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Photo by
waraineko
たぶん、くだらない意地なんだと思う。
世界は随分変わったというのに、そして歳月が随分過ぎたというのに、ズボンの裾上げすら一人でできないままだった。楽観的で怠慢なのだ。渡せばしてもらえるというのは、素直に受け取ればありがたい。しかし、長く浸かり過ぎたぬるま湯は、身体に悪いようだ。だから、今はただ、怠慢だったなと未熟な自分を恥じるばかりだ。
なんでもネットで調べれば大抵のことは分かるような気になるけれど、実際に行動するのには面倒だという、ただ一つの壁にぶち当たった。何のためにある感情なんだ、この「面倒」というのは。こんな気持ちなんてなければ、どこまでも進んでいける気がするのに。効率的でない感情のせいで、外に出るのも億劫になる。無駄としか思えない。
こんな気持ちにさえならなければ、ある程度、器用に何でもできて、なんにでもなれたはずなんだ。そうだ、この気持ちのせいで、こんな風になってしまっているのだ。きっと、そうに違いない。
目の前のズボンの丈は、相変わらず長すぎる。何も変わっていない。
無駄としか思えない「面倒」の奴が、こうして責任をすべて負っているから心のバランスが保てる。
だけど、こいつが大嫌いだから感謝なんてしない。
これからも、ずっと嫌いだ。
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