どうしようもない絶望を抱えたとき、人はどうしたらいいんだろう。出しかけてやめた、ミニアルバムを
を..、リリースに向けて、もう一度。
2023年3月3日から、4ヶ月連続で「くじらの箱舟」というタイトルでまとめたミニアルバムをリリースする。
このアルバムに収録された曲を作ったのは約10年前。
きっかけは2011年3月11日の東北大震災。私は米国ボストンのバークリー音楽大学に通っていて、5月に帰国。節電でまだ暗かった街とみんなの話を聞いて追うように自分の気持ちを重ねていた。
アルバムのタイトル曲「くじらの箱舟」は、ある震災に関しての記事を読んで感じた絶望と、ある絵を見て感じた希望が、私のなかで混ざり合って一つの物語となり、完成した曲である。そしてずっと「出せずに」眠らせていた。
ある記事とは、
「ほぼ日刊イトイ新聞」通称「ほぼ日」の、永田泰大さんの
という、2012年に書かれた記事。
とてつもない絶望を感じた時、人はどうしたらいいんだろう。
記事に出てきた「上野」さんに、私が会うことがあるかはわからないけど、
永田さんが感じたことが私の中に流れてきて、泣いても何をしてもどうにもならない無力。
あるイラストとは、
イラストレーター「カマキリマイ」さんの
「クジラの箱舟」
という絵。
カマキリマイさんの絵と出会ったのはデザインフェスタだっただろうか。
異世界の絵を、ふわっと美しい色使いで描く。
とくにこの「クジラの箱舟」が当時、私には希望をくれた。
暗い夜空を、特に和気藹々とするでもなくいろんな動物たちが乗っかってどこかへ運ばれている。楽園や夢の世界じゃなく、限りなく明るい場所でもない、けど、きっと安心できるどこかなんだろうな、と思った。
この、全然別でふれた2人の作品から、
私は勝手に「物語」を作った。
はるか古代から旅をする「くじらの箱舟」は、あらゆる「絶望」や「かかえきれないほど膨らんだ想い」をそっと背中にのせて、その「想い」を然るべきところに届けてくれる..。
その人に希望をもたらせてくれる、空想の「くじらの箱舟」の存在。
曲は完成した。
アレンジは、在ボストンのミュージシャン、トラックメイカー、今やバークリー音代のプロフェッサーでもあるmonologことYUKI KANESAKAさん。
しかし、リリース出来なかった。
私は、たまに「身勝手な物語を作ってリリースして、そんでどうする?」
という考えに陥ってしまう。
永田さんの記事を勝手に読んだだけで、
記事の中の上野さんのことは勝手に知っただけで、
カマキリマイさんの作品に勝手にインスピレーションを受けただけで、
妄想の物語を作ってる。
誰かのお話を曲にするとき、聞いた話そのままを曲にできない。
自分の解釈が..、私の場合は私が作った「物語」「おはなし」になってしまうから、それが失礼になったらどうしようと思ったりもする。
でもリリースをすることに決めた。
決められた理由は、歌詞の一部を変えたというきっかけ。
コロナ禍でライブが止まり、たくさん曲を作る中でいろんなアーティストともまた一緒に作品作りで関わる機会が増え、
私が作りたいといって始めたことを、私の「そんで(出して)どうする?」で止まって、なかったことにしないでいこう、と思って。
ときどきこの永田さんの記事を読み返したり、記事に出てくる人たちのその後を読んでいる。
コロナ中、大切な人を亡くしたり、
家族の命のことを考えることも増えた。
圧倒的な悲しみが訪れた時、自分で自分を元気に出来ない。
そしてそんな悲しみをかかえた人がそばにいるとき、
かける言葉も思い浮かばないし、
具体的に誰かの役に立てることを約束も出来ない。
けれど、
私はこの曲を歌う時、命や、人の優しさや、繋がりや、子どもたちの存在や、いろんな関わりの中でまた前を向いて生きていけることを信じる。
きっと私たち人間は前を向いて生きていける、と、信じる。
そんな自分の都合でもある曲を、公開することにしました。
記事を公開してくださった永田泰大さん、
「クジラの箱舟」という絵を生み出してくださったカマキリマイさん、
曲を編曲、演奏、mixし仕上げてくださったmonologことYUKI KANESAKAさん、本当にありがとうございます。
そして曲から新たにYoutubeへの公開用に映像を作ってくれたカマキリマイさん、もう一度。ありがとう。
くじらの箱舟
1. Message Bottle (Release on 3/3)
2. くじらの箱舟 (Release on 4/5)
3. ガラスの森(Release 5/3)
4. Rainbow (Release 6/16)
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