
「美由紀の自由すぎる人生」
美由紀は、町でも有名な「自由なおばちゃん」だった。若い頃から「別に好かれなくても大丈夫」と堂々と言い切り、その通りに生きてきた。しかし、なぜか彼女の周りにはいつも人が集まり、気づけば町の人気者になっていた。
ある日、美由紀が商店街を歩いていると、若者グループが道端で落ち込んでいた。
「どうしたんだい?」
「いや…俺たち、YouTubeチャンネルをやってるんですけど、全然バズらなくて…」
「バズる?何それ、美味しいの?」
「いや、動画が流行るってことです…」
「ふーん、なら簡単さ。私を撮りな!」
美由紀はその場で唐突に「エア書道」を始めた。筆も紙もないのに、まるで見えない大作を書いているような真剣な表情。さらに「完成!」と叫んで、その場にいた猫の背中を軽くポンと叩いた。
若者たちは「意味が分からない」と爆笑しながら動画を撮影。翌日、その動画が大バズりし、「#美由紀師匠」がトレンド入りした。
それからも美由紀の自由すぎる行動は続く。スーパーでお菓子コーナーの試食を「吟味」と称して30分も続けたり、公園のベンチで通りすがりの人と「急に人生相談」を始めたり。そんな彼女を見て、町の人々は「この人、好き勝手してるのに、なんでこんなに愛されるんだろう?」と不思議に思うのだった。
美由紀はただ笑って言った。
「好かれようとしないほうが、愛されるもんさ!」
そして今日も、彼女は自由に生きている。