【TRACE32 Basic】PowerViewデバッガソフトウェアのインストール(Linuxホスト&JTAGデバッガ編)
Linuxホストパソコンへの TRACE32 PowerViewデバッガソフトウェアのインストール手順について説明します。
インストールには、TRACE32 PowerViewインストールDVDメディアを使用し、多くの操作はコマンドベースで行います。
GUIとディストリビューション
使用可能なGUI
Linuxホストでは、TRACE32 PowerView のGUIとして次の2つが利用できます。
Qt ベースのGUI (Multi Window Interface & Multi Document Interface)
Motif ベースのGUI (Multi Window Interface)
特に指定がない限り、TRACE32デバッガソフトウェアは最適なスクリーンドライバを次の順番で選択します。
Qt5
Qt4
Motif
対応しているディストリビューション
x86/x64アーキテクチャCPU上で動作する何れのLinuxホストにおいて利用できます。
インストール手順
ファイルのコピーと環境変数設定
LinuxホストパソコンにDVDメディアを読み込ませた後、コマンドシェルを起動し、次のコマンドを実施します。
mkdir /opt/t32 # 環境に合わせて任意の名称で指定
必要なファイルはDVDメディアから展開します。
mount /mnt/cdrom # 環境に合わせて任意の名称で指定
cd /opt/t32
cp -r /mnt/cdrom/files/* ./
chmod -R u+w *
cp ./demo/practice/autostart.cmm ./
次に、config.t32ファイルをコピーします。
mv bin/pc_linux64/config.t32 ./
ただ、デバッガソフトウェアの起動時にconfig.t32ファイルを指定して起動するかたちで運用する場合には、コピーする必要はないです。
例:t32marm-qt -c /opt/t32/bin/pc_linux64/config.t32
次のコマンドで、全てのファイル名を小文字に、UNIXフォーマットに変換し、必要に応じてファイルの解凍を行います。
/mnt/cdrom/files/bin/pc_linux64/filecvt ./
環境変数を設定します。(例:BASHの場合 .bashrc に追記)
export T32SYS=/opt/t32
export T32TMP=/tmp
export T32ID=T32
TRACE32 オンラインヘルプシステムでは、PDFフォーマットのファイルの表示のため、外部PDF表示ソフトを利用しています。TRACE32 PowerView GUIが利用可能な状態になった後、B::コマンドプロンプトから、いったん、"SETUP.PDFVierwer.state" コマンドを実行し、自動認識ができているかどうかを確認します。
コンフィグレーションファイルの編集と起動
システムディレクトリへの編集パーミッションを確認の上、config.t32 ファイルの編集を行います。config.t32 ファイルを配置している場所は、先の手順でコピーする際、任意に配置したところで実施します。次の例では、/opt/t32/bin/pc_linux64 もしくは /opt/t32 ディレクトリに配置されていることを想定しています。
cd /opt/t32/bin/pc_linux64
もしくは
cd /opt/t32
nano config.t32
実行ファイルを解凍します。(先に filecvt を実施している場合は不要です)
cd /opt/t32/bin/pc_linux64
gzip -d t32m*.gz
環境編素 PATH に実行ファイルのディレクトリを追加します。(例:.bashrc に追加するなど)
export PATH=$PATH:/opt/t32/bin/pc_linux64
最後にデバッガソフトウェアの起動確認を行います。コマンドラインから次のコマンドを実行することで起動できます。
t32marm -c /opt/t32/bin/pc_linux64/config.t32
Qt GUI関連の設定
Qt GUIを使用する際の使用環境は、以下の通りです。
Kernel:2.6.32 以上
libc:2.11.1 以上
Qt libs:4.6.2 以上
Qt GUIが利用可能なLinuxディストリビューションの最小バージョンの一覧を次のリストで紹介します。(主要なOSをピックアップしています)
フォント設定(config.t32 ファイル)
フォントに関して、とりたてて設定する必要はありません。ホストシステムにインストールされている固定幅フォントが使用されます。デフォルトのフォントは、Courier です。
GUIコンフィグレーション(config.t32 ファイル)
config.t32ファイル内の SCREEN=ではじまるセクションに STYLE= でGUI内の表示に関連した設定を行えます。
詳細は、ローターバッハ社ホームページにて公開されているインストールマニュアルにて参照できます。(30ページ付近)
Motif GUI関連の設定
2010年4月以降のTRACE32デバッガソフトウェアでは、フォントのインストールが簡素化されています。
TRACE32のインストール時のシステムディレクトリ(例:/opt/t32)配下に fonts ディレクトリを作成すると(例:/opt/t32/fonts)、ホストOSによってフォントが提供されていない場合、TRACE32 PowerViewデバッガソフトウェアは自動的に必要とされるフォントを /opt/t32/fonts ディレクトリから探し出します。
ホストOSによりビットマップフォントがブロックされている場合、config.t32 ファイルに次の設定を追記することで対応できます。
SCREEN=
FONTMODE=3
2010年4月以前のTRACE32デバッガソフトウェアのインストールに関しては、インストールマニュアルを参照してください。