ベルリン公演速報レポート -ラスカ没後60年に寄せて
ベルリン滞在中の当会代表・根岸一美から演奏会の速報レポートが届きました!
熱気冷めやらぬ現地からの様子をお届けいたします。
ベルリン公演速報レポート (当会代表・根岸一美)
『ベルリンでの演奏会はラスカ命日の4日後にあたる11月18日(月)19時より、旧西ベルリン時代のメインストリートといわれるクーダム211番、メゾン・ド・フランスのボリス・ヴィアンホールで開かれました
ボリス・ヴィアンは1920〜1959のフランスの作家・詩人で、セミプロのジャズトランペット奏者としても、歌手としても活動したといわれたそうです。
この会場を選んだのはピアニストのマルクス・ズペレク Markus Syperek さん。
小型のスタインウェイからまさにオーケストラのような多彩な響きと流麗闊達な進行を醸し出しつつ、歌唱の世界をみごとに支えて魅力的でした。
それにしてもすばらしかったのはユリ・ミゾブチ Yuri Mizobuchi(メゾソプラノ 溝渕悠理)の歌唱表現の拡がりです。
大阪大学文学部*の音楽学専攻学生であった彼女が、こんなに大きな存在になってきたとは!
*根岸の大阪大学在職中に溝渕が入学しました
休憩をはさみ後半最初の《深夜の歌》はガブリエル・カーノGabriel Cano氏のフルートを加えた新ヴァージョンでの演奏で、もともとの管弦楽ヴァージョンに近づけたいとの3人の力作です。
曲はいにしえの中国の女性たちの情念の綾を深く紡ぎだして、マーラーの《大地の歌》にも例えられると評価した、ラスカの友人の言葉がまさにそのとおりと思えるほどでした。
写真に見えるように、後半からは各演奏者の前にマイクが設置されていたので、きっと録音からも追体験できることでしょう。このベルリンでのラスカコンサートの全容はそもそもの仕掛け人である根岸よりも、聴いてくださった30人ほどの皆さまの中から伝えていただいていただけたら、と願わざるをえませんが、ともあれこれでラスカは、国際レベルでの評価の世界に達したと言うことができましょう。
終了後の楽屋で、ズペレクさんが、こんどは彼が関わっているリンツでもラスカを演奏したいと言っていました。きっと強力に実現してくれることでしょう!』
以上、終演の熱気伝わる速報レポートでした。
演奏の溝渕さん、シプレクさん、カーノさんに日本からも感謝の拍手をお送りいたします。
公演データ
Montag, 18. November 2024, 19.00 Uhr
Saal Boris Vian
Gedenkkonzert für Joseph Laska
*曲目
Es ist so still geworden...
Drei Lieder
Traumwald (Morgenstern)
Schlummerlied (Mombert)
Schauder (Morgenstern)
Nara-Suite
Tempelfriede
Die heiligen Rehe
Daibutsu
Manyoshu-Lieder
Mondnacht
Sehnsucht
Regenlied (Endlose Liebe)
Der Berg Mimoro
Frühlingsankunft
– Pause –
Lieder der Mitternacht
Die Kinder in Korea
Chosen
Sieben Haiku
*出演
Yuri Mizobuchi (Gesang)
Markus Syperek (Klavier)
Gabriel Cano (Flöte)