いかにMIX・マスタリングが大事かという話
初めまして。ミキシングエンジニアの"らて"と申します。
普段私は、イベント業界で音響をやる傍ら、個人で楽曲のミキシング業務をしている、いわゆる"MIX師"という分野の人です。
最近ではその活動の場所を広げる為に、主にX(旧Twitter)でMIX師として、ボカロ楽曲や歌ってみた、バンド物などのJ-POP楽曲のミキシングの依頼を受け付けています。(作曲もそこそこやってたり…)
そして今回noteを始め最初の記事ということで、エンジニアの観点からMIXの重要性をお伝えしたく、題名にもある通りMIXとマスタリングがいかに大事かというものをお伝えします。
1.そもそもMIX・マスタリングとはなんぞや…?
そもそも楽曲を作る上で絶対に避けては通れない道「MIX」「マスタリング」
曲はできた
↓
書き出した
↓
……あれ?
なんだこのカスカスな音!!!!!!
と自分で全部やってる人はこうなることが殆どだと思います。てか最初はみんなそうだと思う。(有償で依頼をしている人は別)
そもそもミキシングとマスタリングがどう違うか分からない人もいると思うので以下に簡単にまとめてみました。
ミキシング(Mixing)
ミキシングは、歌や楽器などマイクで録音した音や打ち込み(インストゥルメント音源)などの各音源(トラック)を統合し、バランス良く調整すること。
楽曲全体の音のバランスをとりながら、各要素(ボーカル、ギター、ドラムなど)の位置付けや音色、パンニング(左右のバランス)の調整をこの段階でします。
マスタリング(Mastering)
マスタリングは、完成したミックスを一つの完成度の高い音源として仕上げる最終工程のことを言います。
リスニング環境での再生を考慮し、楽曲が最良の状態で聴衆に届けられるようにする作業です。
プロのエンジニアは、音楽ジャンルやサブスクなどの配信コンテンツの要件に精通している為、その環境にあったラウドネスでマスタリングを行い、最終的に皆さんの元へコンテンツとして届けられます。
以上がMIXとマスタリングの主な違いです。
こうみると似てるようで全然違う作業内容だということが分かりますね。
さて、MIXとマスタリングの違いが分かったところで、さっそく本題に移ります。
2.MIX・マスタリングの大切さ
まずはMIXの大切さについてお話しします。
・ミキシングについて
ミキシングとは先ほども説明した通り、楽曲全体の音量のバランスを整えたりパンニングなどによる音の位置調整が主な作業です。
具体的な作業として、以下にまとめたものがこちらです。
レベル調整: 各トラックの音量を調整し、バランスを取る。
パンニング: 各音源を左右のステレオフィールドに配置する。
イコライゼーション: 音源ごとに周波数バランスを調整する。
コンプレッション: ダイナミクスをコントロールし、音の一貫性を保つ。
エフェクト処理: リバーブやディレイなどのエフェクトを追加し、空間感や深みを与える。
以上を踏まえミキシングは、各音源が相互に干渉せずにクリアに聞こえ、全体として統一感のある楽曲に仕上げることを目的として行います。
EQ(イコライジング、イコライぜーションなど言い方いろいろ)やコンプに関してはとても奥が深いので、また別途記事にまとめて公開したいと思います。(これだけでビール片手に3,4時間は語れる)
なので、レベル調整で「とりあえず歌も演奏も全部聴かせたいっ!!」と、全部聴かせたいからレベル上げまくったら歪みまくりの収拾がつかない状態になります。
そこで出てくるのが次のパンニングです。
パンニングは音の定位を左右に振る機能です。
ここで少し質問です。
コップが3つ左・真ん中・右にあったとします。
そのコップの中にピンポン球を入れたいが1つのコップには5個しか入りません。
球は10個あります。
と、この様な状況になるともう何が言いたいか分かりますよね。
楽曲も同じで、歌はほとんどの曲でセンターにありますが楽器も同じようにセンターだけに置いてしまうと音が重なります。
そうなると歌声が埋もれたり、楽器一つ一つがはっきりとせずイマイチな感じになります。
なのでこの作業をテキトーにやってしまうと、イマイチパッとしない曲になってしまいます。
EQやコンプ、リバーブも重要な作業ですが、長くなるので一旦置いといてマスタリングについて説明します。
・マスタリングについて
主な目的は、以下のようなものです
全体の均一化: 楽曲全体の音量や周波数バランスを調整し、他の楽曲と比べても遜色ないレベルで出力する。
音質の最適化: エンジニアリングによる微調整や、可能であれば修正が必要な場合の対処。
上記の他CDや配信をする場合は
曲順と間隔: アルバムの場合は、各曲の順序と間隔を調整する。
フォーマット変換: 最終的な出力形式に合わせて、必要なフォーマット(例: CD、デジタル配信用)に変換する。
以上が主なマスタリングの作業項目です。
こうみるとMIXとマスタリングは全然違う作業ということが分かります。
マスタリングも、ただ音圧をいっぱいいっぱいに上げればいいというものではありません。
その曲にあった雰囲気や音質でマスタリングをしなければ、折角上手くMIX出来たのに、最後の最後で台無しになってしまいます。
例えば、曲全体的にローを強く出してEDM風なサウンドにしたいのか、ゆったりと静かな感じで歌声が聴こえる感じにしたいのか、はたまたバンド風にロックな感じにしたいかなど、曲のイメージを固めその方向に近づくようにマスタリングするのがサウンド作りで大切かと思います。
3.結局は...
と、ここまで色々と書いて来ましたが、一番は自分の耳で聴いて、自分が良いと思えばそれはそれで良いと僕は思います。
音楽の好き嫌いは人それぞれ違います。
ですが、最低限のボーダーラインはあると思うので、耳を慣らして理想のMIXに近づけられるよう色々試してみてください。
自分で他の人の曲をReMixするのもおすすめです。
次回はEQやコンプについてや、話したいお題があったら記事を書きたいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
僕自身、ミキシングエンジニアとして活動しています。
依頼も受け付けていますので、気になる方はご連絡お待ちしてます。
ではまた!