「生理用品設置する企業、増えてる!?」女性の働く環境改善の事例共有会
みなさん、こんにちは!
わたしの暮らし研究所の沢田です。
先日、渋谷区神宮前にある株式会社スペースマーケットにて行われたイベントレポをシェアします!
2019年から弊社の実証実験に関わってくださった方、独自に生理用品設置をされている企業さまとともに、メディアさんも招いて「『生理用品設置する企業、増えてる!?』女性の働く環境改善の事例共有会」を開催しました!
LAQDAプロジェクトは、いろんな企業の方を巻き込んだプロボノプロジェクト。今回も、わたしたちに共感いただき、ご協力くださっているNEWPEACE DEIBチームのワイン エリカ さんが記事を書いてくださいました!
イベント開催レポート
経済産業省経済産業政策局経済社会政策室 間瀬 菜生子さんからのご挨拶から始まり、『生理用品設置をきっかけに未来の対話をしよう』では、沢田から生理用品をオフィスで設置する中での調査データや、その活動の中で気がついた「誰かの悩みをみんなで解決できる社会にする必要性」についてお話しました。
パネルディスカッション1
今回のパネルディスカッションでは、過去にLAQDAの実証実験にご協力頂いたアイルさま、東京建物さま、そして実証実験を一緒にしなかったものの問い合わせを頂いたことをきっかけに、LAQDAの活動にボランタリーに関わってくださっているライオンの佐々木さまにご登壇いただきました。
ご登壇者
2019年-2020年LACDA(*2)で実施した生理用品設置の実証実験にご協力頂いていたアイルの吉野さまからは、当時の実証実験から得られた女性の声がきっかけで、生理や女性の身体に関するセミナーも社内で開催し、役員にも理解が得られた上で生理用品が置かれることになった経緯や社内の反応についてご共有いただきました。
2021-2022年にスマホで制御できる躯体で実証実験にご協力頂いた東京建物の猪俣さまからは、実証実験に参加した経緯や、生理の問題で多くの人が悩んでいることに対する驚き、そして社内でどんな議論や活動があったのか、お話いただきました。
ライオンの佐々木さまからは、研究所独自のイノベーションを起こす仕組みづくりのお話がありました。研究員が業務時間の最大15%を活用して、自由に研究テーマを設定し挑戦する仕組みだそうです。実は、社内への生理用品設置は、この仕組みを使って取り組まれたとのこと。
自社の研究所と工場で、生理用品設置と調査を行い、課題を可視化することで、研究所については正式に生理用品設置予算が確保され、継続実施が決まったことをご共有いただきました。
パネルディスカッション2
LAQDAでは、生理用品設置の問題はジェンダー関係なく『みんなで考えていける問題』だと考えています。
そのため、こちらのセッションでは、生理がない立場から、生理用品設置の問題をどう捉え、どう考えていったのか、各社の男性(ここでは解剖学的男性*1)にご登壇頂きました。
ご登壇者
東京建物の猪俣さまには、改めて、生理用品の設置を検討する際に、社内での取り組みをどう進めていったかをお伺いしました。
猪俣さまは、もともと企業内でのCS(Customer Satisfaction)・ES(Employee Satisfaction)を高めるためのグループ横断プロジェクトチームに所属をしており、LAQDAの話を聞いた時には、従業員の満足度を高めるのには、生理用品は良いのではないかと思われたそうです。そのための予算もあったため、まずは本社で試してみようとなりやすかったとのことでした。会社としては、すべてのビルに生理用品があるべきだと考え、今後の施策を進めていかれるそうです。
社内で「ソレイユ」という生理用品設置のための有志チームが立ち上がっている横河レンタ・リースの加藤さまからは、どのように「ソレイユ」が立ち上がっていったか、どう予算取りをしていったか、ご共有いただきました。
「ソレイユ」は、生理がある人が主体の有志チームです。そのチームを生理がない立場から戦略を立て、社長への説明の場を設けるなど、サポートに終始されたとのことでした。
会場になったスペースマーケットさんでは、今回の経済産業省の実証実験にもご協力頂くことになり、当日は本社トイレにも生理用品を設置させていただきました。執行役員の佐々木さまにご登壇いただきました。財務を見ている佐々木さまからは、「生理用品は福利厚生というよりも、安心して働いてもらうために必須で備えるべきものとして予算取りしたい」とのことで、今回の実証実験にも二つ返事でご参加いただくことになったそうです。
プラザクリエイトの新規事業部の木村さまは、「今までこんなことを考えたことはなかった。でも、『生理用品を置くべき』と言われた時に、そうだな!と思った」とのこと。マネジメントする立場になったときに、女性の部下にも100%パフォーマンスを発揮してもらいたいと思っているけど、なんとなく体調が悪そうだという場合に、具体的なことは何も言えず体調不良については「察して」といった無言のやりとりがあり、その壁を超えられない状況があったことが課題だったそうです。女性だけではなく、働く人がその場所で安心して働けるのはとても価値があること。マネージメントする立場として、その環境を作っていきたいとのことでした。
登壇の様子
さまざまな立場にいるパネリストが、自分自身にはない経験の課題解決のために身近な同僚や部下と相談しながら考える姿勢に「話を聞いて、共に考えてくれる人がいるんだ!」という実感を得た方は少なくなかったことと思います。
総括
セッション中、パネルディスカッション中に事前にいただいていた複数の企業さまの設置事例をご紹介したところ、メモを取っていらっしゃった参加者の方も。また、各社の代表や役員の方からの応援メッセージをいただき、ご紹介させていただきました。生理用品の設置には多くの方の意思決定が必要であり、設置までの道のりにはさまざまなハードルがあります。そんな中、同僚や上司と対話し、考えながら、共に乗り越えていくことができるはずだという希望を見出す時間となりました。
📎 主催・協力・会場
主催:わたしの暮らし研究所株式会社
会場提供:株式会社スペースマーケット
登壇者一覧:
経済産業省経済産業政策局経済社会政策室 間瀬さま
パネルディスカッション1
・株式会社アイル 広報 吉野さま
・東京建物株式会社 ビルマネジメント第1部 猪俣さま
・ライオン株式会社 研究開発本部 ファブリック研究室 佐々木さん
パネルディスカッション2
・株式会社スペースマーケット 上級執行役員 社長室長 佐々木さま
・東京建物株式会社 ビルマネジメント第1部 猪俣さま
・株式会社プラザクリエイトソウゾウ事業本部 新規事業部 部長 木村さま
・横河レンタ・リース株式会社 人事企画部 課長 加藤さま
イベントサポート
NEWPEACE Inc. ワインエリカさま、株式会社アーチャー新社 亀谷さま、IDPエデュケーション 市川さま
取材・記事作成
NEWPEACE Inc. ワインエリカ様、Ai Tomita様
わたしの暮らし研究所では、令和4年度経済産業省フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金における補助事業者に採択され、2023年3月までに、各社と連携し、生理用品設置による実証実験・研究調査をまとめ、経済産業省への調査結果の提出のほか、データから確認できる結果から従業員規模が一定数以上の企業についてはトイレへの生理用品設置を推奨する提言書を作成する予定です。
長期的なビジョンとしては、1社ごとに孤軍奮闘するのではなく、意思決定に至るスキームや生理用品の理想のディスペンサーを研究論文や記事として公開し、オープンソース化。世界中の人や企業が活用できるエコシステムの創出を目指しています。
最後に…
生理の問題の解決には誰もが参加できます。 昔駅のトイレにトイレットペーパーがなかったことを、今の若い世代が「えー!そんな時代があったの!?」と驚くように、2030年に初経を迎える人たちが「えー!昔って生理用品がトイレになかったの?」と言える社会をつくることを目指しましょう。 実証実験へのご参加・提言するメッセージへの参加にお持ちくださる方はぜひご連絡ください。
わたしの暮らし研究所LAQDAプロジェクトへのご連絡は、こちらまでinfo★wk-k.com(★を@にしてご連絡ください!)
補足
パネルディスカッション2のタイトルについて
男性とは解剖学的男性(性別)として記載しています:生殖器、染色体などから区別され、役所に届け出ることで法律上「女性」か「男性」に割り当てられる性別。「生物学的性別」という表現をよく目にしますが、生物学的という言葉が「科学的に証明されている”真の”あるいは”本来の”性別」というような印象を与えてしまい、結果的にトランスジェンダーの方々に対する差別等に加担する恐れがあると考え、記事内では「解剖学的」という言葉を選択しています。
サポート
今回の記事は、わたしの暮らし研究所のビジョンに共鳴し、NEWPEACE DEIBチームにてライティング(ワイン エリカ)と、表現チェックを行いました(Ai Tomita)。
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