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『海に眠るダイヤモンド』諸行無常と消えない火(第7話の感想)

【前書き】
 今回の話は凄いハラハラした回でしたね。良い意味で見ていてずっと落ち着くことができませんでした。
僕はこのドラマを毎週見ているせいで自分のことを端島の住人だと錯覚しています。なので
「俺たちの生活、どうなっちゃうの?」と途中から島民目線でも不安になっていました⭐︎

気分はすっかり島民です

【本編】
①諸行無常と消えない火
 第7話のタイトルは『消えない火』でした。なんだよ、このタイトル。最悪(最高)かよ!!
 鉄平は「端島をさらに良くしたい」、「端島にコスモスを植えたい」などこれからも端島が続いていくことを信じていました。そして進平も『ねっこ』が流れながら「端島は終わらん」と言っていました。
江戸時代が終わってから27年後に端島は建てられていて、当時(戦後の昭和)の日本人にとって端島は「産まれた頃からある島で、自分が死んだ後も永遠に続いていく島だ」と考えていたでしょう。島民は「これからも続く端島の未来」に希望を抱いていたはずです。
 しかし現実は残酷で、この世は諸行無常です。(世のすべてのものは、移り変わり、また生まれては消滅する運命を繰り返し、永遠に変わらないものはないということ)

諸行無常は仏教から来てる言葉です。

 今回の話はそんな諸行無常を厳しく突きつけてくるのに、タイトルは『消えない火』です。
これは「この世に永遠なんてないんだよ」と言いながら「火を消すことはできない」という最高(最悪)の対比でした。

②消えない火(希望)
 ここまで消えない火に対して最悪の対比だと言ってきましたが、実は希望の意味での消えない火もあるのです。炭鉱長のスピーチで「皆さんが生きている限りこの島の灯火は消えません」と言っていました。これもタイトルの『消えない火(灯火)』に掛かっているのだと思います。

③絶望の『ねっこ』と親子愛
 普段、『ねっこ』が流れる時は「なんだかんだハッピーになった&めっちゃ綺麗な映像とエモい展開」がお約束でした。ですが、今回は「絶望的な展開」を背景にねっこが流れました。
ついに来たか、野木亜紀子作品の真骨頂『絶望的な展開✖︎主題歌』。なにが凄いって、普段は主題歌からは「希望」や「情熱」を感じるのに、このパターンの時は「絶望」と「退廃的な美しさ」を感じるところです。うーん、表現がエロいし、エモい!!

マジで『ねっこ』リピートしてます。

 それと進平が「誠」と言って、我に返って道に戻ったのが最高でした。親子の愛が一酸化炭素中毒の見せる幻覚にも打ち勝つというのが凄く良いなと思いました。 

④炭鉱長ォォォォ!!
 僕は前々から炭鉱長推しなのですが、今回の炭鉱長カッコよすぎん?
 周りからめちゃくちゃ言われて、会社と端島(鉱員)の間に挟まれて、それでも自分の最善だと思ったことを責任を持って実行する。大人としてカッコ良すぎだろ。
 「端島で働く全ての人に敬意を表します」と言っている炭鉱長が最高でした。

割とマジで尊敬している


⑤竹男(朝子の弟)の「端島が終わる」
 竹男が「端島が終わる」と呟いていました。あれは演技とかじゃなく、ガチで「故郷が終わる」と思っている人の呟き方でした。竹男役の番家天嵩の演技力がヤバすぎる。

【後書き】
 鉄平と進平はこれからどうなっちゃうの?という気持ちで今はいっぱいいっぱいです。
 あと、今回の話で「日本国もいつかは端島のように終わる日が来るのかもな」と感じたのでささやかな日々の幸せを噛み締めて生きようと思いました。
 今週も面白かったです、また来週も楽しみだぜ!!

次の話の感想

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