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エッセイ「Moonstruck Garden」

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夢の端で生きる今宵のエッセイです。
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#恋愛

Aセクシャルに55の質問:プライド月間によせて

プライド月間ということで答えてみました。 この記事の続きです。 質問はこちらより。 1.HNを教えてください。 今宵です。 2.自分がAセクシャルだと気づいたのはいつですか? 本当に最近です。びっくりするくらいに。人生のほとんどをAllosexualという自認で過ごしていました。 3.いつ・どこでAセクシャルという言葉を知りましたか? BBCの「Sherlock」が流行っていた時期、主演のベネディクト・カンバーバッチが「シャーロックは意図的に無性愛者として生きている

ひとりぼっちふたりへ捧ぐ――「エイリアンズ」と郊外の宇宙

わたしの家族はよく「うた」を贈りあう。 実家に帰ると、父は必ず毎回違うレコードを聴いている。 母は雑談の合間に、必ず「これ聴いてよ」とYouTubeやApple Musicの画面を差し出してきて、わたしにうたを聴かせてくれる。 弟とわたしが音楽談議をすることはまれだが、家族でもっとも音楽にくわしいかれの音楽の影響を、両親ともに濃厚に受けている。 何しろ、バブルの時代に「スティーリー・ダンを知っているのがお互いだけだったから」という理由で、恋に落ちて結婚した両親だ。 この家

性的指向、あるいはアセクシュアルであることについて

この歳になって、ようやく自分の性的指向をはっきり自覚することができた。 私とつきあいがあるほとんどの人は、私のことを異性愛者として認識していたと思う。 何より私自身がそう思い、そう振る舞い、自分の存在をクローゼットに押し込んでいた。 自分のことを男好きな人間だと思っていたし、それはべつにヘテロノーマティヴィティに強制されたものではない、内的感覚によるものだと思っていた。 ただ、その自認に対して苦しまなかった、というのは嘘になる。 「恋愛」というものを知ってから、だれと付き