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ニューヨークに行きたい(3)

娘のニューヨーク行きまで、一ヶ月を切った。おじいちゃんとおばあちゃんには、お小遣いをもらい、パパには最新のiPhone を用意してもらって、ここまでされたら、行かないという選択肢はない。完全に自分を追い込んだ状況である。

「今日はネットでニューヨークに持っていくものを買うから、横で見ていて」といわれ、三連休の最終日を娘に付き合った。見てるとself defense  spray と検索している。ヒットしたのは催涙スプレーに小型のナイフ(刃渡りは2cm程度であるが)、
指輪に小さなナイフが装着されたものなど。催涙スプレーは唐辛子の強烈なやつで、口コミを見ると誤爆したという人は皮膚が赤くやけど状になったという。

(そんなに危険なのか?ニューヨーク?)

(アキラのネオ東京的な?)

(戦う気持ちは大切だが、危ない思いはしないでほしい)

「この催涙スプレーとナイフとペイントスプレーが一緒になったのがほしいんだよね」

(ひとつでも威力あるのに、3つ一緒になったのいる?)

「それでもってカワイイやつ」

本気なのかふざけてるのかわからない。いや、本気だな、これは。しかしこれだけ殺傷能力の高い武器を持っていてself defense で済むだろうか?

「あー、あのさ、優ちゃん。それ多分、機内持ち込み不可だよ」

「えー?あ、そうか」

娘はハローキティのストラップの付いた催涙スプレーをポチッとする手を止めた。

「ほれ、この防犯ブザーを買いなさい」
「えー、こんなん音が出るだけじゃん」
「音でも充分です。危ないところには行かないの」

娘が出発する日まであと3週間。頼むからちゃんと帰って来てください。






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