ポーカートーナメントで勝つためのICMの5箇条
こんにちは、ラプラスです。
ポーカーを勉強しているとある大学生です。
本記事はGTO wizard の公式YouTubeチャンネルの以下の動画のまとめ記事となります。
0.この記事でわかること
この記事では大雑把に以下のことがわかります。
リスクプレミアムとは何か
リスクプレミアムは何に影響されるか
スタックサイズごとにリスクプレミアムがどう違うか
トナメ序中盤でリスクプレミアムを意識しないといけないのはどのスタックサイズのプレイヤーか
バブル付近では高いリスクプレミアムによってレンジがどう変化するか
同様に高いリスクプレミアムのあるFTで、マルチウェイでのBBのディフェンスレンジはどう変化するか
1.リスクプレミアムについて理解する
そもそもリスクプレミアムとは
端的に言うとチップEVに追加で上乗せされる必要勝率、です。
つまりトーナメントではキャッシュゲームよりもコールするのに必要な勝率は高いです。
英語でプレミアム(premium)と言ったときにはカタカナでも使うような「希少な」という意味もありますが、「割増料金」といった意味もあります。
ここで言うリスクプレミアムはそちらの意味に近くて「上乗せリスク」と言った方がわかりやすいでしょう。
例えばリバーでポットに50bbあるとして相手から50bbのAll in をされたとしましょう。
ここでコールするのに必要な勝率は33%ですが、もしリスクプレミアムが10%あったらコールするのに必要な勝率が33+10=43%になります。
リスクプレミアムは何によって決まるのか
リスクプレミアムを決める主な要因は以下の2つです。
スタックサイズ
トーナメントの状況
バブルラインやFTなど節目の状況
参加人数
賞金配分
大前提としてトーナメントはキャッシュゲームと違ってチップを増やすゲームではなくチップを0にしないで賞金をどれだけ高められるか、というゲームです。その上で各要因とリスクプレミアムの関係は以下のようになります。
リスクプレミアムが上がる状況
戦う相手(やBB)にカバーされている
バブルラインに近い
FTの前後などでプライズジャンプが近い
リスクプレミアムがそこまで上がらない要因
戦う相手(やBB)をカバーしている
参加人数の多いトナメの開始直後やインマネ直後でFTやプライズジャンプまで遠い
賞金の比率が1位に偏っている
2.スタックサイズで変化するリスクプレミアム
リスクプレミアムについて大雑把に理解したと思うので、ここではその具体例として300人参加のインマネが41人のトナメで残り82人以降のスタックサイズごとのリスクプレミアムを見ていきましょう。
ちなみにこのようなインマネ人数の2倍の人が残っている状況を2x ITM(In The Money)と言います。
このグラフから読み取れることとして
どのプレイヤーもインマネ直前のバブルとFTに近いほどリスクプレミアムが上がっている
基本的にはチップが少ないほどリスクプレミアムも少ないが、バブルの直前ではそれが逆転する
チップがある人ほどトナメ序盤からリスクプレミアムを考慮しないといけない
ショートスタックのリスクプレミアム
ショートスタック(青)の時はインマネ直前で堅くなってとりあえずインマネを確定させてからAll in で暴れる、というのは多くの人が直感的にもわかっているし実践できていると思います。
取るべき戦略が単純でわかりやすいのでトナメはショートの方が簡単と言われるのはこれが要因ですね。
ミドルスタック〜2ndチップリーダーのリスクプレミアム
一方である程度チップを持っている人についてはどうでしょうか
インマネ直前で急騰することはないにしてもチップを持っていればいるほど平均的に高い値を取っています。
飛ぶリスクを負っているというのはショートの人と変わりないですが、他に飛ぶリスクを押し付けられる相手がいるのにわざわざチップリーダーを戦うことが損になっているということです。
つまりはある程度チップを持っている人はどの局面でもカバーされている人とぶつかる時は慎重にならないといけない、ということです。
チップを失う価値の大きい2nd チップリーダーが特に該当します。
もちろん裏を返せばチップをカバーしている相手に対しては少しレンジが緩くなっても高いリスクプレミアムを押し付けることが正当化されます。
3.トナメ序中盤から重要になるリスクプレミアム
さきほどの『ある程度チップを持っている人はどの局面でもカバーされている人とぶつかる時は慎重にならないといけない』について具体例で見ていきましょう。
シチュエーションとしては
CO(64bb), BTN(52bb)
COが2.1bbオープン
BTNのレンジをチップEVとトナメ参加者残り50%でのレンジで比較
を考えます。(BTNはテーブルで3rdチップリーダー)
チップEVモデルと比較してトナメのレンジで注目すべき点は2点で
一回り堅いレンジになっている
ブロッカー重視のレイズレンジでPush or Fold と似たレンジになっている
1点目は直感的にもいいでしょう。
とにかく飛びたくないというのを考えればカバーされている相手に対して微妙なハンドは降りることになります。
具体的にはK6s,J8s,87s,QJo,JToなどが削られていますね。
2点目がより重要で、Axo,KQ/J/To,QJoなどのレイズ頻度が高くなっています。
これはポストフロップの戦いやすさよりも相手を降ろすことを重要視しています。
この際やPush or Fold の際にによく見られる傾向として例えばKQについてはポストフロップの戦いやすいスーテッドではなくオフスーテッドが好まれます。
これはKQsよりもKQoの方が相手のコールレンジにあるKQsを2倍ブロックしているというのが理由(おそらく)です。
詳細は以下のブログに書いてあるそうなので興味がある人は読んでみましょう。
次のトピックはトナメにおいて最重要といっても過言ではないバブルラインでの戦い方をみていきましょう。
4.バブル付近でのレンジの変化
本節では、バブルライン付近においてどのようにプレッシャーをかけるのかというのをみていきましょう。
シチュエーションとしては
CO(22bb), BTN(26bb), SB(13bb), BB(18bb)
COが2bbオープン
BTNのレンジをチップEVとバブル付近で比較
を考えます。(BTNはテーブルで2ndチップリーダー)
ここで重要なのは微差とはいえBTNが他の3人をカバーしていることです。
このグラフから読み取れることは見た目の通り
コールレンジがほぼ消えて3Bet or Fold 戦略になっている
ということです。
これによってCOやSB,BBに一方的に飛ぶリスクを押し付けることができます。
レンジの内容としてはある程度のポケット(99〜22)と強めのスーテッド系(Axs,QTsなど)でAll in をして強いポケット(AA〜TT)と弱めのオフスーテッド系(Axo, QJoなど)で刻んでレイズしていることがわかります。
特にJToなどの微妙なハンドでもレイズしてプレッシャーをかけるのが正当化されるのはバブル付近ならではと言えるでしょう。
5.FTにおいてBBを適切に守る
最後にFTにおいての内容です。
「マルチウェイになったとしてもスーテッド系はとりあえずBBでコールしていい」といった安直な考えでBBでコールしていませんか??
BBのディフェンスレンジも当然リスクプレミアムの影響を受けるのでリスクプレミアムが高い状況ではレンジを絞らなくてはいけません。
以下のシチュエーションを見てみましょう。
8max, UTG1(24bb), BTN(125bb), BB(36bb)
UTG1が2bbオープン, BTNがコール
BBのレンジをFTと残り3テーブルで比較
皆さんが思っているよりかなり狭いレンジでコールしているのが見て取れるでしょう。
マルチウェイ、カバーされている、OOPといった戦いたくない条件が揃っていてさらにはFTでプライズジャンプも近い状況はかなり慎重にならないといけないのです。
さらにFTのケースでレイズするにしてもAll in して高いフォールドエクイティを利用することがほとんどで、刻んでレイズするハンドの大部分がAA,KK,AKsのようなプレミアハンドになっていることがわかります。
もう少し細かく見ていくとAll in するブラフハンドとしてA5s〜A2sが好んで選ばれています。このあたりのハンドはライト3betなどにも使われるハンドとして有名です。
これらのハンドは弱いAxsでストレートが見込めるだけではなく、Aが相手のコールレンジをブロックしていることと5〜2が相手のフォールドするハンドをブロックしていないことがブラフAll in に適していると言える理由です。
6.まとめ
リスクプレミアムの考え方を理解して自分の飛ぶリスクを抑えつつ相手にプレッシャーをかけることがトーナメントにおいては重要です。
最初はブラフレンジを適切に構築できなくても、(ここはプレッシャーをかけられる場面だからちょっとだけレンジを広げてレイズするか?!)的なことをプレイ中に考えられるようになりましょう。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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