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補聴器事件の巻

皆様こんにちは、こんばんは。

なんか書くこともパッと出てこないので、、、
耳が聞こえにくい人を助けるために開発された補聴器に振り回されたときのお話です。

34歳くらいのときだったか、向かいの席に座っていた先輩に「おい!さっきからお前のことずっと呼んでるのに聞こえてないのか?耳悪いんじゃないか?」と指摘を受けた。
そのときは全く自覚もなかったが、ふと考えると…

会社内で行われている年に1回の健康診断で聴力検査はあるものの、会社が大通りに面しているため聴力検査をしている部屋にパトカーや救急車のサイレン音が入ってくることも多々あったので、勘でボタンを押していました。当然、検査結果が悪いものの、特に気にすることもなく34歳になり、先程の先輩からの助言もあり、病院で検査をすると、、
元々生まれつき耳が悪いということが判明。

生まれてから耳が悪いから、耳が悪いのか分からないはずだ。。。

そんな矢先、私はとあるタレントのマネージャーをすることになった。

会社の先輩と一緒にタレントさんへの挨拶をしに行った際、静かな個室だったにも関わらず、タレントさんの言ってることが一つも聴き取れていなかった。。

タレントさんが何かを話しているということだけはわかる!でも聞き取れ取れない。。

そんなときは、伝家の宝刀"ただニヤニヤ"してその場を乗り切る作戦しかなかった。

すると、横にいた先輩が慌てた様子で、
私の苗字の漢字を教えていた。
あっ!名前の漢字を聞かれてたのか!?
すかさず、私は「そうです!その字です!!」とだけ相槌を入れると、またニヤニヤだけする。

はっきり言って私がニヤニヤするのは、その場が面白いとか楽しいからだけではなく、何か自分自身に精神的なストレスがあるとニヤニヤするという、自己防衛反応が働くときがある。そのときのニヤニヤもそうだったと思う。

しかし、さすがにこのままではマネージャーとしてタレントさんに迷惑を掛けてしまうと思い、すぐに以前検査を行った耳鼻科に連絡を入れ、補聴器を作りたいとお願いした。

翌日すぐに病院で補聴器の専門家の方を交えての検査が行われた。

先生から学習帳とペンを渡され電話ボックスの様な箱の中に入りヘッドホンをする。
すると、ソフトバンクが開発したロボット"ペッパー"くん風の勘高い声で「今から"あ"とか"さ"とか言うからノートに書いてね!」と言っている声がヘッドホンから聞こえてくる。
音のボリュームが何段階かあり言われるがまま、ひらがなを学習帳に書いていく。

数分で検査が終わり、先生から「君は、母音で音を聴取ってるみたいだね。本来、"か"って言っているのに“た"って書いたりしている」と言われた。
そんな間違いが幾つもあった、、

妙に納得だった。
確かに、先輩たちや上司の声だけ聞こえて何言ってるか全然分からないときが何度もあったからだ。
先輩から「○×△□//€#〆*やっといて!」とかなり大事な部分が聞き取れていない、、しかし私は「はい!!」と返事をする。
あれなんて言ってたんかな?でも、聞き返すのも失礼だし、今更なんでしたっけ?は怒られるよな、、となると確認すらできない。

元々気が小さく、更には怒られることが嫌で仕方なかった性格もあり、咄嗟に空返事だけをする癖があったのかもしれない。

しかし、聞こえてないもんだから何をしたらいいかも分からない。何日かして、頼まれた仕事が出来ていないから怒られる。

もう、そんな過ちを繰り返したくない!
そんな意気込みもあり、新車の原付が買えるくらいの値段で補聴器を購入した。

補聴器の専門家の方からは「特に高音が聞き取れてないようなので、高音が聞こえるように設定しときました!」と言われ、テストで補聴器を耳につけた。

びっくりした!!
こんなにもはっきりと声が聞こえる世界があったんだと感動すらした。

高い買い物ではあったが、私は補聴器をつけてタレントさんとの初めての仕事に臨んだ。

元々、後輩の子がマネージャーをしていたこともあり、いろいろアドバイスをもらいながら、収録現場のテレビ局に向かった。
だんだんと緊張もしてくる中で、補聴器のテストをしたくなった。
後輩に小さな声で話してもらうと、とてもよく聞こえる。
これで、どんな小さい声でも拾えるぞ!そう確信して、タレントさんがテレビ局に来るのを待った。

僕は、補聴器を基本大事な場面でしか付けないと決めていた。
なぜなら、なんとなく気を遣わせてしまうのではないかと思ったのと、充電が切れてしまうことも怖かった。

そんなとき、後輩が「○○さんいらっしゃいました!補聴器大丈夫ですか?」と教えてもらい、耳にセットする。

テレビ局に入ってきたタレントさんに向かって元気よく「おはようございます!!」と挨拶するが、その数秒後に私はパニックになる。

テレビ局は、セキュリティがしっかりしているため、カード型の入館証と言われるものを、駅にある改札の様なゲートにかざして出入りする。
タレントさんがテレビ局に来たのは13:00。
ランチに行く局員の人達や、テレビ局を出入する人たちが多い中、ゲートを通る際に「ピッ」という音が鳴る様になっている。

その「ピッ」という音が、高音に設定された補聴器にドンピシャで反応してきた。

僕と後輩の前任マネージャーの方に向かって、口をパクパクさせているタレントさん。
何か喋っている!しかし聞こえない!!
補聴器を外してみる、もっと聞こえない!
補聴器をつけるが、聞こえるのはどこまで行っても「ピッ!ピッピッ!ピッ!」のテレビ局のゲートを通るときの音だけ。

終わった、、
伝家の宝刀"ニヤニヤ"が早速発動した。

後輩のフォローもあり、無事に収録が始まると、後輩は別の仕事へ向かうため帰るとのこと。
この後は1人だ、、仕方ない、補聴器は外そう、、、

1本目の撮影が終わり、2本目の撮影へ。
特に何かお願いされることもなく、無事に始まっている。あと少し、、、

撮影の合間に、打ち合わせに入るタレントさん。すると「おーい!3色パン忘れてきたから持ってきて〜」と言われた!

3色パン!?なんだそれ?そんなのあったか??
ケータリングか!?
スタジオの前に集められた、軽食の中から3色パンを探す!
カレーパンはあるが、3色パンはない。

焦る!とにかく焦る!!

3色パンってなに!?サンドイッチか!?
キョロキョロしている私に、番組スタッフの方が「マネージャーさん!!これです」と持ってきたのは"3色ボールペン"だった。

拝啓
耳鼻科の先生と補聴器専門家の方。
高音に反応しすぎです。そして、パンとペンの母音すら聴き取れてませんでした。。

その後、クーリングオフシステムを利用し補聴器は返品させてもらいましたとさ。

#ピンチのチャンク
#人生
#失敗物語

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