「自己肯定感低い人間には評価は最高のスイーツだ」
断る力が欲しい。
もう若手ではないし安請け合いではけしてない。電話がかかってきた時に、用事があってと断ろうかなとも考えた。
「でも、この人は私に期待して仕事を振ってくれたのだろう」
自己肯定感低い人間には評価は最高のスイーツだ。よく考えれば、相手は貴方だから頼んだとは一言も行ってないのだが都合よく解釈。世はまさにポストトゥルース。「探せ、この世のすべてを置いてきた」とゴールデンロジャーのコスプレをしたトランプが叫んでいる。
大後悔時代の始まりである。
そもそも取材相手についての知識があまりない。資料を漁る時間も少ない。何より既に書いてない原稿がたまっている。それなのに新たな仕事は受けるは、この日記は書いているはで矛盾だらけだ。しかし仕事以外の文章だと何故にこうも筆が進むのか。なぜに夜中に食べる甘納豆は美味しいのか。すべて自己責任。自分が憎い。
現在はその取材のための移動中である。秋晴れの空は美しく、横に座るフランス人カップルは日本人にはわからないように愛をささやきあっている。世界はこのまま微睡みにたゆたってほしい。ああ、今日の取材よ夢であれ。
なぜにこんなに悩んでいるかというと、失礼な取材をしたくないからだ。新人ならまだしも相手はかなり名のしれた人たち。それを門外漢の私がインタビューする。おそらく依頼した人は異分子である私による刺激、インタビュイーとのケミストリーを期待してくれてるに違いない。
いや、絶対違う。取材場所は大手レコード会社。取材でも冒険よりも、そつのなさが求められている。ああ、なんで私なんだ。有名人だし会ってみたいよ、それは。でも相手を失望はさせたくない。自己肯定感低い人間に低評価は最凶のハンマーだ。硝子のハートが砕け散る。
↓になる気持ちと裏腹に電車はがんがん↑へと進んでいく。さあ、質問の最初は何にしよう。大丈夫、私はできる子だ。そういい聞かせる。信じたいものを信じるのがポストトゥルースだ。ならば、まずは自分ができると信じる。