
(情シス)DXレポー ト気づけば2025年の崖の年となりました
2018年に経済産業省のDXレポートで2025年の崖問題が提唱されてから、しばらく経過し、いつの間にか崖と言われる年に入りました。
<DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開>
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html
主に情シスの立場からすると、レガシーシステムの今後どうするの?問題と人材不足の課題に悩まされている会社さんが多い印象です。
2018年からなので準備期間が充分あったのでは?という声もあると思いますが、コロナ対応(に絡めたワークスタイル改革案件)、電子帳簿保存法対応、セキュリティリスク対応などなどで、情シスの対応する範囲もここ数年拡大してきているため、実質的に準備ができている会社さんも多くはないと思います。
最近私は製造業のアプリケーション(ERP)寄りのお仕事が多いため、そういった観点でレガシーシステムと人材不足(内部・外部)について、もう少し課題を深掘りしていきたいと思います。
レガシーシステムとは、長きにわたって会社を支えてきたシステム、例えばスクラッチで開発した製造管理システムであったり、受発注・会計システム、古くなったERPシステムなどなどが挙げられると思います。
それらシステムに対して何かしら手を入れようとした場合も多くの問題があります。
・長い期間つぎはぎの対応をしてきたため、スパゲッティ状態になったシステムがあり根本的に見直すことが困難、それらを保守運用してきた人材(パートナー側、自社側双方)が定年退職時期を迎えようとしている
・利用部門からは手早く導入できるSaaS製品(例えば楽楽精算など)を要望され、導入するがレガシーシステム側でインタフェースが整備できておらず、導入2時間がかかり、保守運用にも口数が結構かかるケース
・レガシーシステムを支えているパートナー側での人材不足や高齢化が課題となっていること
そういった状態の中、何か手を打つことはできるのか?という問いに対しては特効薬はなかなか見つかっていない状態かと思いますが、ガートナーが提唱するコンポーザブル・アプリケーションの考え方も考え方の一つとしてはありだと思います。
<ガートナーのコンポーザブル・アプリケーションのプレスリリース>
https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20220616
上記はひとつのシステムというよりは特化したシステムを組み合わせる、という概念となり「システム同士を繋ぐ」考え方が前提となります。それはそれで「それなり」のスキルセットを持った人材が事業会社側に求めらることを意味します。
「それなり」、というのは双方のシステムやアーキテクチャ、データ、保守運用までを理解できる人材という意味で、確保することも個人的はなかなか困難だと思います。特に保守運用という観点ではそこまでのスキルセットを保有した人材をそこだけに留めておくのか、という別の問題も発生します。
そういった複数のシステムに対して、レガシーを含めてどう対処していくのか、という観点については、こちらもまたガートナーのベース・レイヤー・アプリケーション戦略というもので、自社内のシステムを革新システム・差別化システム・記録システムのレイヤーに定義するとともに、業務領域を競争領域・非競争領域と分別することで、社内リソースにかける優先順位を決めましょう+etcという考え方もあります。
日本のケースでは、まだまだ特に記録システム・非競争領域というところでも独自のカスタマイズがたくさん入ったものも多くあると思いますので、リプレースやイノベーションに対して一定の考え方の整理が必要です。なぜならば、手をかけて作ったシステムであればあるほど、保守運用に多大なリソースが発生するからです。
部分最適としてお便利機能として開発されたものが、いつまで経っても全体最適(特にデータ活用という観点で)にはならないものも多くあるからです。部分最適で効率化したものにこだわりつづけることも、ひとつの考え方としてはありですが、一度立ち止まって、その部分最適したシステムが投資対効果やデータ活用に見合ったものなのか、について会社として考える時期なのではないでしょうか。
そういったことが特に日本の会社ではまだまだ多くあると感じています。
もちろん会社として競争領域に寄与できるシステムはスクラッチでもなんでも良いので力をかけて継続すれば良いと思いますが、非競争領域のお便利機能にこだわっている場合、見直すことが難しい状態になっていると思います。
こういった中、個人的に注目をしているのがチェンジ・マネジメントの視点となります。こちらについても長くなりそうなので、以降記載していきます。
※つぶやき
レガシー問題に対する考え方として、20年おきに遷宮に携わることで技術継承と人材育成を狙いとした式年遷宮、という仕組みが古来からあったことについて、いまさらながらなるほどな、と思いました