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なぜ教室で学ぶのか

その子がいたからこそ、これを学んだというものをつくらねば、教育ではない。
1人の子どもの成長はクラス全員の成長につながるのである。それが教室である。一対一の教育では得られぬものが教室にはある。

『発達障害のある子を担任!どんな準備をするか』

向山先生が学級通信で書かれた言葉だ。

この言葉、文を見てからずっと心の中に残っている。

そして、なぜかはわからないがある事実が我がクラスで生まれた。

1.8
2時間目の算数。
最も重い発達の遅れがあるHくん。
普段は机に潜ってしまうほどの子どもだ。
そんな彼はフラッシュカードだけはものすごく手を挙げる。
1問、3問、5問、10問と分けている。
彼ははじめ1問のみの選択だった。
しかし、その日は「5問!」と高らかに述べた。
なんとつっかえずに全て言えた。
彼のことを褒めようとした。
しかし、それを遮られた。
周りの子どもたちの拍手に。
1番真面目な子が1番拍手していた。
「オーッ!!」と歓声が鳴り響いた。

もう1人。
よく私の記事に出てくるYくん。
ほぼLDの男の子。
文字が読めず、書けない。写すので精一杯。
それでもミスをしてしまうほどの困難がある子どもだ。
そんな彼がその日、初めて自分から前に出て発表した。
千三百六十二
そう黒板に書いた。
「書ける人?」
そう言った際に、バッ!とみんなが手を挙げた。
そんな中、彼は1番前だった。
躊躇していた。
「できるかなぁ…。」
そうこぼしていた。
「Yくん!」
あえて彼を指名した。
なぜなら、誰にでも可能性はあると信じていたから。
彼のその挑戦する心に胸を打たれたから。
「うーん…。」
彼はチョークを右手で持ちながら考えていた。
できる子はものの数秒で答えを書いてしまう。
しかし、彼にとってはハードルが高い。
どうするか…。
私は息をのんでいた。
すると、彼が書き始めた。
136…。のこり2だ。
ここで彼の手が止まった。
すると彼の後ろから声が聞こえてきた。
「がんばれー!」
「できるよー!」
「あともう少し…!」
彼は堂々と“2”と書いた。
また熱く力強い拍手が鳴り響いた。

向山先生の言葉に戻る。

その子がいたからこそ、これを学んだというものを
つくらねば、教育ではない。
1人の子どもの成長はクラス全員の成長につながるのである。それが教室である。

その子がいたからこそ、クラスの子たちは“挑戦”や“誰にでも可能性はある”という学びを得られたのだと思う。


彼らがいたからこそ、みんなが成長できた、
みんなでかしこくなれたのだ。

何度も何度もそのページを繰り返し開いてしまう。

私にとって本当に大事な言葉なんだろうと思う。

誰1人として欠けてはならない。
なぜなら、その子達がいるからこそ皆が学べるのだから。

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