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「片手袋探しRTA」in平井

私は平井をまだよく知らない

様々な路上観察者の活動や視点を伺うイベント、『都市のラス・メニーナス』。こちらのnoteでも毎回レポートをアップしております。私は編集者の磯部さんと共に主催と司会を務めさせて頂いている、片手袋研究家の石井と申します。町に落ちている片手袋を20年近く研究し続けています。

コロナ禍に始めた当イベント。リアルや配信など形態を変えて続けておりましたが、今年2023年4月からは平井オープンボックスでの開催が定着しました。

過去の登壇者にお集まり頂いた懇親会も平井オープンボックスで行いました

私はこれまでの人生で、平井という土地には全く縁がありませんでした。イベントの為に毎月通う生活が始まっても、基本的には駅から平井オープンボックスの間(3分くらい)を行き来するだけ。まだまだこの町のことを深く理解しているとは言えません。

それに、大きな問題が一つ。平井ではまだ1枚しか片手袋と出会えてないのです。

4月から8か月間でこの1枚のみ。片手袋研究家はその町の片手袋を知ることで町を理解するのです

『都市のラス・メニーナス』では、都市の見方の多様性をお伝えしたい。それなのに会場である平井のことを、私はまだ何も知らない。

「このままではいけない!」

幸い気温も下がってきて、片手袋を容易に見つけられる季節になっています。私は一度、ゆっくり平井を歩きながら片手袋を探してみることにしました。しかし、年末で忙しくなかなか実行できる日がありません。

千葉県で急遽決行を決める

「今日しかない!」

12月18日、月曜日。私は千葉県の木更津で決意しました。妻と出かけていたのですが、思いのほか用事が早く済んだのです。

海ほたるから富士山が綺麗に見えました

この日借りていたレンタカーの返却時間が20時。用事が済んだのが16時。ネットで調べると、木更津から平井まで1時間ほど。レンタカーの返却場所は上野なので、17時に平井に着けば2時間は片手袋散歩ができる計算。全然余裕じゃん。

ことごとく計算が外れる

平井に向けて運転しながら(その町における“片手袋指数”っていうのを出せないかな?)と考えてたんです。冬場の片手袋最盛期、各町で「片手袋発見数÷歩いた時間or歩いた範囲」の数値を出し、それを比較してみるんです。(片手袋指数という新たな概念を、平井から始めてみよう)なんて考えてワクワクしていました。

しかし、この日のアクアラインは渋滞で車が全然進みません。ようやく東京に入っても、今度は首都高が渋滞。カーナビの到着予想時刻は17時30分、18時…とどんどん遅くなっていきます。

予想時刻が18時30分になった時、片手袋指数のことは諦めました。平井にいられる時間は、30分くらいかもしれない。そこで今回は「片手袋RTA in 平井」に企画を変更することに。RTAとはリアルタイムアタック(Real Time Attack)のことで、要はゲームをどれくらい早くクリアできるか競う遊び方です。片手袋で言えば、ある町に到着してから何分で片手袋を発見できるか?この方法でも、ある種の片手袋指数になり得ますからね。

ようやく平井に到着。そして起こる奇跡

一向に進まない首都高を下りる判断をしたのが功を奏し、平井には18時前に到着しました。しかし平井は一方通行とかが結構複雑で、今度は駐車場に入れません。ようやくコインパーキングに駐車できたのが、18時5分でした。1時間もいられない!さっさと始めよう!

さあ、早速スタートです

そしたらね、駐車場の目の前にありました。

所要時間、8秒でした

なんかもう、怖い…

いや、さすがに私だけでなく、同行していた妻も驚くやら呆れるやらで。

片手袋から見たスタート地点

まだ土地勘のない平井で片手袋が見つけられるか不安だったし、この駐車場だって一通に戸惑ったりしながら偶然見つけた場所なんですよ?なのに、なんで目の前に片手袋があるのか…。

また、こういうことが本当によくあるんですよ。私はよく「片手袋は呪いである」って言ってるんですけど、度を越した熱中は言語化できない世界を呼び込んでしまうみたいで。

これは片手袋の取材を受けた時、記者さんとの待ち合わせ場所に先にいた片手袋

車の返却時間に焦ってたんですけど、逆に時間がだいぶ余ってしまいました。もう少し片手袋探して歩いてみるか迷ったんですけど、妻と話し合って「なんか怖いからもう帰ろう…」ということになりました。

結局、平井のことはまだまだよく分からない

ちなみにその後、渋滞で尿意が限界に達していた我々夫婦は、「公衆トイレ探しRTA in 平井」をやったんですけどね。そっちの方がよほど難易度が高かったんですよ(間に合ったかどうかは皆様のご想像にお任せします!)。

ちょっと異常な結果が出てしまったので、結局平井も平井の片手袋もまだよく分からないまま。引き続き観察を続けることで解像度を高めていきたいと思います。

『都市のラス・メニーナス』は今月12月はお休み頂きますが、また来年の1月から開催していきます。詳細決定次第お知らせいたしますので、よろしくお願い致します。


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