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まちたんけん〜ギュッと握りしめる小さな手〜
7.28
分散登校が終わり、私に対してほぼ毎日反抗的な態度を示すYくん。
しかし、今日の彼は違った。
今日は最後の「まちたんけん」だった。
駅の方へ向かうコースだった。
歩いている最中、子どもたちは
「ここ知ってる〜!」
「マクドナルドでママが働いてるんだ。」
「これはなんていうんだろう?」
と大はしゃぎ。
しかし、Yくんは少しだけ物静かであった。
そんなYくん、朝から「自分の帽子をかぶって町探検に行ってもいいですか?」と私に聞いてきた。
指定の帽子をかぶると指示したばかりにだ。
私は「いけません。自分のがあるでしょ。」
と返した。
すると彼は「かぶらないよ。」とヘソを曲げる。
ここで対峙してはいけない、そう思い全体にこう話した。
「どうして指定の帽子をかぶるか知ってる人?それはね、迷子にならないためです。誰かがはぐれたときに近所の人が〇〇小学校の子どもだとすぐわかるためです。だから、同じ帽子をかぶるんだよ。」
Yくんはいそいそと帽子を被り始めた。
いつもこんなふうに「対立」してしまう私とYくん。
今日もいつも通りか…と気にしながら歩いていると後半Yくんが私の近くに来た。
そこは狭い道だった。小学校はすぐ目の前だった。
私も初めて通る道だったので、
「先生、ここ来るの初めだなぁ。」とこぼした。
するとYくん、私の左手をギュッと握りしめてこう言った。
「俺も初めてなんだよ〜。」
そのあとはずっと私の左手を掴んで離さなかった。
甘えてるのかな?
そう思いながら私も彼の手を離さなかった。
教室に戻り、10分の休憩を取った後、「まちたんけん」でみたものをカードに記録する時間を設けた。
普段なら、「わかんない。」と言いながら何も描こうとしないYくん。
しかし、今日はなんと自分から質問しにきたのだ。
「先生、“じんじゃ”ってどう書くの?」
ひらがながほとんど読めない、書けないYくんがそう言ってきたのは初めてだった。
私は、「よく自分から言えたね。朝から頑張ってる姿、とっても嬉しかったよ。」と褒めた。
「対立」
その文字が消えるのはそう遠くないのかもしれない。
厚い信頼関係を一歩ずつ築いていく。