名CM考Ⅱ 第八回 1990年 松下電器 「ブレンビー」
では逆に、製品の性能をうまく説明しているCMってどんなもんでしょう?
『名CM考Ⅰ』ではかの有名なソニーのハンディカムの「パスポートサイズ」のCMを紹介しましたよね。当然他社は黙ってないですよね。
で、そこで松下の出番なわけですよ。
凄いですよね。これでもかと当時の最新技術を上手に説明してますよね。でも注目は最後のセリフです。
「小さいだけじゃもうダメ」
これ絶対にソニー製品の事を言ってますよね。
そしてここでも気が付くことがありますよね。今のCMは「こんな最先端技術があります!」とか「他社製品に対抗するぞ!」って意気込みも意欲も無いわけだよ。たぶんね当時の松下社員が「BtoB」なんて用語を聞いたら絶対に鼻で笑いますよ。だって松下電器ってのは法人向け商品も一般商品もあらゆるお客様に提供することを「使命」とした水道哲学の企業なんで。松下が「BtoB」と言ったらそれはもう創業者精神の否定なんですよ。「大衆消費者はどうでもいいのか!」って松下幸之助が生きてたら絶対に怒りますよ。
だから私はnote「マーケティング」記事をいつも冷笑してるんですよね。要は言い訳で中国製品や韓国製品に負けたことを認めたくないから「BtoB」なんて言って「法人向けに特化します」なんて言ってるわけ。でもそれは敗北宣言なんだよ。負け惜しみって言うの、それを。
そもそもこの商品って業務用の報道用カメラを応用した技術なんだしね。業務用の高価な商品を一般人に安価な価格で提供出来なくなったらそれは電機産業としてもう「終わり」なんですよ。だって最先端技術が作れませんって意味なんだから。だから水道哲学ってすばらしい哲学だと思いますね。日本人はそんな貴重な精神を欧米かぶれのアホが自分で捨ててしまったわけだよ。アホかな?この国。だから記録画像って大事だよね。日本って国が30年で何を失ってしまったのかがよくわかってしまうので。
だから「BtoB」なんて言葉は万死に値しますね。