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家賃を滞納中。破産の依頼をしても今の家に住み続けられるでしょうか。

金銭問題でお困りで相談にいらっしゃる方には、借り入れ以外に、家賃を滞納されている方がいらっしゃいます。
家賃滞納中に弁護士に破産の依頼をしたとき、今の家から退去する必要はあるのでしょうか。
弁護士法人オリオンの弁護士が解説いたします。

滞納した状態で破産すると、退去しなければならない可能性が高い。

毎月の家賃も支払期限を過ぎれば消費者金融の借金と同じ扱いとなり、破産手続に含める必要があります。
 破産手続にはすべての債権者を平等に扱わなければならないという原則(債権者平等の原則)があるので、家賃の滞納分を破産手続に含めるのであれば、今後支払いをすることができなくなってしまいます。
支払いができないとなると、賃貸人から退去を求められ、最終的に退去せざるを得なくなる可能性が極めて高くなります。

滞納が解消できなければ、退去しなければなりません。

対応策3つ

賃貸物件から退去することになっても構わないということであれば特に問題はないのですが、どうしても住み続けたいというのであれば、何とかして家賃の滞納を解消する必要があります。

滞納家賃の放棄

家賃の滞納を解消する方法としては、まず、賃貸人にお願いして家賃の滞納分を放棄してもらうことが考えられます。
しかし、これはあまり現実的な選択肢ではないかと思います。

他の人の援助を受ける

次に、家賃の滞納分を支払って、滞納分を解消することが考えられます。 
しかし、上記のとおり、自分で返済することはできないため、第三者に代わりに支払ってもらうことになります。親や親戚に代わりに支払ってもらうことが多いですが友人や知人でも構いません。 
配偶者の場合は経済的一体性が認められるのが通常ですので、実質的に自分で返済したと評価されてしまい、破産手続に影響が出る可能性があります。
手順、額、支払方法について弁護士のアドバイスが必要でしょう。

住居を確保できるかは大きな問題です。

自分で支払う。

第三者に代わりに支払ってもらうことができれば特に問題はないのですが、代わりに払ってくれる第三者がいないということであれば、自分で支払う他ありません。
しかし、破産手続では、債権者平等の原則から特定の債権者にだけ返済をすることはできないため、家賃の滞納分を自分で返済することは原則許されません。
もっとも、自分で返済することが一切許されないかというと必ずしもそうでもありません。家賃の滞納分を返済することが不当とはいえない場合は例外的に許容される可能性があります。
問題はどのような場合に許容されるかですが、家賃の滞納分を返済する必要性と債権者間の平等を害する程度が重要になります。そもそも返済の必要性がなければ返済をすることは許されませんし、滞納分が高額になれば債権者間の平等を害する程度も大きくなるためやはり許されないものと思われます。
滞納家賃を返済する場合はこうした点に注意する必要があります。 

今の家に住み続けられる方法を探しましょう。

弁護士法人オリオン法律事務所の実績

これまでに担当した破産事件で、裁判官から弁護士依頼後に滞納家賃を返済したことを指摘されたことが何度かあります。
上記の観点から事情を整理して報告書を作成の上、裁判官を説得し、いずれも最終的に不問になっています。
しかし、滞納家賃の返済が許容されるかは、さまざまな事情を総合的に判断する必要があるため容易なことではありません。判断を誤ってしまうと破産申立後に裁判所からペナルティを科される可能性があります。
産したいが、家賃の滞納分がある場合は、早めに弁護士にご相談されることをおすすめします。

早めに弁護士にご相談ください。


執筆者:横浜支部長 吉田弁護士(神奈川県弁護士会)

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