
8月20日癌専門医
8月20日、癌専門医と面会。
放射線療法専門のカッコイイ女医。背が高くて北欧ぽい感じのゴージャスな先生で、ひっきりなしに電話がかかってきて部下に指示を飛ばしている。その度に大事な説明が中断されるけれど、すごいなと感心。
フランスってバリキャリな女医が多いな。という印象。ま、女医になった時点でバリキャリには違いありませんが。
今後この癌専門医の女医さんを北欧先生と呼ぶことにする。
ここで、北欧先生から衝撃な事実を知らされた。
PET検査でも造形剤CTでも問題なかったはずなのに、この前の超音波内視鏡検査で、食道付近のリンパが少し大きくなっている――と。
「癌がリンパに転移したのかどうかわからない限り、治療を始められないから、リンパの検査ができるかどうか聞いてみるわ」
だからちょっと待ってね。と。
「これが癌じゃないなら内視鏡手術で癌だけとればいい。そのほうが体の負担も軽くてすむし。むやみに科学放射線治療で体を痛めることはない」
とのこと。放射線専門医からそう言われては、納得するしかない。わたしも内視鏡手術で早く癌細胞とサヨナラしたいわ。
でもなんで内視鏡検査の時ヒッピー先生はリンパのこと言ってくれなかったんだろう?
その夕方から、わたしの治療方法についてのミーティングがあるとのことで、そこで話し合って今後のことを決めるから、また連絡しますと言われ、その日の受診は終了。
即、内視鏡手術の日取りを決めましょう!と、言われるものだと思っていたので、かなり落胆した。
リンパが少し大きくなってるって、もうこれって転移じゃないの?癌じゃないなんて楽観視できないよねきっと。だって癌のすぐそばのリンパなんだもん。
てことはステージⅡってことですか……。
また治療方法が決まらなかったねーと、ぶつぶつ文句を言っているわたしに夫が、「なんでもかんでも化学療法勧める先生じゃなくてよかった。慎重に検討してくれる先生でほんとうによかった」と。
夫の言葉に「あ、そうか。そうだな。そのとおりだな」と、自分の感情前倒し、いや、せっかちなところ、ダメだなと気づかされた。
でもこの次までの待ちが長い!と、思わずにはいられない……。
早く癌細胞とおさらばしたい。
ここのところ、いったい何がきっかけだったんだろう? いつわたしの免疫は癌に負けたんだろう?
やめときゃいいのにそんなことばかり考えてしまう。
一番しんどかったのは親友の死。
日本で働いてた頃からの友人で、わたしの後を追って?というのは冗談だけど、わたしが渡仏した5年後にフランスはコートダジュールで暮らし始めた。20数年来の親友を亡くすのは堪える。末期といえども5年は持ってくれるものと信じてたから。
それが去年の5月。
その7月にパリに遊びに行ってる時にコロナに感染。
これ、結構免疫落ちてたと思う。
そして10月、義母が他界。病気ではあったけど、結構急だった。一番に駆け付けたのがわたしだったので、その時のことは壮絶すぎて思い出したくもないし語りたくもない。
11月、父が余命2ヶ月だと宣告され、急遽日本に帰国。
父を看取るために帰国したこともあり、神経張り詰めていたので、大変だったこともあまり感じなかった。
ストレスはかなりあったから、もうこの時にはわたしの免疫は癌には勝てなかったのかもしれない。
真実なんて永久的にわからないのに、わからないからこそ、あーだこーだと考えてしまうんだろうな。
人間って、不毛な生き物だ。