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最近見た映画の感想

最近見た映画の感想をネタバレありで書く。

セデック・バレ - Wikipedia 第一部:太陽旗 第二部:虹の橋
日本統治下の台湾において台湾原住民が武装蜂起する実話。なぜ「旭日旗」ではなく「太陽旗」なのかと疑問だったが二部ラストで後の太陽が先の太陽を殺す言い伝えからだと納得した。殺されたのは日本(太陽旗)ということだろう。出草(首狩り)のシーンはリアルで興味深かった。頭領が渋くてかっこいい。良作。

裸足の1500マイル - Wikipedia
オーストラリア原住民が同化政策に抵抗する実話。白人との混血児は白人同化政策のために強制的に収容されていた。脱走と追走のサバイバル。面白かった。ぜんぜん裸足じゃなかったので普通に原題どおり「ウサギ除けフェンス」でもよかった。最後に本人が登場するのには驚いた。良作。

月光の夏 - Wikipedia
2人の特攻隊員が出撃前に小学校のグランドピアノで「月光」を演奏する実話。生存していた特攻隊員が当地に赴いた際に、フラッシュバックで往時の2人が映し出されるシーンがいい。あとは「校内発表会はこれで終わりです。ありがとうございました」のアナウンスがいらない。戦時中の小学生が歌う「海ゆかば」が音痴なのはすごくいい。やや良作。

かもめ食堂 - Wikipedia
フィンランドで食堂を経営する日本人の周りで起こる温かな日常を描いた話。まさこさんの荷物に光るキノコが入ってたのが、はじめ意味分からなかったが、あれはきっと彼女が「いいと思ったもの」だろう。荷物を失くしたとき、さちえさんは「大事なものも入ってたでしょう…」と気の毒そうにしていたが、まさこさんは「大事なもの...?」とピンと来てない。その後、まさこさんがフィンランドに来た理由が分かる。エアギター選手権とかサウナ我慢大会とかくだらないことを全力で楽しむ国柄に惹かれて来たらしい。そしてその理由を現地青年のことばで確信し、森へ向かい、黄色のキノコを腕一杯に採集する。しかし帰宅したときには「キノコ、落としちゃったみたいです」と一本も持ち帰っていない。そして日本から持ってきた荷物がすべてそのキノコなのである。まさこさんはフィンランドに憧れ、楽しむことはできたが、本当に大切なものは日本から持ってきたこれまでの生活だったのか? フィンランドに来る前、フィンランド人の典型的な国柄を先入観として持っていたが、実際に来ると日本人と同じように悩み、泣き、精一杯生きていることが分かったという発言もあった。そのほか片桐はいりの空回りする感じの演技とか、とてもよかった。全体的にとてもよかった。「おまじない」が効力を持つ世界。良作。

福田村事件 (映画) - Wikipedia
関東大震災に際して朝鮮人や日本人を虐殺した福田村自警団とその村人たちの実話。登場人物の立場が多様でよかった。デモクラシーを喧伝する村長。軍国主義の理想に燃える在郷軍人会。数年前に朝鮮人の虐殺に関係し生気を失った主人公。讃岐から来た被差別部落出身の薬売りたちが福田村自警団を中心とする村人たちの疑心暗鬼と狂気に殺される事件を描いており、一見の価値がある。人間の普遍的な負の真理を見た気がする。ただし露骨なセックスシーンがあるので、そこはなくてよかった。ただし、生々しいからこそ寝取った寝取られたの緊張感と立場性の創出はできている。セックスシーンの存在が完全に失敗とはいえない。良作。

ダンサー・イン・ザ・ダーク - Wikipedia
ミュージカルという表現技法が好きではなかった。同僚やその場にいる人たちが、突発的にみんなで一つのものを作り上げるわけがないし、もしそうだとしても各個人同士の社会的関係を完全に無視した表現技法に過ぎないから。フラッシュモブやミュージカルは現実的にありえない。しかし映画を見るとセルマは最後、現実世界に一人で歌っている。ミュージカルとは内的主観世界の表現技法であったかもしれない。そうであれば納得できる。にしてもセルマは各場面で選択を誤ったり、無責任であったり、自己中心的であったり、危機管理の意識が低かったりで、かなり不快だった。そこまで好きな映画ではなかった。

異端の鳥 - Wikipedia
あらゆる悪意を経験する少年は、最後、奪うことでしか自分を表現できなくなった。父のもとに戻り、名前を取り戻すも、この先に待っている彼の人生を思うと、心から安心できるハッピーエンドとはいえない。あと長い割に全部が必要だったかと言われると、そうではないと思う。そこまで好きな映画ではなかった。

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