小林製薬さんで「生理用品設置について、みんなで考える」セミナーを実施しました!
みなさん、こんにちは。
わたしの暮らし研究所の沢田です。
今回は令和4年事業でLAQDAの生理用品設置実証実験に参加してくださった小林製薬さまの社内セミナーレポをお届けします!大阪本社、研究所、東京営業所、コールセンターなど、さまざまな拠点で実証実験にご参加くださいました。
当日は、沢田から実証実験やこの度の設置についての説明から始まり、後半は「あったらいいな!」の商品開発に携わる松坂さん、泉谷さんとのパネルディスカッションを行いました。
今回は、そんなパネルディスカッション部分をお届けします!
パネラー
沢田:今回小林製薬さんでセミナーを実施させていただけるのは、本当にうれしいことだと思っています!小林製薬さんは、当事者の「困っているけど、言いづらい」に寄り添った『あったら、いいな!」な商品を数多く販売されているからです。「命の母」「サラサーティ」「フェミニーナ軟膏」など、よくぞ開発してくれた!と思うような、ユーザーの困りごとを解決してくれる商品だと思っています。
パネルディスカッションでおふたりと一緒に考えたいことをこちらにまとめました。
こちらにあるように、LAQDAの活動は「言いづらい」をどう取り扱うかをテーマにしています。「言いづらい」が故に、開発も一筋縄ではいかないはず。
今日はそんな「言いづらい」の開発に、おふたりがどのように関わっていらっしゃるのかをお伺いさせてください!
「言いづらい」から始まったサラサーティの開発
松坂さん(以下、敬称略):まさにサラサーティが言いづらいから生まれている製品です。サラサーティは1988年に発売された商品で、小林製薬が初めておりものシートを開発しました。この商品が生まれるまでは、日本では、おりものに悩んでも対処できる製品がなかったんです。
沢田:それはすごいですね。おりものシートがない世界なんて、今では考えられません。
松坂:また、当時のブランドマネージャーは男性でしたが、その担当者はCM制作にあたって、女性の気持ちを理解したいと思ったそうです。そのためにどうしたかというと、おりものシートに水滴を垂らして、自分の下着に貼り付けて1日生活したそうです。
私は、その話を聞いて『すごいな』と、思いました!男性がわからない女性の不快感を感じ取ろうと製品を試してみて、『自分ごと化』している。その体験をマーケティングやCMづくりに活かすということが素晴らしいと思いました。
それって、商品の開発だけじゃなくて、社会にも同じことが言えると思っています。『生理痛がわからないので痛みを知ろうとすること』とか『妊婦の体験わからないから、妊婦の擬似体験をしてみる』とか、そういうのすごく大事だと思うんです。わたしも新製品を開発しているので、サラサーティに水分入れて1日過ごしてみました。
あ、今日はつけてないですよ(笑)
沢田:それは素晴らしいですね!!男性が女性の気持ちをわかろうとしてくれているなんて、それを考えるだけでうれしい気持ちになります!
誰かの「困った」に寄り添い、その人の生活の体験を再現して体感しようとすることは、相手の気持ちの理解につながりますよね。
「言いづらい」にはいろんな背景がある
沢田:泉谷さんは、研究者の立場でいろんな調査をする中でいろんな方のお悩みを聞く機会があると思うのですが、「言いづらい」について思われることってございますか?
泉谷さん(以下、敬称略):はい。わたしはヒアリングやインタビューなどいろいろな場で話を聞くことがあります。その中で思うのは、『言いづらい』はひとつではなくて、いろんなパターンかあるのかなということです。
『自分だけがこうなのかわからなくて心配』なために言いづらかったり、更年期や尿漏れは『年齢的にそういうことがあるかもしれないと思うけど、自分で認めたくない』と思って言いづらい面もあると思います。
松坂:人と比べたことがないから不安というのもありますよね。
沢田:「これって、自分だけ?」と思うと、説明も難しいと思います。相手にどんな反応されるのかわからないから、気持ちも不安ですよね。困っている人の気持ちに先回りして、言いづらい体の悩みを解決しようとすることはとても尊いと思います。そんな商品をたくさん販売されている御社は、素晴らしいです!
社内で起きた対話・反応について
沢田:続いて、社内で生理用品設置に対して、どんな反応があったか教えていただけますか。ここからはアンケートのフリーアンサーを見て進めていきます。
泉谷:女性側からはやっぱりうれしい!という声が多くありました。なければそれが当たり前ですけど、置かれると困ったタイミングで気軽に使えて、みんなうれしかったようです。
一方で、男子トイレにも設置をしたのですが、男性は初めて生理用品に触れる方も多かったので、『なぜ置かれているのか?』と聞かれることが多くありました。
沢田:なるほど、そうですよね〜。せっかくなので、なぜ男子トイレにも置いているのかをご説明いたします。これには2つの理由があります。1つ目の理由は、LGBT配慮など、男子トイレをお使いになる方にもさまざまな理由で生理用品を使われる方がいらっしゃること。
2つ目の理由は、生理用品を使わない方にも触れていただく機会が必要だと考えているからです。
泉谷:へー。そうなんですね。
沢田:「え?なんで?」って思いますよね。必要ないじゃんって。それにはわたしたちの過去の活動からの学びが影響しています。
わたしたちは2019年から活動してきました。オフィスの生理用品設置にかかるひとりあたりのコストは、大体1人当たりで月額100円程度です。他の福利厚生やさまざまなサービスと比較しても大きな金額ではありません。それなのに、議論に上がる前に社内で話がなくなってしまう。これはなぜだろう?と思っていたんです。
そして、いろんな企業さまとお話しする中で、ある時、わかったんです。生理がない人にとっては、評価ができないのだと。生理用品について相談されても、生理用品を目にしたり、触れたりする機会がほとんどなく、どう取り扱っていいのかわからないものは、いいも悪いも言えないので、結果、保留になります。人は、自分が見たことがなかったり、触れたりしたことがないものを評価することはできません。
松坂:たしかに。今回初めて生理用品に触れました!
沢田:そうなんです。触ったことがない方はとても多い。でも、生理用品が必要な人からしたら、それが理由で停滞するとしたら、本当に切ないですよね。困っていて、ちゃんと考えて欲しいのに、意思決定者に考えるための知識や経験がないのだとしたら。誰かの「困った」を一緒に考えて、解決するために、まず「触れる」「知る」ことが必要なんです。
だから、わたしたちの実証実験は「生理用品を置くこと」という眼前の現象を変えるだけでなく、「みんなで考えること」を目的にしています。そのため、男子トイレや多目的トイレにも生理用品を置かせていただいています。
続いて、男性のアンケートです。
下のコメントにある『きっかけ』という言葉ですが、まさに御社のおりものシートと同じ課題だったのかなと思います。
松坂:これ、まさに私にとって『きっかけ』になりましたよ。
実証実験開始された後に、トイレから生理用品を1種類ずつ取って、家に持って帰り、「うちの会社、生理用品の設置を始めたよ」とパートナーに話をしました。そしたら、これがきっかけで、初めてパートナーと生理の話ができました。
いつもおりものシートだったら新商品が出たときなどは、紹介がてら持ち帰って話をすることはあったのですが、生理についてはなかったんです。このとき初めて、生理で大変なことや困っていることを聞くことができました。話を聞いて、生理期間のパートナーの体調をちゃんと気遣いたいという気持ちが生まれました。
たとえパートナーといえども、きっかけがないと、ある日突然生理の話を出
すのは難しかったと思います。
沢田:それはすごくうれしいです!ジェンダーに関係なく、生理ある人に必要なものとして、松坂さんのようにご家族の方やご友人などにも話ができる「きっかけ」になればと思っています。
泉谷さんはどう思われましたか?
泉谷:今回は生理を話題にしているので、女性の悩みにフォーカスしていますが、逆も然りかなと思っています。男性も言いづらい悩みを持っているでしょうし、人として言いづらいお悩みは誰にもありますよね。悩みに応じた、お互いの歩み寄りが必要かなと思っています。
沢田:本当にそうですよね〜。LAQDAプロジェクトもジェンダー関係なく、誰かの「困った」を解決していける社会に向けて活動したいと思っています。男性向けにもたくさん「あったら、いいな!」の商品を作られている小林製薬さんだからこそのコメントですね。やっぱり小林製薬さんでセミナーを実施させていただいて、本当によかったです。
松坂さま、泉谷さま、小林製薬のみなさま、この度の貴重な機会をありがとうございました!!
最後に、受付フロアにいた熱さまシートのキャラクター「熱さまくん」と一緒に記念撮影。令和4年度のフェムテック補助金事務局でお世話になった水野さまも駆けつけて下さいましたので、一緒にパチリ☆
小林製薬さんでの設置の様子
大阪本社、研究所、コールセンター、東京営業所など、いろんなトイレで置かせていただきました。
・東京営業所 男子トイレ
📎 参考
小林製薬 「正しく知ろう!おりものはカラダのサイン」サラサーティWEB
📎 主催・協力・会場
主催:わたしの暮らし研究所株式会社 LAQDAプロジェクト
会場:小林製薬株式会社 本社
登壇:小林製薬株式会社 松坂さま、泉谷さま
運営協力:経済産業省 令和4年フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金事務局
*本イベントは、経済産業省 令和4年度 フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金の支援を受けたものです。
https://www.femtech-projects.jp/
📎 経済産業省 令和4年度 フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金について
働く女性の妊娠・出産や更年期等ライフイベントに起因する望まない離職等を防ぐため、女性特有の健康課題は、女性本人だけではなく企業や社会全体で共に解決していくアプローチが欠かせず、その方策のひとつとして、フェムテックの活用が期待されています。経済産業省は、令和3年度より「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」を立ち上げ、このようなアプローチを通じて女性の就業継続を支援し人材の多様性を高めることで、中長期的な企業価値の向上を図ります。