような視線を地域に向けてきたのか。ライターの観点から話を聞き、私たちは何を文字として残していくのか、どう協業して共に生きていくのか、アートライターが地域に根を張る前の準備を、アーティストと共に考えていきます。


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