上がるのか?上げるのか?高齢化率50%の世界。人口統計から見る未来②
こんにちは、こんばんは。Synapseです。
未来の人口統計が話題になると、必ずと言っていいほど「高齢化率〇〇%になります!」みたいな話になりますよね。しかも、「人口統計ほど確実な未来予測はありません」みたいな "ふれこみ" も一緒についていたりします。
今日は、2050年の「高齢化率」について考えてみます。
▼第一話はこちら。
高齢化率が50%という世界を、想像できますか?
第一話でも登場した、国立社会保障・人口問題研究所によって毎年アップデートされている将来推計人口(*1)より高齢化率について見てみます。2050年には秋田県の49.9%を筆頭に軒並み40%台の都道府県が並びます。参考までに地図に起こしてみると、大都市から遠い地域ほど赤が濃く、高齢化率が高い様子がよくわかります。
ところで、高齢化率50%の世界って想像できます?両隣にいる人は両方高齢者(65歳以上)という状態です。前を見ても、後ろを見ても、2人に1人は高齢者。しかも、社会に出る前の若い世代も、そちらはそちらで存在するわけで。"高齢者"が元気もりもりであれば別ですが、そんな社会が存在するとはとても思えないのです。
今からたった25年でそんな時代が来るだなんて、現実味あると思いますか?
高齢化率50%
高齢化率が上がっていくためには、高齢者に長生きしていただく必要があります。衛生環境が整い、医療福祉が充実し、健康寿命が延び、その結果高齢化率が50%に到達しましたというのであれば、それはとても幸せなことであり、何も否定するところではありません。
しかし高齢化率50%が可能な世界を目指すのであれば、時の現役世代は相応の努力を必要とすると思います。今後どんどん増える高齢者に対し、現代と同等の(もしくはそれ以上の)環境を整備し、医療福祉を提供し続けなければなりません。もちろんそのための物資の生産も必要になるはずなのです。
すでに高齢化率40%近い地域がある
秋田県は2024年7月1日時点において高齢化率39.7%に達しています。2050年の日本の平均程度の比率となっているため、高齢化率40%であれば実現可能だという意見もあると思います。
2020年の秋田県では、県内最大の産業が医療・福祉(15.7%)となっており、約7万6千人が従事しています。 ちなみに日本全体では882万人が医療・福祉分野に従事し、その比率は約13.47%です(*2)。2024年となった今、その比率はもう少し上がっているのかもしれません。
しかし忘れてはいけないこととして、秋田県と同じ国(日本)の中には、大都市があり、工業地域があり、農業地帯があり、様々な機能をそれぞれ相互補完しているという事実があります。そんな中であれば、医療福祉に力点を置いた地域が存在する、一部地域で50%に達するということは、あり得るというものでしょう。
全国の高齢化率が40%
一方で日本全体が秋田県と同じ状態、すなわちの高齢化率が40%になるためには、ほかの産業を犠牲にしてでも医療・福祉分野(およびその関連分野)を拡大しなければならないということにほかなりません。自力でできないことは、輸入に頼ることも増えるでしょう。しかし、何もかも輸入に頼ることはできませんから、何らかの努力をしなければ高齢化率はどこかで頭打ちになってしまうのでは?というのがSynapseの見解です。
言い換えると、「高齢化率」は今を生きる我々が、意思を持ってあげる努力をすることで上がっていく性質の指標だという風にSynapseは捉えています。高齢化率は自然に上がるのではなく、上げる努力をした結果、上がる。つまり「上げよう」と思わなければ「上がらない」のではないか、と。
そろそろ長くなってきたので、今回はこの辺にしておきましょう。
次回は、「高齢化率はどこまで上げられるのか?」というテーマで検証をしてみたいと思います。
<出典>
(*1)国立社会保障・人口問題研究所より
(*2)美の国あきたネットより