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傘を差さないのは気分が晴れているから。

大抵の物事には二つ以上の理由があって、そのうえで「自分の性格」という不確かな機能が片方に二重線を引いてしまう。

ほんとうは自分を信用していないからなのに。

雨に濡れないために傘を持って出かけて、それを一時的にどこかに置く。それを繰り返すうちに、恐らく無くす。それが1年後か、5年後か。その傘がたとえばすごくお気に入りで大切なものに感じていたとしてもだ。
それが怖いのだ。
そんな風な自分にがっかりするのが分かっている。
だから、これには二重線を引いて他の理由を答えるんだ。

このときの理由に「嘘」があるわけでも、それを話すときの笑顔がつくりものだと言いたいのではなく、無数に、そして同時に存在しているのを忘れないようにということだ。
それこそ、雨のなかで雨粒を数えるように。

良い傘は、雨粒を良くはじく。
その音は「パラパラ」と二回だけくり返して書く。それ以上に聞こうとすると気分が悪くなるだろう。当然だ。
それくらいが丁度いいから。

傘を差さない理由は晴れの日には分からない。それだけのこと。


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雨音ムッツ
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