【interview08】自然とヒトとの境界線を繋ぐ女性
皆さんは、唐津市沖に浮かぶ島々を何個言えますか?どんな島民たちが住み、暮らし、営んでいるか想像したことはありますか?
島によって風土も違うでしょう。
もちろん島民たちの色も、暮らしも伝統も、しきたりも、不便さも、利便さもそれぞれ。
今回のゲストは、唐津市沖に浮かぶ島々たちと出会い高島に島と都市をつなぎ、オーガニックコスメを通じた交流の場を増やし、新たな島の魅力を発信する、Retocos のワークショップスタジオ 「Retocos 高島 Base」をオープンした、株式会社Retocosの代表取締役、三田かおりさんです。
高島、神集島、加部島、小川島、
加唐島、松島、馬渡島、向島。
かおりさんは、この8つの島から生まれるコスメの原料となる植物を発掘し活かし、生み出す。島民や子供たちと一緒に大事に、島の風土に沿いながら自然農法で、安全で高品質な原料を育てている。
かおりさんが島と出会ったのは当時、在籍していた「ジャパン・コスメティックセンター(以下、JCC)」(※)で、化粧品の原料となる素材を探すため、唐津の島々を訪れたことがきっかけだった。
※佐賀県唐津市及び玄海町を化粧品産業の集積地とする「唐津コスメティック構想」を推進するため2013年に設立された産学官連携組織
離島との出会いまで、そして今を、Retocos のワークショップスタジオ「Retocos 高島 Base」で聴いてきました。
コピーもできなかった会社員時代
大学卒業後、ビューティーカウンセラー(BC)として外資系化粧品メーカーの販売に就いた三田さん。
当時は若さゆえ、自身の肌に合わなくとも、販売しなければならない。
お客様からは「あなたが言うなら買うわ」と信頼され高額な商品を購入されていく、本当にいいものを勧めれているのかギャップに苦しんだこともあった。
出産を機に、小さな子供を預けて働くとい世間の風潮もなく美容部員に戻ることは難しかった。
友人の紹介で市役所の臨時職員となった。当時はコピーもパソコンも出来なかったため
パソコンのスキルを学び、インストラクターの資格をとった。
そこから、商工会に勤め地域活性化、B級グルメ、商店街活性、街歩きに関わった。
関わる中で地域創生、残された街の人たちとの関り、活性されていくことに魅了された。
JCCが立上がり、2017年から「コスメ×地域活性」に携わることになる。
「あなた椿担当ね!」から始まり、離島との出会いへと繋がる。
メローな雰囲気を醸し出し、優しい口調とテンポでお話されるかおりさん。
子育てをしながら、ここまでの経歴がある。
離島を知る
佐賀市出身のかおりさんは離島があることを知らなかったという。
加唐島に渡り、島の木の半数が「椿」であり、その椿を産地化、産業化することがJCCでのかおりさんのミッション。
離島による椿オイルの生産を調査していくなかで東京の大島、利島、長崎の五島列島、この二つのエリアで日本の9割の椿オイルを生産しているという驚愕の事実がわかったかおりさん。
島の木の半数が「椿」であっても、大島、利島、五島列島からみると全体の0.1%にもみたない生産力。
産地化、産業化にかかせない大量生産できること、安定供給できることに及ばない。
その中で、小さなエリアで「椿」を価値化していくかが課題となる。
島に通い、島民たちと接することも増える中、かおりさんは、誰がどこから毎年何キロ採っているということが分かってきた。
これはとてもトレーサブルなことで、顔の見える原料ではないか。ということに気付く。量では勝てないその中で見えてきた「価値」だった。
※トレーサブルとは英語「traceable」のカタカナ表記。 追跡できること、源流を突き止められることなどを意味する表現。
消費者が求めるものの変化
コロナ禍を機に、大量生産、大量消費の仕組みから、生産背景を知ること、安心安全であることが好ましく選択の中にこれらを加味しながら消費する傾向が消費者の中に増え顔の見える原料たちは、受容も伸びていった。
当時アパレルブランドも、消費から生活スタイルの提案、
お家のなかで何を使ってもらうか、という俗にいう丁寧な暮らしへとシフトしていたこともあり
ストーリー性のある原料を使用した化粧品開発に使ってもらえる例が増えていった。
そんな中、JCCの任務期間が終わろうとしていた。
当初よりかおりさんは、この事業を継続しようと考えていた。
担当が数年置きに変わることが、持続的ではないと感じていたからだ。
継続的な支援をしたい、その想いでNPO法人リトコスを起ち上げた。
地域課題に取り組む
NPO法人リトコスでは地域課題に取り組んだ。
山の荒廃の原因に、山に人が入らなくなる、猪が出る、そうするとさらに人が入らなくなる。どんどん山が荒れていくといことがある。
山に入り、椿を採ることで荒廃を食い止め、自然との共存ができるじゃないか、環境保全の観点で活動していた。
継続的な事業を行うためにも、島々で栽培する自然素材の販売や商品化を手がける地域商社・株式会社Retocosを2021年に起ち上げた。
他の島に渡り、椿を探したところ、島の土壌、植生、島民たちのそれぞれの島がもつ特徴に惹かれた。「宝物」のように見えたかおりさんは、それぞれの島がもつ特徴を使ってカタチにしたい、という想いが、島々で栽培する自然素材の販売や商品化の始まりだった。
植生、仕組、循環と向き合う
生産背景の見える原料とサスティナブルな活動における概念、企業のCSR活動として原料を採用していただくことで、安定供給ではない魅力を評価され、女性起業家としてフォーカスされてきたころかおりさんは、確かな品質のある原料と、やってきたことへのクオリティの高さに対し、評価して欲しいと感じるようになった。
かおりさんの意識は植生、仕組や循環にある。
このころから原料をメーカーに使っていただくと同時にプライベートブランドを作り販売するようになる。椿を使ったシャンプーやヘアトリートメント、ボディシャンプーだ。
人と私を繋ぐものが植物や土地
自分軸で考えるようになったとき、ヒトのためにやる、の前に
自分自身がやりたいことなんだと改めて気づいたとき、土地や植物が人と私を繋ぐものだと感じた。
それぞれの島で抱える課題、共通した問題、
それらに何ができるか、関わっていくのか、
活性、循環、そのために島の特徴、あるいは原料、
島民たち、これらの宝のどの部分を活かせるのか。
かおりさん自身の使命と、
企業としてRetocosができる責任として
植物や土地に目を向け一つの答えを出せたらいい、
ただそれだけです。とお話してくれた。
インタビューを終えて
「Retocos 高島 Base」に向かう当日
唐津市から高島行の船にのり
ちょっとしたワクワク感を胸にインタビューに臨んだ。
古民家を改築したかおりさんの事務所は、研究室・LABOを思わせる外観とは違う異空間で、日常と非日常が混ざり合い時の流れが止まったような、おばあちゃんの家にタイムスリップしたようだ。
事務所(ラボ) に立つかおりさんは、エプロン姿の自然体な姿で、ご自身から放たれるメローな雰囲気とともに、私たちを快く迎え入れてくれました。
インタビューを進めていく中で
小柄でメローな雰囲気を持ちながらも
自分の足で離島に足を運び 人に出会い、
島民の方と心を通わせ 自分のビジネス感を育ててこられた 素晴らしく力強い方だと感銘しました。
かおりさんが身にまとう雰囲気は、関わる方を優しい気持ちにさせてくれます。
その雰囲気が ビジネスをはじめ今後周りの方々に 益々反映されて良い循環がうまれることが目に浮かびます。
高島では離島留学の運営を支援など、地域活性化に取り組むかおりさん。「人々が自然と共生しながら豊かに暮らす持続可能な社会」
これから生きていく中で必然となる、一人一人が取り組むべきことだと感じました。
かおりさんに 聞きたいことは山のようにありましたが 船の時間が迫りこの聞きたい想いは次回お会いできる時の為にとっておこう。
又足を運びたくなるような素敵な人・場所でした。
今回インタビューした
三田かおりさんInstagram
とても貴重なお話と高島での時間を
過ごさせていただきました。
インタビューを
快諾くださりありがとうございます。
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心理セラピスト 野崎めぐみ @nzkamak2010 が
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