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デートのマナーは爪を切ること

NHKの番組に出演したマナー講師・平林都氏が、番組内で厳しい指導を行いスタッフを泣かせたとして、ニュース記事になっている。

彼女のことは、YouTubeのエガちゃんねるで見たことがあったので知っていた。

エガちゃんねるでも、彼女は江頭2:50に対して厳しい指導を行っていた。そのため、今回ニュースになったNHK番組は見ていないが、番組内で行った厳しい指導というのは大体想像がつく。

マナーを教える立場にありながら、マナーが伴っていない言葉や態度、もしくは下品ともとれる言動に対し批判の声があるが、しかし、彼女に対してそのような理由で批判する気持ちは起こらない。

マナー講師は、マナーという知識もしくはテクニックを教える立場にあるが、マナーを使うセンスを教える立場ではないからである。

マナーに必要な想像力

マナーというのは、ナイフやフォークの使い方、身だしなみなど様々ある。果たしてそれが本当に効果的なのか疑問に思うことは多々ある。

しかし、マナーとされるものは、それ自体が礼儀として様式化したものだろうから、テクニックとしておさえておけばよいと思っている。

重要なのは、マナーというテクニックを知った上で、それを使う使わないの選択であろう。その選択において重要なのは、前段ではセンスと書いたが、それはつまり、想像力ということだと思っている。

想像力というのは、自分の行動が相手や周りに与える影響を想像する能力という意味になる。

マナーに厳しい人との会食であれば、正しいマナーで食事をするべきだろうし、マナーを気にしないざっくばらんな場であれば、マナーを気にして畏まるより、やはりざっくらばらんに過ごすべきだと思う。

デートにおけるマナー

以前、女性と初めてデートに行くという若い男性社員と、その他数名で雑談した時があった。

最初のデートは公園がいい、いや映画館がいい、食事はどのお店がいいといった話題で盛り上がった。そんな中、デートで必要なマナーは何か?と問われた。そこで、

「爪を切ること」

と、答えた。

初めてのデートに臨む男性社員は純朴な青年で、何を言っているのかわからなかったみたいだったが、それを聞いた女性社員は、ニヤニヤしながら「セクハラになりますよー」と言っていた。

初めてのデートとはいえ、流れで何が起こるかわからない。デート相手とホテルに行くかもしれないし、どちらかの家に行く流れになるかもしれない。何か起こったときに、相手が嫌がらないよう、痛がらないよう、爪を切るのは必要なことだろうと思う。

そもそも爪を短く切るのは、何か起こらなくても清潔な印象も与えるし、メリットしかない。

デートに行く場所、食事する店を考えることも大切だが、相手のことをどれだけ思いやることができるか。それは、予定調和のことだけでなく、不測の事態にも備える想像力が試されるということでもある。

映画館におけるマナー

映画館においてもマナーというのがある。

本編上映前に、上映中の携帯禁止やおしゃべり禁止といったアナウンス映像が流れる。それらはマナーというよりルールだと思うが、それら禁止されているルールに限らず、満席に近い場合、足を投げ出さないとか、くちゃくちゃ音を立ててポップコーンを食べないとか、そういうマナーはある。

ただし、ガランとした空席の劇場だった場合、足をだらりと投げ出しても許されると思う。その行為によって迷惑を受ける人は誰もいないからである。

しかし、満席の映画館の場合、足を投げ出して周りの人が不快に感じていたら、たった一人のマナー違反によって、せっかく楽しいはずの映画鑑賞が、複数人にとっては不快なものとなる場合もある。

これは、一人の利益のために複数人が不利益を被る状態となる。だから、マナー違反とは、マナーと異なる行為それ自体を指すのではなく、想像力の欠如によって引き起こされる利己的な行為を指すことといえる。

想像力のある人間

マナー講師は、免許教習所の講師みたいなものといえる。

教習所の講師は、運転の基礎知識とともに、ここでハンドルを右に切ればいいといったように、免許の試験に合格するためのテクニックを教えてくれる。

ただし、それら試験のためのテクニックは、実際の運転でそのまま使えるものではない。だから、免許を取ったからといってすぐに運転が上手になるわけではない。

運転が上手になるためには経験が必要であるし、事故にならないための注意力、周りの車に迷惑をかけないための想像力が必要になる。そして、自分だけスピードを出して楽しめればいいという利己的ではない姿勢が必要となる。

自動車免許は多くの人が持っているように、マナーというのもまた、それ自体を覚えることは難しくない。だからマナーを知っていること自体は、大した価値はない。

マナーがある人ない人というのは、マナーを知ってるかどうかではなく、マナーを使うための想像力があるかどうか。そういう、人としての資質があるかどうかということだと思う。

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