第六十章：大国を治むるは小鮮を煮るが如し

大きな国を治めるには、小魚を煮る様にかき回さず崩れないようにするのが良い。「道」にしたがって世の中を治めれば、鬼に支配される事はない。鬼に支配されないだけでなく、神が人を傷つける事も無くなる。神が人を傷つけないだけでなく、聖人も人を傷つけない。こうして鬼も人も傷つかないので、その恩恵はそれぞれに降り注ぐのである。

書き下し分
大國を治むるは、小鮮を烹るがごとし。道を以て天下に莅めば、その鬼も神󠄃ならず。その鬼の神󠄃ならざるのみにはあらず、その神󠄃も人を傷らず。その神󠄃も人を傷らざるのみにはあらず、聖󠄃人もまた人を傷らざるなり。それ兩ながら相傷らず。故に德は交歸するなり。