【丸ごとレポート】「物語で加速させるソーシャルビジネス」〜パン業界を革新するパンフォーユーの場合〜(後編)
3月15日、特別ゲストに株式会社パンフォーユー取締役・山口翔さんをお招きし、「Short Story for Sustainability Talk Live Vol.1」を配信しました。
この企画は、昨年12月にリリースした新サービス「ショートストーリーforサステナビリティ」とのタイアップ企画です。
「会社の理念やビジョン、パーパスを策定したはいいけど、社内外にうまく伝わらない」
「物語がビジネスを動かす実例を、具体的に知りたい!」
「事業の継続と社会性の確保、両立するにはどうすればいいの?」
そんな想いを抱く全ての方に、寄り添い、解決に向けた一歩を提示する対談です。ぜひご覧ください。
▼前半はこちらから
■ショートストーリーforサステナビリティとは
サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)に伴走するLa torcheと、ストーリーマーケティングで共感、共体験を創るFROGLOUDの業務提携からはじまった、新しい映像表現提供サービスです。
組織のパーパスやミッション、ビジョンを「策定して終わり」にせず、物語と映像の力で価値を内外に伝えていく。これまでにないアプローチで、「ビジネス・サステナビリティ」の加速をサポートしていきます。
サービス詳細はこちらの記事をご覧ください。
■登壇者
▼前編はこちらから
パンフォーユーのキャラクター性と、目指す未来
秋間
企業の価値を伝える時に、「こういう課題を解決しています」というだけだと、聴く側が疲弊してしまったり、未来の話ばかりしていて足元がない、会社が違っても同じじゃないかと思われてしまったりと、ビジネス上大事な差別化がおそろかになることがとても多いんです。
でも、このパンフォーユーさんの取り組みは、ドキュメンタリーで追いたくなるような現場での喜びの形があるので、すごく人間的で惹かれると思います。パン屋さんが休めるようになったとか、美味しいパン屋さんとして愛され続けられるとか、本当の意味での持続可能性を感じるお話でした。
大泉
山口さんが先ほどおっしゃられた「どこを切り取るのか」というお悩みについてですが、僕は映像プロダクションで働いていたので、自分でゼロから脚本を書いたりもしていたんですね。
白紙な状態から物語を作るというのは、AとBという選択肢があってBを選びましょう、とかではなくて、キャラクター像を明確にして、みたくなる、続きが気になるストーリーを探していくということだと思っています。
僕たちが「ショートストーリーforサステナビリティ」を通してやっていくのもそれなんですが、山口さんにとって、パンフォーユーはどんなキャラクターで、どんな未来を歩んでいくのか、考えていることはありますか?
山口
なるほど。そういう意味でいくと、パンフォーユーのキャラクターは「挑戦と変化」ですね。我々は、大手企業に依頼されたわけではなくて、ある意味勝手に挑戦を始めて、変化を起こそうとしています。誰からも頼まれていないことをやり続けているキャラクターであり、良い変化を起こし続けるキャラクターなのかなと思います。
あと、10年・20年という長いスパンで考えると、パン屋さんが誰かに相談したいと思った時に、1番に思い浮かぶのがパンフォーユーでありたいなっていうのもありますね。何か困った時に、とりあえずパンフォーユーに相談していればなんとかなるという、一番寄り添えるパートナーになれると非常に良いのかなと思っています。
諏訪
パンフォーユーは今、パンという業界の中で「挑戦と変化」をされていると思うんですが、冷凍食品に対する正しい認知を広めるような活動もされているんですよね。
山口
そうですね。昨年、パンフォーユーが幹事となって、「フローズンエコノミーラボ」という団体を立ち上げました。冷凍食品に関する50社ほどの事業者が集まって、勉強会や交流会を行なっています。
立ち上げのきっかけとなったのは、冷凍食品を提供する事業者共通の課題だった「家庭の冷凍庫パンパン問題」。パンスクのユーザーさんの中でも、冷凍庫のスペースが足りなくて今月はスキップですという人が増えてきていました。
すごく小さな冷凍スペースをいろんな事業が食い合っている構造をなんとかするために、最初は「二台目の冷蔵庫を家庭内にレンタルで普及させよう」というアイディアから始まりました。今後の構想としては、マンションの共有スペースや商業施設など生活圏のあらゆるタッチポイントに冷凍庫を設置し、世の中全体の冷凍キャパシティを増やすなどができると面白いなと考えています。
全力投球する熱意。山口さんのエネルギーの源泉とは?
秋間
これも新しい未来が見える、今までの当たり前がアップデートされる取り組みだなと思います。人の喜びや幸せが波及するイメージで、理屈ではない部分で心を動かして周りを巻き込んでいく、すごく色濃い取り組みをされているんだなって感じました。山口さん自身が、心を動かすことを大事にしていなかったらこうならないんじゃないかなって思うんですが、山口さん自身の全力投球する熱量は、どこからきているのでしょうか?
山口
僕はくも膜下出血になったことがあって、1ヶ月ぐらいICU(集中治療室)に入って死にかけたという経験があるんですよね。そこで人生が変わりました。それまではできないことをできるようになって、成長して人生の階段を登っていくぞという考えだったんですが、「明日死ぬと思って生きる」という真逆の価値観になりました。
だから、今面白いことをやる。面白い人と話す。面白い人と仕事する。「超今思考」みたいになりました。
その中で今の自分自身が何が面白いと感じるかっていうのを考えると、「実は世の中にはこんなに美味しくて面白いものがある」ということかなと思います。
フローズンエコノミーラボに加盟されている、1888年創業の駅弁の会社があるんですが、コロナで状況が苦しくなった中、一昨年ぐらいから冷凍の駅弁事業を始めたんです。実は冷凍の駅弁ってめっちゃ美味しいんですよ。
そのほかにも、塩パンはむしろ冷凍したら美味しくなるとか、この品種とこの品種のお米を掛け合わせると冷凍弁当だとさらに美味しくなるとか、事業者側はこだわりを持って冷凍品を作っているんですよね。
でも消費者側は、冷凍品って美味しくないんでしょ、とか手抜きだよね、という印象を持ってしまっている。このような、本当は価値があるんだけど世の中で埋もれてしまうのものに自分が出会わずに死ぬことが嫌なのと、どうせならみんなにも出会ってもらいたいという、そこの面白さに惹かれてるんだと思います。
大泉
めっちゃいいですね。大人になっても食べず嫌いってありますもんね。
山口
本当は価値があるんだけど埋もれてしまっているものを発掘して、それを届けるプラットフォームを作るという部分では、「anntena*」もそうですしパンフォーユーもそうですし、フローズンエコノミーラボにも通じる部分があると思います。
諏訪
山口さんにとっての目指す未来は、冷凍品が広まって、美味しいっていう人が増えて、地域経済が潤うような未来、ですかね?
山口
パンフォーユーやフローズンエコノミーラボを通じて作りたい社会が僕の中でくっきり見えてるかっていうとまだまだ発展途上の部分もあるんですが…。
例えば調査をすると、冷凍パンの印象って、「解凍が難しそう」とか「保存がちゃんとできるかわからない」とか、まだネガティブな印象を持っている人もたくさんいるんですよね。そこの正しい理解がちょっとずつ浸透していくと良いんじゃないかなと思います。
秋間
一社だとできないことでも、パンフォーユーさんという仕組みや挑戦をする主体があることで、新しい景色を見ることができる。新しい景色を見せるためのつなぎ役っていうのが山口さんの取り組みの中でも印象的で、その新しい未来が早く来ないかなって楽しみです。
実は私も、パンが大好きで(笑)。そういう意味でも、共感が大きかったです。
「かっこいい映像を作るだけじゃない」ショートストーリーの醍醐味
諏訪
山口さんから未来を聞いて、この短時間だけでもワクワクするし、もっとパンフォーユーの未来についてディスカッションしたいぐらいの気持ちなんですよね。山口さんが経営者として考えている未来、パンフォーユーで働いている社員の皆さんが考えている未来を、会社のオフィシャルのものとして映像で表現することにどんな価値を感じているのかをお聞きしてもいいですか?
山口
前職のときにご一緒させてもらった「青い手」というブランド広告の時も、それで感動して泣いてしまうぐらい、感情が動く映像として仕上げられるのが本当にすごいなって思っています。
パンフォーユーでミッションやパーパスをストーリーとして発信する価値ってなんだろうということを改めて考えたんですが、例えばパンって100円ぐらいのものでしょって思ってる方もたくさんいるんですよね。
そんな人が、パンフォーユーの映像を見ることでパンに興味を持ったり、パンフォーユーで働きたい、パン業界を盛り上げたいと思ったりとか、「新しいパン経済圏を作り地域経済に貢献する」っていうミッションの中に入ってくれる仲間が増えたらいいなというイメージがあります。今お付き合いしているステークホルダーの皆さんにポジティブな印象をもってもらえたいというのもありますが、それに加えて、興味なかった人を振り向かせる力に可能性を感じていますね。
あの「青い手」の映像を見て、次車を買い替えるならBMWにしようと思った人もいたと思うんです。そういう映像の力を感じているので、チャレンジしたいと思っています。
諏訪
山口さんがおっしゃったような未来づくりをお手伝いできたら、面白いだろうなあと思います。今日のお話を聞いただけでも、とてもワクワクしました。
山口
今ウェブの広告とかウェブの動画とかって、ABテストを繰り返すじゃないですか。一方で、渾身の一個を作って、それをひたすら伝え続けるっていうことも、大事だと思っています。そしてショートムービーには、それができる期待値があると感じています。
秋間
ありがとうございます。この「ショートストーリーforサステナビリティ」は、ただかっこいい動画を作るというサービスではありません。動画を作っていく過程でも、パンフォーユーさんの例で言えば、パン屋さんやお客さんからいろんなエピソードが集まる様子を社内の人たちが体感することで、より自分たちのやっていることが腑に落ちるということを目指しています。
そしてそれをショートストーリーとしてパッケージングすることで、対外的にも人の心を動かすことができるっていうのが、私たちの実現していきたいことです。いろいろな人たちを巻き込むための施策にもなり得ると思うので、かっこいいだけじゃない、心を動かすという視点で取り組まれたい方と、ぜひご一緒していきたいなと考えています。
対談を終えて…
秋間
今日山口さんにお話ししていただいたような、パンを売るだけではなく世界観を表現していく重要性は、今、たくさんの企業が直面していることです。
だからこそ、「挑戦の中から変化を作る」キャラクター性をもつパンフォーユーがさらに広がっていく予感だとか、限界がないということを感じさせる今日の対談になったと思います。
視聴者の方にも、「この世界観すごくいい」「応援したい」と思われた方もたくさんいらっしゃったんじゃないでしょうか。
私たちもその当事者ですし、人の心を動かしながら一緒に何かをやっていく仲間になっていく。そんなことを続けていければいいなと思います。
山口
もう1時間経ったのかというくらい、楽しかったです。実はこの配信が始まる前に秋間さんから、「私たち自身が楽しむことが一番なんで」というレクチャーを受けていたのですが、その通りの盛り上がりになったなと思います。
大泉
僕は個人的にも、パンにものすごくいいイメージがあるんです。20代の時に映像プロダクションで、深夜まで仕事をしていて疲れ切って歩いていた時に、焼きたてのパンの香りが漂ってきて、すごく元気になったんですよね。これも物語の一つのシーンとして見えてきました。
パンフォーユーのビジョンを物語にしたときに、「そもそもなんでパンなんだっけ?」というのが皆さんになるほどなって思ってもらえる作品になるんじゃないかなと思います。
パンのポテンシャルを改めて感じました。またいろいろ議論したいなと思います。今日はありがとうございました。
諏訪
この1時間の中で、山口さんが視聴者の方々や僕たちに向けて、「パンフォーユー入ってや!」って説得する場面って一度もなかったと思うんですよね。今日山口さんがお話ししてくれたことが、まさに「ストーリー」なんです。
今日のお話を日本中に伝えていったら、みんなパンフォーユーのことが好きになるし、自然と入りたい気持ちになるんじゃないでしょうか。これがストーリーの偉大さだなと思います。
我々がやっていく「ショートストーリーforサステナビリティ」というサービスを通して物語をお届けしていくことが、皆さんの心を動かすことにつながると改めて確信しました。今日はありがとうございました。
■ショートストーリー for サステナビリティに関心のある方へ
サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を伴走するLa torcheと、ストーリーマーケティングで共感、共体験を創るFROGLOUDの業務提携からはじまった、新しい映像表現提供サービスです。
組織のパーパスやミッション、ビジョンを「作って終わり」にせず、物語と映像の力で価値を内外に伝えていく。これまでにないアプローチで、「ビジネス・サステナビリティ」の加速をサポートしていきます。
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