初任時代の映像を振り返る⑧「リズム」
「あるときは早くする。あるときにはテンポを落としてじっくりと考えさせる。そういう変化が1時間の中にあり、それらがつながって、全体としての調和を持ちリズムを持っている。」
斎藤喜博『教師の仕事と技術』国土社
授業においてリズムはあって当然の技術である。
むしろないと、授業は破綻すると言ってもよいくらいだ。
何より子どもたちが乗ってこない。
それを嫌というほど味わってきた。
初任の記録から授業におけるリズムとは何かについて振り返る。
1.授業におけるリズムとは
音楽的な意味でいうと、
「リズムを刻む」
周期的な繰り返しの中に表れる規則性。
3拍子や4拍子のことを言う。
では、授業におけるリズムとは何か、である。
テンポは「速さ」である。
リズムはというと、一言で言えば「メリハリ」である。
あるときはテンポ良く流れるように授業が進み、あるときは子どもたちが試行する場面を作りゆったりと時間をとる。
緩急ともいえるだろう。
私はこのリズムの変化が苦手であった。
2.初任時代の間違ったリズム
初任の際、私は「待っていた」
もっと言えば、子どもたちが「待ってくれている」のに甘えていた。
全員ができるまで待つ。これが優しさであると誤解をしていたのだ。
だから、全員ができるまで目を血走らせながら、真顔で教室を見渡していた。(実際には、見渡せるなんてものではなかったが…)
また、でかい声を出せば子どもたちが引きつけられる思っていた。
そうすれば、彼らは顔を上げ、授業に入っていくと信じていたのだ。
これも間違い。子どもたちは一切顔をあげていなかった。見取りのない、自己満足で終わっていた。
そして、1番の欠点は
「発問」と「指示」の空きすぎてしまう間
であった。
この意味のない空白の間。
それだけで授業が崩れ、間延びしていく。
自分ではリズムを崩しているつもりだったが、全くもって見当違いであった。
崩す技術には必ず“意図”がある。
私の授業にはその“意図”がなかった。
だから、間が生じ、私自身が思考停止する場面が多数あったのだ。
発問にも、指示にも、そして何も喋らない“間”でさえも教師の意図が必須になってくる。
これに気付けたのは、記録を残しておいたおかげである。
当時の私に感謝だ。3年目、見えない宝物にようやく気付けた。
3.リズムの体得方法
様々な方法がある。
玉川大学教職大学院教授 谷和樹氏によると、いくつかのキーワードがあると述べている。
①変化のある繰り返し
②待たない
③局面の限定
④活動を重ねるように
⑤流れるように
⑥メリハリをつけて・・・
谷和樹『教師のベーシックスキル7+3』
これら1つ1つの説明はしない。
ぜひどんな内容かご自分で調べて、学んでみていただきたい。
自ら学び、さらに使ってみることで技能へと進化していく。
私も全ての技術を意識しながら、使えるわけではない。
雪崩を起こす時もある。
逆に、子どもたちがついていけないような授業をしてしまう時もある。
しかし、これらは何度も繰り返し現場で、脳に汗を掻かせ続けないと、体得できない。
授業の上手い先生の授業をそのまま声にだし、真似てみなければ実感できない。
だから修業が必要になるのだ。
1つの授業には無数の教育技術が入れ込まれている。
全く同じ技術を使ったとしても、上手い教師と下手な教師では雲泥の差が出る。
たとえば、本記事の「リズム」である。
出すタイミングや、発問と指示の間、無意識に使いこなせているか等が、みてとるようにわかる。
もう一度言う。
どうしたら上手くなるか。
答えは、修業である。
続く…。
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