30歳年収1,000万円の正しい考え方 | 外資系コンサルタルトが語る
就活や転職活動時に「30歳年収1,000万円」を条件や目標の1つにする方が非常に多いですよね。就活や転職活動時には様々な企業の年収を比べますよね。ただ、その時各社が示している「30歳年収1,000万円」という条件は素直にそのまま比較出来るものでしょうか?
答えは「NO」です。同じ「30歳年収1,000万円」という条件でも、いくつかの観点から見ると、大きな違いがあることに気付けるのです。何事も自分なりのフィルターをかけて物事を観察・理解することが重要です。
本記事では年収を「時期」「構造」の2つのポイントから説明します。本記事を読めば、正しく年収を理解することができ、就活や転職活動における企業選びの役に立てることができるはずです。
1.時期から考える年収
皆さん、年収を考えるうえで気にしているのは「ある年齢時点での年収」ではないでしょうか。就活や転職活動で企業を比較するときにも、30歳時点や40歳時点でいくらもらえるかを見ているのではないでしょうか。
ただ、年収を考えるときは2つの観点を意識するべきです。それは、「①一時点での年収」「②累積の年収」です。冒頭で記載している通り、多くの方は「①一時点での年収」は非常に気にしており、センシティブに扱っています。しかし、「②累積の年収」はどうでしょうか?多くの方は意識していないように思えます。30歳までに累積でいくら稼げるのかを計算して、企業の年収の条件を考えていますでしょうか?
例えば、A社とB社があったとしましょう。A社、B社ともに30歳年収1,000万円の企業とします。ただ、A社は新卒初任給が450万円、B社は新卒初任給が300万円とします。※ここでは一律に新卒の年齢を23歳と置きます。
この場合、賃金カーブを考慮し、累積の年収金額を比較すると下記の図のようになります。
いかがでしょうか。同じ30歳年収1,000万円でも累積年収額では2,000万円も差異が生じるのです。A社を選ぶか、B社を選ぶかで経済的余裕は大きく変わってくることがわかります。
外資コンサル、日系メガバンクともに30歳年収1,000万円とよく言われますが、累積年収額で見ると相対的に「初任給が高い かつ 賃金カーブが急」な外資コンサルの方が”稼げる”と言えるのです。
累積の年収の金額を考慮することを忘れずに!
2.年収の構造の違い
もう一点、考慮すべき観点は年収の構造です。
年収の構造の違いによりもらえる額に大きな差がでることも珍しくありません。
主に年収は「固定部分」「変動部分」の2つに分けられます。「固定部分」は所謂ベース給を示します。「変動部分」はインセンティブ給やボーナス給を示します。
下記の図では、「固定部分」と「変動部分」の年収における割合の違いを示しています。変動部分が多くを占める場合(下記A社)、年収のボラティリティは高くなり、”安定性”に欠けます。一方で固定部分が多くを占める場合(下記B社)、年収のボラティリティは低くなり、”安定性”があります。
この「固定部分」と「変動部分」がそれぞれ年収における占める割合により、年収の”安定性”が変わる!
3.(おまけ)平均年収の正しい考え方
おまけによく様々な企業がアピールしている「平均年収1,000万円」を正しく考えてみます。
この場合は、”平均”という言葉に惑わされないよう、年収のバラつきを明確にとらえることをお勧めします。
例えば、「少数の上位役職や高年齢の方が莫大な年収をもらっていて、若手は雀の涙」というパターンや「若手も上位役職も平均的に高給をもらっている」パターンなどがあります。
下記図を用いて見てましょう。下記図から分かる通り、「A社は定年まで勤め上げた方が旨味がある」や「B社は若手の内だけ所属して、中堅以降は転職した方がいい」など平均年収の実態はキャリア戦略における重要な指標となることがわかります。
中学数学で習った通り”平均”は実態を何も示さないに等しいのです。
4.さいごに
本記事では、様々な観点から年収を捉えました。多くの例を比較しましたが、どれが良くてどれが悪いの明確な基準は存在しません。年収体系は各社によって違いがあるのは当たり前で、その違いは事業特性や組織風土戦略など様々な要因により決定しています。重要なのは、なぜこの会社はこのような年収の構造、賃金カーブになっているのかを自身の頭で考えたり、リサーチすることです。その上で自身のキャリア戦略に当てはめることが大切だと考えます。
各社の年収体系の裏にある意図を考え、自身のキャリア戦略と照らし合わせ判断する
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