2024 第34節 福島ユナイテッド×SC相模原
※戦術は第2部です
第1部 変わらない芝生の匂いと、変わりゆく心の場所
僕は芝生の匂いを嗅いでいた。10月27日の日曜日、午後2時。スタジアムに向かう道すがら、銀杏並木が黄色く色づいていた。その並木の下ではマルシェが開かれていて、いつもと違って人で混雑していた。地元の野菜を品定めする人々や、ハンドメイドの雑貨を手に取る女性たち。風が吹くたびに銀杏の葉が舞い、それは小さな黄色い蝶の群れのように露店の上を舞っていた。空には薄い雲が流れていた。まるで誰かが柔らかい筆で描いた水彩画のような雲だ。時折その隙間から零れる陽の光が、スタジアムの芝生を不規則な模様で照らしていた。とうほう・みんなのスタジアムには、2000人の観客が詰めかけていた。
そう、すべては完璧だった。少なくとも塩浜がシーズン13点目のゴールを決めるまでは。
それは恐らく、誰かが僕たちの知らないところで回し続けていた巨大な歯車が、突然違う方向に回り始めた瞬間だったのかもしれない。相模原の選手たちが、まるで古い時計の中の歯車のように正確に、しかも執拗に福島の選手たちを追いかけ始めた。彼らは3-4-2-1というシステムの中で、完全無欠な秩序を作り上げていた。
ユナイテッドの選手たちは影に追われていた。文字通りの影だ。それは彼らの動きを完全に封じ込め、創造性を奪っていった。まるでカフカの『城』の主人公のように、見えない力によって阻まれ続けた。
鈴と森はこの日も利き足と逆のサイドで使われていた。それはある種の実験のようなものだった。しかし実験には常にリスクが伴う。この日、その実験は思わぬ方向に進んでしまった。彼らはアレクサンダー・アーノルドやリコ・ルイスのようになろうとしたが、なれなかった。誰もが誰かになろうとして、誰にもなれない。そういう午後だった。
残り4試合。その中の3試合が3バックのチームとの対戦となる。5勝2分11敗。この数字は冷たい雨のように僕たちの頭上に降り注ぐ。4バック相手なら10勝2分4敗。こちらは温かい春の日差しのような数字だ。しかし今は、寒い雨の季節なのだ。
誰かが言った。人生とは自分の弱点と向き合い続ける長い旅路のようなものだと。その言葉は正しいのかもしれない。少なくとも、このJ2昇格を目指すユナイテッドの旅路において。
午後5時、スタジアムはすっかり影に覆われていた。雲は夕暮れに染まり、オレンジ色のグラデーションを描いていた。帰り道、銀杏並木の下ではまだマルシェが続いていたが、午前中のような活気は失われていた。露店の主たちが商品を片付け始めるのを横目に、僕は最後にもう一度、芝生の匂いを嗅いでみた。それは昼とまったく同じ匂いがした。変わったのは、その匂いを感じる僕たちの心の方だったのかもしれない。
第2部 3バック対策の教科書:福島ユナイテッドの課題と解決策
J3リーグで上位を争う福島ユナイテッドが抱える3バックへの対応課題について、実戦からの学びと解決策を探ります。
1. 現状の課題分析
マンマークプレスへの対応不足
相手の徹底したマンマークにより、ビルドアップが機能停止
CB、SB、ピボーテへのプレスが特に効果的
キーパーからのロングフィードが単調で回収される
後半は相模原がプレスから5-4ブロッに移行したことで、DFラインで2🆚1になったことでボールが保持でき、押し込む展開に。
選手配置の問題点
センターバック(CB)間及びCBとキーパー間距離が近すぎる
サイドバックの逆足起用によるインサイドへのカットインや中への展開が相手に容易に読まれる
前線3枚の数的同数、森晃太の質的優位の強みを活かせず
4バックと戦うようにバイタルを狙うも相手の迎撃にあう。とくにゴールキックからのビルドは不発でことごとく回収される。
2. 解決策の提案:ポジショニングの改善
改善後のポジショニング
センターバック間を広げ、プレスを分散
3バック化しDFからWGへのパスコースをつくる
前線の3枚vs相手DF3枚の数的同数を活かした展開。特に🔟森選手の特性を活かしたドリブル突破
シンプルに森選手でいい。スペースは攻撃側に有利に働く。たとえ抜けなくてもラインを下げることができる。
3. 今後の展望
残り4試合での3バック対策が昇格の鍵
🆚3バック:5勝2分11敗
🆚4バック:10勝2分4敗
サイドバックの起用方針(順足)の見直し
選手個々の特性を活かした戦術の確立
結論
3バックへの対策は、選手の特性を活かした戦術の確立が重要です。特に、サイドバックの起用については、実験的な逆足起用から、選手本来の強みを活かせる配置への変更が求められます。また、CB、SBの立ち位置。中央突破に固執しない戦い方が求められます。残り4試合で3バックを使用するチームが多いことを考えると、この課題への対応が昇格への重要なファクターとなるでしょう。