【パティシエ式】製菓道具の選び方①ボウル&ホイッパー(泡立て器)
8年ほどパティシエとして働いていた経験から、道具選びの時に何を注意すべきポイントをまとめます。
書いていたらめちゃくちゃ長くなったので何回かに分けます。
長く使いたいから少し良いのを買いたい!
本格的な道具が欲しい!
という方向けになります。
当座をしのげれば良い!という場合は百均が良いでしょう。
どこも馬鹿にできません。
アイテムの性質次第ですがプロでもストレスなく使えるものも結構あります。
1 ボウル&ホイッパー(泡立て器)
この二つはセットで選びましょう。
これを基準に選んでください。
ピッタリじゃなくても大丈夫。大体同じくらいのものを選ぶと使いやすいです。
個人的には誤差5cmくらいまでがベストです。
大きなボウルに小さなホイッパーで泡立てても時間がかかって疲れるだけ。
逆に小さなボウルに大きなホイッパーで泡立てるのはホイッパーの動きが小さくなるのでなかなか泡立ちません。
ボウル
ボウルに関しては「ほとんどのプロはこのブランドを買う!」みたいなものはないと思います。
形状
前提として、底や縁に段差のないものが良いです。
ゴムベラで中身をきれいにするところを想像してみてください。
角に材料が残ってやりにくいですね。
お菓子作りは基本的にムラなく混ぜることを要求されます。
なるべくシルエットが丸いボウルを買いましょう。
逆にした富士山みたいなシルエットのボウルはおしゃれですが、料理はともかく菓子には向いていません。
注ぎ口は無くて良いです。あっても良いですがたいした活躍はしないでしょう。
個人的には最近見る「端を巻かないタイプのボウル」は”思わぬところから水が出てチョコに落ちる”という最悪の事故を防げるので次にボウルを買う時はぜひ選びたいと思っている品です。
素材
用途にもよりますが、オススメは熱伝導率の高いステンレス製です。
チョコを湯煎で溶かすのにプラスチックではいつまでたっても温まりません。
生クリームを氷煎に当てたい場合も冷えません。
同じ金属製でもアルミは柔らかすぎてステンレスのホイッパーの摩擦に負けます。
摩擦に負けると、ボウルの表面が剥げて生クリームが灰色になったり黒い点々が混ざったりします。
アルミは避けるべきでしょう。
ガラスも熱伝導率は良いですが、重いし割れるしお薦めしません。
テレビではよく見ますが、使っている現場はまずないでしょう。
料理番組では中身が見える必要があるために使っているのだと思います。
現場で使うことはないですが、重くて割れることを承知の上で家で使う分には選択肢に入れて良いでしょう。
お洒落なので気分が上がります。
プラスチックボウルはレンジに使えます。
大量の溶かしバターが必要ならあった方が良いですが、家にある食器で代用できるので必須とは言えないでしょう。
大きさ
直径21~24cm
たいていのレシピはこれで作れます。
直径18cm(6号)までのスポンジケーキ生地とか、200ccの生クリームの泡立てに最適です。
直径26cm
ガトーショコラやシフォンケーキを作る場合はメレンゲ用にもう少し大きいボウルがあると良いです。
家庭で作るケーキの定番の一つであるシフォンケーキ等のメレンゲ(卵白7個くらいまで)を泡立ててもまず溢れないくらいの大きさです。
スコーンのようにボウルの中で両手を使う作業も26cmあれば不自由ないと思います。
手の大きい男性には少しきついかも?
家庭用のレシピでこれを超える体積はなかなかないと思います。
直径15cm
チョコやバターを湯煎にかけるとき、グラスロワイヤルを作るときに重宝します。
マストではありませんが、日常の料理でも結構活躍するので買って損ということは無いでしょう。
スクランブルエッグとかいい感じです。
深さ
これは個人の好みです。
あまりにも浅い場合は材料を混ぜるときに飛び出るリスクがありますが、横からみて大体半円くらいの深さがあれば十分です。
深い方が電動ミキサーを使ったときに材料が飛ぶ心配が少ないですが、使うゴムベラによっては取り出しにくい可能性があります。
浅いとその逆です。
どちらでも良いと思いますが、収納を考えると形は揃えた方が無難でしょう。
ホイッパー(泡立て器)
まず避けたいのは茶筅のように先端が無いタイプ。
お菓子を作る際はまだ固いバターをホイッパーで崩すことがあるのでこのタイプは破損の恐れがあります。
液体だけを混ぜるなら清潔で良さそうですが重くなった生地を混ぜることがあるお菓子作りには利点が少なそうです。
選ぶポイントは羽の多さと全長です。
ボウルと違って現場で人気のブランドが存在します。
これがメーカーもサイズも現場では一番スタンダードだと思います。
家庭で使うなら少し小さめのこの辺りでしょうか。
長さ
自分がよく使うメインのボールの直径と近い長さの物を選びましょう。
理由は先に述べたとおりです。
サイズが合っているか否かで効率や快適さが全然違うので。
上にリンクを張った#8は24cm。
何本も買うわけではない物なのでこの辺りが妥当でしょう。
羽の本数
羽(鉄線)の本数で泡立つ速さが変わります。
引っ掛かりの数が増えるので泡立ちも早くなります。
正直どこのブランドかよりもこの本数を重視したいですが、一番見かけるブランドがある以上は耐久性なども考えると寿菓工精器製になるのでしょう。