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2024J3第18節 福島ユナイテッドFC🆚FC大阪
「雨と戦術の交差点で」
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この日、気象台は東北地方南部の梅雨入りを発表した。6月の湿った空気が静かにスタジアムを包む中、福島UはFC大阪に2-0で完勝し、3連勝を飾った。この勝利はリーグ3位という心地よい位置に導いた。
私はスタジアムで福島UとFC大阪の試合を見ていた。雨は、ピッチを覆う緑の芝生を艶やかに濡らし、選手たちのユニフォームに斑点模様を描いていく。サッカーボールは、水滴をまとって転がる。それは、どこか儚さを感じさせながらも、確かな存在感を放っていた。
初期配置は、福島Uが4-3-3、大阪が4-4-2という布陣だったが、福島Uは巧妙な戦術を用意していた。
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前半の展開とスタッツ
前半、福島Uはボール保持率53%を記録し、大阪の46%を上回った。しかし、シュート数では福島Uが1本に対し、大阪が8本と圧倒的に劣勢だった。大阪は、まるで梅雨のしつこい雨のように、絶え間なく攻撃を仕掛け、福島Uの守備を脅かしたが、得点には結びつかなかった。
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福島Uのプレス戦術の変化 雨の中の新たな形
この試合で、福島Uは新たな守備戦術を試みた。インサイドハーフ(IH)の針谷選手が前進し、4-4-2の形を形成することで、大阪の4-4-2に対抗した。このプレスは有効であり、これによって大阪のCBが簡単に持ち運べなくなった。とはいえ、同サイドへの圧縮については、まだその形には未熟さが残っていた。それでも、新たな戦術に挑戦する姿勢は、どこか雨に濡れた街路樹のように、新鮮な生命力を感じさせた。
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大阪の攻撃パターン
大阪の攻撃は、シンプルであるが効果的だった。サイドにボールを運び、クロスやロングスローを基本とする戦術。これは、雨音のようにリズミカルでありながら、時折その音が大きく響くように、福島Uの守備陣にプレッシャーをかけ続けた。しかし、福島Uの守備陣はこの攻撃をしっかりと凌ぎ、決定的な場面を許さなかった。
福島Uのビルドと大阪のプレス ~雨音とビルドアップの響き~
福島Uのビルドアップに対して、大阪は4-4-2でプレスをかけた。これにより、福島Uのセンターバック(CB)2人は余裕を持ったビルドアップができず、しばしばカウンターを受ける場面も見られた。福島Uは、ピボーテが降りて3バックを形成することはせず、前進できない場合は無理せずゴールキーパー(GK)に戻して、GKと2CBの3枚で数的優位を作る戦術を採用した。
ゴールキックにはそれは、激しく降る雨と、しとしとと降る雨のように、2つのパターンがあった。サイドに流れたトップに向けてロングボールを蹴るパターンと、相手を自陣に引き込み、バイタルエリアを開けてから繋ぐパターン。この試合では、2本目まではロングボールを使い、3本目から繋ぐパターンに切り替えたが、大阪も中央を固めてきたため、決定機には結びつかなかった。
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今期の積み上げが実った得点シーン
後半、試合の流れは劇的に変わった。福島Uの先制点は、まるで梅雨の合間に差し込む一筋の陽光のように、意外で、しかし確実に存在感を示した。GKからのビルドアッからだった。一旦吉丸選手にボールを下げて相手を引き込み、左サイドバック(LSB)の鈴選手へ展開。鈴選手の対角フィードから塩浜選手が受け取り、彼のクロスを後半から入った吉永選手が頭で押し込んで先制した。
さらに2分後、福島Uは追加点を挙げた。大関選手のスルーパスがカットされるも、川崎フロンターレ風味の即時奪回から塩浜選手がゴラッソを決めた。この2ゴールは、ビルドアップと即時奪回という今シーズン目指してきたことが体現されたゴール。まるで長雨が終わり、晴天が広がるように、観客を魅了し、試合を決定づけた。セレブレーションの輪はそれは雨粒が地面に落ちる瞬間に描く、完璧な円のようだった。
鉄壁のDF陣
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試合終盤、福島Uはいつものように大森選手を投入し、5バックで試合を締めくくった。福島というと攻撃面が注目されがちだが、この試合ではクリーンシートを達成し、守備陣の安定感も評価されるべきだ。特にセンターバック2人のパフォーマンスは素晴らしく、雨の中で踊る蜘蛛の糸のように、繊細かつ強靭だった。上位に食い込むためにはこの守備の安定が不可欠である。
私は傘を閉じ、雨に濡れる銀杏並木を横目に帰路につきながら考えた。昨シーズンも梅雨入りが発表されたタイミングでFC大阪と対戦している。その時は0-1で敗れ、監督交代につながる厳しい結果となった。しかし、今はその時とは全く異なる。今の福島Uは、自信と連携を持って戦い抜き、勝利を収めるチームへと成長している。
次節は好調の北九州との対戦を迎える。このままの勢いを保ち、さらなる勝利を目指してほしい。