献血できなかった日
29日に5度目の献血に行った。
スマホに入れてある献血アプリから時間を選んで予約するだけ、簡単だ。あとは献血予約日当日に、注意事項をチェックして予約したセンターに向かう。献血は車で行くのだが、周辺に大型ショッピング施設があるのと献血すると結構余裕をもった時間分の駐車無料チケットがもらえるので、その後のブラブラ買い物時間に気がいく。メガネケースがほしい。
献血センターに到着すると、体重を計測して受付をする。ポイント(献血するとポイントが貯まります)がある程度貯まっているとのことで、今日交換できるグッズの見せてもらった。丁度、新しいカバンをこの前買ったばかりで、小物入れがほしい。ポーチと交換する。
「帰りに用意しておきますね」と、スタッフのお姉さん。それに加えて、前回献血した期間が、オリジナルトミカを貰える期間だったので「引換券をお持ちですか?」と聞かれる。わたしも予約したときに部屋を探したのだが、特に欲しい訳でもなかったので捨ててしまったようで見当たらなかった。なので、そのまま「おそらく捨ててしまって……。探したんですけどね」と伝える。「そうですか、じゃあ」と、お姉さん。「前回の献血した日の記録が残っているので、そちらも帰りに準備しておきますね」と、とても素敵に笑う。「ありがとうございます」と返し、今日はこの笑顔を見るためにきましたと言いたくなるような顔をお見舞いされたことに、遅れて気が付く。間違いなくこの人の澄み切った精神からこぼれた表情で、これが営業スマイルだとしたら今すぐに女優になったほうがいいと諭したくなるような、そんな笑顔だ。
そんな気持ちのいい受付を終え、ロッカーに荷物を預け、血圧を測る。それからドクターの問診のあと、採血をして今日の健康状態を確認した。
「せっかく来ていただいたのに申し訳ありません。今日は、残念ながらお休みですね」と、あっさりと、本当に一瞬。採決の結果、今日は血液の濃度がギリギリ基準値を満たしていないとのことだった。ヘモグロビンの濃度が低く、血が薄い。「貧血というほどの値ではないので」と、パフレットを一冊渡される。
「献血にご協力できなかった方々へ」と題されたパンフレット。採血のお姉さんから、「連休で生活習慣が崩れたのかもしれませんね。男性の方でも、そういう事はあるので今日はお休みですね。お休みは初めてですね」と告げられる。
あっ、そんなこともあるんだと思いながら、自分の上っ面の気持ち以上にショックを受けている自分が内側にいる。そのまま帰りの受付をするのだが、ポイントで交換したポーチを受け取るとさらに「申し訳ない」という気分になってしまった。なんだか、協力するために来たのに物だけ貰ったような気がするのが何とも言えず、献血センターを後にする。駐車無料券も1時間分もらったので、ブラブラと買い物をするがうわの空でそのまま何も買わずに帰ることにした。
「うわー、すげーショック」とか、「なんてことだ」といったような大げさな落ち込みではないのだけど、「あっ、はい。休んでおきますね」というしょんぼりした気分。じゃあ、次はいつにしようかと、パっきりと気分を変えられるわけでもない。アプリを開けば、別に明日また予約できるという「たまたま調子がわるかった」だけなのだろうけど、とりあえず予約はせずにアプリを終了する。しょんぼり、あまり体験したことがないけど、紛れもなくこれが「しょんぼり」なんだろうと思った。
パンフレットによると、年間約560万人が献血に参加している。そのうちの約60万人が献血できずに帰るらしい。ヘモグロビンは肺の中で酸素と結合して、身体の隅々までそれを運ぶ役割がある。なので、減少すると供給が低下して、めまいや立ち眩みを起こす。貧血は、血の量が少ないのではなくて、ヘモグロビンが少なく濃度が薄い状態のようだ。
こんなことを読みながら学生時代の理科か保険かの授業でやったきがするなと、追体験できたことに有難みを覚え、今日は良しとした。
それでも、やっぱりショックだな。
ほうれん草でも買って帰ろうかな。また、しばらくした献血してきます。