冷たい熱帯魚〜狂気へと変貌する男〜
『冷たい熱帯魚』を観た。
個人的に好きな俳優、でんでんさんがメインで出ており、少し気になっていた。
私自身グロ耐性は強いのだが、やはりお風呂のシーンはさすがにウッ…ときた笑
ストーリーも展開が面白かった。
冴えない3人家族を持つ夫の社本、この男が凄かった。
何度も、村田とその率いる仲間に利用され、自分の弱さと向き合い嘆く。
妻とは疎遠になり、娘とも会えないし、会っても無視か拒まれるだけ。
また、村田の共犯となりもうこれ以上引き返せないところまで来てもいた。
そんな彼がラストには狂気の権化となる。
そのギャップに正直“かっこいい”と思ってしまった。
“強さ”と“狂気”、“狂乱”、“覚醒”…こんなにも変わるのかと驚いた。
演じられた俳優は吹越満さんだ。
この人がもう本当に名演技であった。
特に凶器の姿へと変わった後の、「声」と「態度」の変化は凄かった。
低いトーンでありながらも、映像越しからオーラを感じた。冷たさの中に強さを感じた。
普段明るい映画を観るが、久しぶりに見た人間の狂気ある姿をまざまざと描いた作品『冷たい熱帯魚』。
こんな映画見たよ!と子どもたちには口が裂けても言えないが、俳優という職業というよりは演じる人間の極みを学べた。
教師は演者だというが、その勉強にもなった。
表情や声、そして風貌、オーラまでも演じる。
その境地にいつか立ちたい。