言い続けたい言葉
Y、おいで。
今日、何度彼をそう呼んだか。
30回はくだらないだろう。
私がなぜ彼をそう呼ぶか。
それはYくんが愛しくてたまらないから。
できない自分を必死に隠そうとして、それでも私に注目されたいがために逸脱行動を繰り返す。
学年でのおもちゃパーティー交流会が終わり、5.6時間目。
彼はやはり廊下に出た。
とにかく彼が参加できる手立てを打っていった。
・6年生の授業発表会なら席に座って視聴するか
→鉛筆を削り出し、離席
・校庭で起こったトラブルの話し合いなら参加するか
→クラスのことだから席に座る。しかし、必要ないものを出す。
・生活の振り返りをどうやったら書くか
→なぞる→ヤダ
→うつす→ヤダ
→言ったのを先生が書く→うん。
席に座って一緒に振り返りを書いた。とにかく話をした。彼でも応えられるような簡単な質問をした。
※私が書いたのをなぞって、と言ったら「えーめんどくさい。」と言いながら書いた。たった3文字しか書かなかった。でも大げさに褒めた。少しにんまりしていた。
・九九ビンゴ
→離席、廊下に飛び出す。
→話をして、「Yができるようにした。写すだけ!」何度もお願いをした。
→教室に入り、黒板に見本を書いた。
彼は必死にそれを写す。
→ビンゴという形で達成感を味わえたらしい。楽しそうだった。
10から上が厳しいと推測。3×4=12で12を必死に探していた。(自分で書いた数字を見ながら、隣を見ながら)
必死に必死にこのクラスでの居場所を見つけようとしている彼の姿になんとか応えたい。
そんな思いでいっぱいになる。
はずれは何度もある。
今日はたまたま当たりだったか。
それでも嬉しかった。
帰りの準備の時、2時間席に座っていたからシールを2枚あげた。
昨日のアドバイスがなければできなかった。
反抗する時もある。
逃げられる時もある。
それでも私は言い続ける。
「おいで」と。