G7に対抗しうる第2の勢力として誕生したBRICSがさらに拡大BRICSへ!
新興経済国で形成されるBRICS。
あまり活発な活動をしてこなかったので存在自体が地味な印象でした。
それでも、構成国は中国を筆頭にロシア、ブラジル、インド、南アフリカ共和国といったそうそうたる国々となっています。
そのようなBRICSの歴史の中でエポックメイキングになりそうな出来事がありました。
それは、2023年8月24日に開催されたBRICSの年次首脳会議でのことです。
これまで5ヵ国で構成してきたBRICSに、新たに6つの国々の加盟を承認したのです。
2009年にBRICS発足(南アフリカは2011年に加入)以来の大きな動きです。
特にグローバルサウスといった位置づけにおける組織を形成。
G7に対抗しうる組織として、そのビジョンを明確化した動きとして注目されています。
●BRICSの真の目的とは
BRICSの設立時の表だった目的は、途上国への資金供給を活発化して経済発展を支援するといったものでした。
それは"グローバルサウス"を謳った設立理由として理にかなったものだったのです。
もっとも、それは表だったものであり、アジア・アフリカ諸国への援助で、それらの国々が持つ資源やエネルギーの確保が目的だったことも見え隠れします。
実際に中国とロシアのそういった野望は隠しきれなかったといってもいいでしょう。
特に資源外交しか生き残る道がないロシア、BRICS設立後に打ち出した中国の"一帯一路"構想など、BRICSの中心であるこの2ヵ国の利害は完全に一致しています。
その中にあって、実力的に中国とロシアに比肩するインドは伝統的な中立国であり、世界最大の民主主義国家として、日本や米国との結びつきも強く、中国とロシアを牽制する存在として期待されています。
特に中国とインドはカシミール地方の国境問題などで対立することが多く、かならずしも軍事・安全保障面においてBRICSは一枚岩とはいえません。
おさらいですが、BRICSはブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ(South Africa)の5カ国の英語の頭文字を並べたものです。
そして、2023年8月24日、これら新興5ヵ国で構成されるBRICSは、2024年から新たに6ヵ国を加えることを決めたのです。
新しく加盟するのは、イラン、サウジアラビア、エジプト、アルゼンチン、UAE、エチオピアの6ヵ国です。
●BRICSの問題点
南アフリカを含めた初期メンバーの5ヵ国は、いずれも地域大国です。
特にロシア・インド・中国は古くからの帝国であり、新興国という呼び名には違和感があるでしょう。
ブラジルと南アフリカ共和国はそれぞれの大陸の中で紛れもなく地域大国です。
そのため、いずれもG7に比肩するということにおいて異論はありません。
ここで新しく6ヵ国を加えることで、"新興国"の体裁を整えたといっていいかもしれません。
もっとも、安定成長期に入って長いG7と比べて、伸びしろの大きいBRICSはいずれG7を追い抜くかもしれません。
特に、1980年代のG7のGDPシェアは70%でした。
圧倒的な力を有していたといっていいでしょう。
しかし、2023年現在では5割を切っています。
相対的にG7全体の力は弱まり、BRICS以下新興国の力が増してきたのは間違いありません。
EUや日本はもちろん、米国の力も落ちてきたと言われて久しいものがあります。
そういった流れを見越して、BRICSに追い風が吹いているというのは大方の見方です。
"先進"ということを謳っているためG7にBRICSから加入する国があるのは考えられません。
特にロシアが加わってG8と言われていた時期もあったのですが、ロシアのクリミア半島併合を受けて、ロシアはG8への参加を停止されたのです。
現在G7あるいはG8と呼ばれている8ヵ国目はEU(連合)を指します。
そのため、ロシアはBRICSに注力するしかなく中国もG7に入る目がない以上、この点においても中露の利害は一致しています。
現在、中露は蜜月状態と言われることがありますが、必ずしもそうではありません。
両国とも自国優先で動く国なので、G7に比肩する勢力としてBRICSを利用しているにすぎないのです。
インドにおいても独立独歩の国ですから、ロシアとは軍事の面での結びつきが強いですが、中国とは敵対関係にあります。
南アフリカやブラジルは風見鶏的な立ち位置なので、どちらにも転びます。
そういったことから、BRICSは強固な関係とは言いがたく、決して一枚岩ではないのです。
さらに、中国経済の減速が問題視されているのも問題を深刻化させています。
新しく加入した6ヵ国においても、敵対するイランとサウジアラビアが一緒に行動するとは思えない面もあり、拡大BRICSは当初から問題を抱えた船出となりそうです。
●実態とイメージを混同してはいけない
拡大BRICSはどう考えても、"寄らば大樹"を目指したものでしょう。
考え方は不一致でも、合計したらG7に比肩する規模となりえます。
ただし、頭数を揃えただけであるのは間違いありません。
それでも、"グローバルサウス"としてさらに多くの国々の結束を促し、さらに拡大するようなことがあれば無視できない存在となりえます。
もっとも、現在の国際連合のようになれば意味がありませんが。
そして、グローバルサウスに向けた形が拡大BRICSなのであれば、しっかりとした共同体にならなければいけません。
そういった意味で、現在はまだ実態とイメージが大きく乖離しているといっていいでしょう。
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