初心者が好きなカードで遊べるカードゲーム
遊戯王ラッシュデュエルはデッキビルダーの天国であると自己紹介のnoteで書きました。もう少し突っ込んで言うと「自分の好きなカードを使って勝ちたい」と思うデッキビルダーの天国です。しかも、このようなタイプのデッキビルドの経験のない初心者にこそ強くお勧めしたいと思っています。これについて自分の考えを整理しつつ、特に遊戯王OCGと比較しながら書いてみたいと思います。
①基本のシステムでコンボカードが揃う
遊戯王OCGでは、テキストを読み、面白そうな動かし方を思いついても、初心者が普通にプレイしたのでは、その動きに必要なカードを手札に揃えることはまずできません。これは1ターンに1枚のドローと、キーカードを引くまで待つことのできない高速化した環境が原因で、この2つを乗り越えるには、それ自体が複雑なコンボであるルートといわれる動きや、妨害を突破する細かい技術の習得が必須になります。この為、好きなカードを使い、オリジナルのコンボを考える楽しみに触れる前に、初心者が挫折し、ゲーム自体を辞めてしまうことがかなりあると考えています。
一方、ラッシュデュエルでは毎ターン手札が5枚になるようドローするという、基本のシステムがあります。それに加え、カードのサーチに一度墓地を経由する設計により一定のゲーム速度が保証されている為、カードが揃うまで待つ時間があります。これにより、2枚~3枚程度のカードであれば、ただデッキに入れただけでも手札に揃えることが可能で、自分らしいデッキビルドの楽しみに早くから触れることができます。
②場にカードを並べやすい
遊戯王OCGでは、モンスター2体を使うコンボを思いついても、その2体を場に並べるには様々な制約があります。通常1ターンに召喚できる回数には制限があり、リリースというコストも必要になります。この為、特殊召喚を工夫してカードを並べることになりますが、これもまた膨大な知識が必要で、初心者には難しいものです。ラッシュデュエルでは、リリースこそ必要ですが、1ターンの召喚の回数に制約がない為、モンスターを2体並べるコンボも容易に実現できます。
③ルートを覚えなくていい
①、②のどちらとも繋がることですが、デッキから直接サーチの概念がないことで、使いたいカードを使う為のお膳立てとして必要なルートが、ラッシュデュエルにはありません。もちろん、事前に勉強しておきたい汎用性のあるカードや、出張ギミックなどはラッシュデュエルにもありますが、それはテキストを読んだだけでは初心者には想像もできないようなレベルのものにはなりません。墓地肥やしや除去・ドローカードなど、頻出の汎用カードと、2枚程度で完結する簡単なギミックくらいを覚えておけば、あとは必要に応じて公式のカード検索でキーワードを入れて検索すれば、十分間に合います。
④部品ではなく、個としてカードを使える
③に書いたルートを覚える必要がないという話ですが、これは言い換えると、個々の役割が1枚のカードの中で完結しているものが多いということです。OCGでは、強いとされるカードの強い理由が、そのカード自体のテキストの中には書かれておらず、そのカードからサーチできるカードや、そのカードを経由して展開できるカードの強さであることがよくあります。個々のテキストを読んだだけでは強さがわかりずらく、それが複雑になればなるほど、そのカードで戦っているという感覚から離れていき、塊の中の一部品的な使用感になってしまいます。
またそのために、カード一枚一枚のテキストを読むよりも、既に出来上がったコンボをネットで調べたり、一つのテーマ単位で勉強したり、なにかしらの塊で習得する方が「先に」求められ、一枚のカードのイラストや効果に惹かれて始めたという人が、デッキビルドを楽しめない原因になっていると考えます。一枚のカードの中に効果が完結しているものが多いラッシュデュエルでは、そのカードを存分に活かし戦っている感覚があり、好きなカードを主役に戦えている楽しさが感じられます。
⑤フィニッシャーを選べる
特に、テーマではない、オリジナルのデッキを作ろうと思った場合に、OCGでよくあることですが、最終の盤面で使うフィニッシャーはいつも決まった汎用的なモンスターで、その過程が異なるだけになってしまうという問題です。ラッシュデュエルを考えると、この様相は異なり、展開の過程が違えば、最終盤面のフィニッシャーも変わってくる場合がほとんどです。
これはエクストラデッキのシステムがまだそれほど汎用性を持たず、どのデッキに入れても強いフィニッシャーのような存在もほとんどいないことが一つあります。また、フィニッシャーの性能にOCGほど差がないことも要因です。この為、好きなカードがフィニッシャーとしての性能を持っていた場合、より強く直接的に好きなカードの活躍を感じることが可能です。
⑥妨害が適度でコンボが決まる
トラップカードや手札誘発、制圧系のカードを使った相手ターンでの攻防は、遊戯王OCGの醍醐味のひとつです。ただこれが過剰に行き過ぎると、コンボを決めるハードルも高くなり、初心者はやりたいことが何もやらせてもらえないという状況が出来あがります。
ラッシュデュエルにも、トラップカードはありますが、魔法トラップゾーンに伏せられる上限がそもそも3枚と少ないです。加えて、次のターンにドローできるカードを最大化する為、相手ターンでは機能しないカードを、とりあえず伏せておくというプレイングが基本として存在します。この為、通常1枚、多くて2枚程度を、除去などで乗り越えることができれば、自分のやりたい動きがきちんとできます。手札誘発は存在せず、制圧系のカードもそれほど多くはない為、それらを突破する細かな知識なども必要なく、適度な攻防を楽しみつつ、やりたい動きを実現できます。
⑦ちゃんと勝てる
ラッシュデュエルでは、OCGでの経験を反映して、公式が環境のインフレにかなり気を使っている印象があります。連撃竜ドラギアスや、邪影ダーク・ルーカーといったラッシュデュエル最初期に登場したカードは現在もまだ強く、直近のレギュラーパックで収録された寄生体デスタクルは、デッキの上から3枚を墓地に落とし、ささやかなバーンダメージを与えるというOCGからすると控え目すぎるカードですが、これが2000円を超える強カードとして評価されています。
レギュラーパック『閃光のオブリビオン』くらいからテコ入れが入り、グッとカードパワーが上がった感じはありますが、それらをサポートとして、それ以前のカードを生かす構築が可能です。初心者であってもテキストを読み込み、工夫をすることで、昔のカードを今も強くつかうことができると思います。
⑧イラストの良さとオーバーラッシュレア
カードのイラストやレアリティの綺麗さは、好きなカードへの愛着を高める一つの要素になります。ラッシュデュエルは、イラストにも相当力を入れています。当初は格好いいモンスターと子供向けのモンスターの比重が高かったように思いますが、最近は可愛い女の子のカードなども多くなり、幅広いニーズに対応したカードがあります。また、OCG出身のカードが、ラッシュデュエル向けに調整されて登場することがあるのですが、イラストも、全て新規書き下ろしでリライトされて登場するので、2つを並べて見比べるのも楽しいです。
レアリティも独自のものがあり、特にオーバーラッシュレアは必見です。遊戯王では初めての、枠から飛び出すレアリティで、加工もかなり凝っていて、わかりやすく綺麗なカードです。このレアリティの為に、躍動感あるイラストに新規書き下ろされたものもあり、公式の推しを感じます。個人的には、枠からはみ出している比率が高ければ高いほど見栄えが良いと思っていて、カード名の枠を隠すほどはみ出ているカードは最高に格好いいと思います。枠からはみ出す特性は3枚のカードがつながり1枚の絵になるマキシマムモンスターとも相性抜群で、迫力のあるイラストが楽しめます。
⑨ポケモンカードゲームとの共通点と違い
ここまで全て遊戯王OCGとの比較から、好きなカードで勝ちたいデッキビルダーにラッシュデュエルをお勧めする理由を書いてきました。これは、自分が一番よく知っている別のカードゲームが遊戯王OCGだったからですが、特に①~④などは、OCGのプレイヤーに寄りすぎていて、他のカードゲームプレイヤーには、ラッシュデュエル特有の魅力が伝わりづらかったかもしれません。そこで、自分の触ったことのあるカードゲームの中で、同じく好きなカードでのデッキビルドの観点で、感触が良かったなと思ったカードゲーム、ポケモンカードゲームとの比較を最後に少ししてみたいと思います。
ラッシュデュエルとポケモンは全く違うゲームですが、大味なドローによるカードの揃えやすさと、自由なカードの展開、インフレの管理など、デッキビルダーに優しい設計という点で共通する良い点が多くあるように思います。ラッシュデュエルは、遊戯王OCGをベースに、調整し、開発されたゲームですが、個人的なプレイ感覚としては、遊戯王OCGより、ポケモンに似ている気がしています。ここでどちらをお勧めするかというと、どちらも良いゲームで、好みの問題も入ってくるのですが、ラッシュデュエルの魅力を挙げるとすれば、こうした環境が整ったうえで、使えるカードプールの豊富さと、相手ターンでの攻防が存在していることだと思います。
ラッシュデュエルには、ポケモンのようなレギュレーション落ちのルールがありません。この為、好きなカードをいつまでも現役で使い続けることができますし、豊富なカードプールの存在は、こんなカードが欲しいなと、カード検索でキーワードを入れた時に、最適なカードが見つかる可能性の高さに直結します。また、自分がOCGのあとにポケモンに触れたという順番もあるかと思いますが、トラップカードが存在せず、相手ターンの駆け引きがないことに、どうしても物足りなさを感じてしまいます。これら点から、自分はラッシュデュエルを「好きなカードで遊びたいデッキビルダーにとって天国のようなカードゲーム」として一番におすすめしたいです。
==================================
以上、いかがだったでしょうか。今回は初心者へのおすすめを看板に据えて書きましたが、実際には、他のカードゲームで、好きなカードで戦いづらいことにジレンマのある中級者以上のデッキビルダーの方は結構たくさんいるのではないかと思います。実際、自分がそうでした。そんな方にも、ラッシュデュエルに興味を持ってもらうきっかけになれば嬉しいなと思っています。また、今回はデッキビルドという軸で話しましたが、自分がプレイしていて気づいた、ラッシュデュエルのお勧めポイントは他にもまだまだあるので、そのうち別の観点からもコラムを書いてみたいと思います。
ここまで読んで頂きありがとうございました。スキを頂けると励みになるので、少しでも楽しんで頂けましたら、ぜひ気軽にお願いいたします。次回は、デッキ紹介をまた書いていこうと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?