8/6 普通を書けるよだか、ら
『東京baby boys 9』
ゾフィー・ハナコ・かが屋・マミィ
の4組9人によるテレ朝のコント番組。
有吉の壁のヒット+ギャラクシー賞受賞などの評価によってネタ番組が増えてきている。この潮流を加速させる第七世代とされる存在による番組だから期待は大きい。
アメトーークやロンハーに彼らが出てきたとき、昔からやってる恒例企画に新鮮な血液が循環してきた!という喜びがあったのだけど、やはりトークだけではもたない。これまではM1のインパクトや新年のネタ特番で繋いできたけど、軸足がある方がトークや企画は冴えるのだ。
という期待があったのだけど、なんというか微妙だ。
まず一つは、立体的なセットをきちんと立てて、カメラアングルを駆使してコントをするには、今の技術というか画質、高過ぎてなかなか笑えない。ドラマなの?そして本当にその奥行きを示すためのカット割りいる?って何度も思った。
小道具しかないライブでも、賞レースのように少し華やかなセットがあっても、平面慣れしすぎてるのかなあ、と不安になる。
演出的なものでいうと、賀屋がコーヒーを一息で飲み干すネタなんて酷いと思う。こだわりのコーヒーを出す店、コーヒーを作る作業するマスター、それなのになんでオーダーしたコーヒーがカップやグラスに入った状態でカウンターの隅や冷蔵庫から出てくるんだよ、注ぐ動作をいれてくれ。志村けんのスイカ早食いを(そもそもあっちも"早"食いだし)無駄に凝ったセットと笑いどころのない世界観演出の上で見せる意図はなんだったんだろう。
あとは加賀の元カノを卒業アルバムの中から探すネタ、加賀がすごい可愛かったというその元カノを、上田と秋山が、この人だ?違う?じゃあこの人!違う?と不正解を重ねていくことで加賀が徐々に傷ついていくというやつ。このネタ、加賀がやるんだ?ブスという言葉を使わないチャレンジ性的なこと?上田が書いた?わからん。わからん。
9本のコント全部BGM変えてます!みたいなこだわりと熱量はすごく伝わってくるんだけど、それ以上でも以下でもなく、あまり笑えなかった。
ウレロは客入れ一発本番(しかも最終回は生放送)みたいな荒さがあったから、最近だとこんなにしっかり作り込んだコントを観れるのは本当に久しぶりだと思う。全員が芝居から降りない。コントに徹する。コント村はきな臭いけど番組内ではそんなのふれない。
#1 のタイトルは「ショウ・マスト・ゴー・オン」だった。
『はちどり』を見た。シーンの覚え書きや一言メモばかりで、これをまとめ直すことはできない、ずっと。
見ながらチラチラ、チョン・セラン『屋上で会いましょう』と松田青子『持続可能な魂の利用』を思い出した。前者に収録される「ウェディングドレス44」は、たしか傑作。1着のウェディングドレスに袖を通した44人の女性のエピソードが、それぞれほんの数行ずつ並べられていく。
どの本も、男から女に対する暴力を描く場面があって、『はちどり』なんて本当に酷い(兄が妹を、の図は悲しいくらいポピュラーなものとして描かれていた)んだけど、「ウェディングドレス44」で記憶にずっと、これを書いてる今も残っているのは、26番目の女。
寝ている男の肘が、女性の瞼に強く当たった。女性の目にはあざができた。
「本当にごめんな。夢にゾンビが出てきて」
怖がりの男は、怖がりながらもよくホラー映画を観ていた。わざとじゃないとわかっていても、女性は腹が立った。三日経っても怒りは収まらない。
四日目になって女性はようやく気付いた。自分は怒っていたのではない。怖かったのだ。これまでは気にしたことがなかったが、2人には圧倒的な力の差がある。いつか夫が頭をケガしたり認知症になったりしたらどうしよう。突然豹変して首を絞めてきたらどうしよう。最悪な状況が次から次へと頭に浮かんだ。(『屋上で会いましょう』p.29
柴崎友香『百年と一日』が好きだった人は、面白いんじゃないかなあと思う。
以下、日記
カーボーイ、佐久間ANN、クリーピーANNを聴いて、先週放送のMIU404を見た。
夜は池袋の新しいTOHOシネマズで映画を見た。
いったいどこにこんな時間があるのかと言えば、夜を延ばしているのだ。映画を見て終電に乗るとそれくらいできる。どこもタバコが吸えないなら、と久しぶりに入った、Wi-Fi完備で飲み物も美味しいスタバの見え方が激変した。あの施設最強すぎる。ガラケーに怒鳴るおっちゃんも、怪しい商談も、ふてくされたおっさんもいない。でも、カプセルに入っているような、セーブポイントで機械的にボタンを押していくような味気なさが立ちはだかる。
メトロが好きということを以前書いたけど、それと同じように、むしろスタバはさらにノイズや雑音が少ない。
スマホや街の景色に広告が溢れるせいで、コーヒーを飲む時にシンプルな空間に足を運ぶのは、多分逆だ。ふざけんな。スマホですり減ってスタバで休憩することを自然にいいなあと思えるようになってしまったことが寂しい。ただ、便利!快適!だけが頭上のランプをピカピカ光らせている。
カーボーイの友近ってこんな声だっけ?
ゲストAK-69、最初のブロックでトンマナを伝えて下ネタから入る行儀の良いクリーピー。
俯瞰の目線なんてなくなったぜおじさん佐久間。
ラジオを聴いている時間は案外無なのか?喋ってる奴が一番楽しいんだしな、とかラジオに対してもふてくされ始めたらおしまいか。
仕事、明日までのひとブロックを乗り切るために、慣れない頭働かせすぎて毎日ものすごく疲れる。運動部に入部したての帰り道と似ている。いいように考えれば、来月には慣れている、それまでの辛抱。
退社しても疲れを引きずるくらいならってことで明日も帰りに映画を見ようか。
三晩連続で映画見に行くなんて去年の俺は信じられないだろうな。メガネ買ったからこっちのもんなんだよ。エンドロールはまだぼやけるけど。