「知らない」
あと2日で分散登校が終わる。
しかし、安心とは言い切れない。
今度は全員が集まるのだ。
通常営業に戻る。
この3週間で子どもたちの記録をほぼ毎日つけ続けた。
字が書けない子、計算が苦手な子など1人1人の詳しい実態が見えてきた。
そんな中、ある1人の男の子について気になっている。
その子は今日、国語・算数・生活・図工全てにおいて「知らない」を突き通した。
私が発問を投げかけると「知らない。」
「ここやってごらん。」と指示をしても「知らない。」
今日は少し頭にきてしまい感情に任せ、強い言葉をその子に浴びせてしまった。
その子の「知らない」は“できない”であるのにもかかわらず。
しかし、何を言われようと絶対に見捨てない。
その覚悟を持ちながら私は様々な対応をした。
優しい問いに変えてみる。
赤鉛筆で書き、なぞらせる。
目線を合わせ、やり方を教える。
あえて、反応しないで無視をし見守る。
それでもなかなか彼は変わらなかった。
彼ができない原因を私は知っている。
基礎的学力が積み重なっていないのと字が読めず言葉をまとまりで捉えることができないのだ。
そして、私の教師としての技量不足もその1つにある。
なんとかして彼をできるようにさせたい。
そんな思いばかりが先行し、技術が追いつかずにどうしようもなくなりそうになる。
しかし、私は食らいつく。
そしたらほんの一瞬だが、彼の表情が変わる。今日もそうだった。
笑顔になる。
「先生、できたよ。」と見せに来る。
すかさず褒める。
言葉が出て来ずとも、とにかく力強く褒める。
彼は笑顔になり、机に戻る。
束の間の出来事だが、彼の喜んだ表情はその日の私の宝物になる。
「知らない。」と一刀両断されても、少しカチンときても、そして感情に負け、怒ってしまったとしても、誰1人取り残さないという“覚悟”がある限り必ずその子のベストの支援が見つかる。私はそう信じている。
だから、学び、反省し、次へ生かそうと行動できる。
できないをできるようにさせる実践を拾い、試していく。
その原動力は目の前にいる子どもたちだ。
まずは、そこから始めていく。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?